香港の民主活動家が逮捕〜疑問を持たざるを得ない「中国外交」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月25日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。香港の民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏が2019年、マスクをして政府への抗議デモに参加したとして、逮捕、起訴されたニュースについて解説した。

香港で民主派の予備選に向けて選挙活動をする、民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏=2020年7月9日 写真提供:産経新聞社

財界の支持を少しずつ剥がして活動家を孤立させる

香港の捜査当局は9月24日、著名な民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏が2019年、マスクをして政府への抗議デモに参加したとして、覆面禁止法違反などの容疑で逮捕、起訴した。すでに釈放された黄氏によると、2019年10月5日、警察が許可していない抗議デモに参加した際、マスクで顔を隠した罪に問われたということだ。

飯田)去年(2019年)10月のことで、いま逮捕ということです。

宮家)去年なのでコロナの前ですか。確かにデモ参加者はマスクをしていましたね。しかし、中国はこうした手法をやめないでしょう。香港のなかにも親中派がいて、ビジネスをやっている人のなかには、混乱を避けたい人もたくさんいます。それでも彼のような活動家に対する支持が、当時は香港財界のなかにもあったわけです。それを少しずつ引き剥がして、活動家を孤立させようとしている。あるときは強権で捕らえて、お灸をすえて、一応は解放する。あまり長く逮捕、拘束して過激なことをすると、下手をしたら天安門事件パート2になってしまって、ますます中国の立場が悪くなってしまいますから。彼らも慎重に、しかし絶対に妥協はしないという態度で、活動家たちに圧力を掛けているのでしょうね。あのような法律がつくられて……。

飯田)国家安全維持法がつくられた。

宮家)この状況が当分続くのだろうと懸念しています。

飯田)なかへの弾圧、そして外への反発。ヨーロッパとの関係も悪くなっていますよね。

「暴徒はいない、暴政だ」 香港・九竜地区でデモ行進する大勢の人たち=2019年10月20日(共同) 写真提供:共同通信社

中国は譲歩したフリをして、アメリカとそれ以外の国を分断しなければならないのだが

宮家)なぜこんなことをするのか、理解できません。中国国内の外交がわかっている人たちであれば、いまこそ少し譲歩したフリをする、もしくは政策を変えたフリをして、アメリカとそれ以外の国々を分断しなくてはいけないのです。しかし、いまやっていることは、アメリカと大喧嘩しているなかで、ヨーロッパとも日本ともインドとも喧嘩をしている。これが中国の利益になるとは思えません。昔のような中国の周到に計算された外交は、どこに行ってしまったのでしょうか。どこか歯車が狂い始めているのではないかと心配しています。

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