ナゴルノ・カラバフ自治州をめぐるアゼルバイジャンとアルメニアの戦闘〜「関東の地図」に例えると

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月30日放送)に地政学・戦略学者の奥山真司が出演。旧ソ連のアゼルバイジャンとアルメニアの係争地、ナゴルノ・カラバフ自治州で始まった戦闘について解説した。

ナゴルノ・カラバフ紛争=2020年9月28日 写真提供:時事通信

ナゴルノ・カラバフ自治州で停戦合意以降での最大規模の戦闘が始まる

旧ソ連のアゼルバイジャンとアルメニアの係争地、ナゴルノ・カラバフ自治州で9月27日、1994年の停戦合意以降、最大規模の戦闘が始まった。民間人を含めた双方の死者は100人近くになっているということである。

飯田)場所としては、黒海とカスピ海の間くらいの2ヵ国。

色の薄い部分がアルメニア側の実効支配地域(ナゴルノ・カラバフ戦争-Wikipediaより)

係争における2つの問題点〜「通り道」と「飛び地」

奥山)結論から言うと、2つポイントがあります。1つ目は「通り道」、2つ目は「飛び地」です。まずアゼルバイジャンは、関東の地図で言うと、千葉県の銚子の辺りにあるとイメージしてください。銚子で獲れるいい魚を、山梨や名古屋に持って行くのが、最初の通り道の話です。その通り道として、甲州街道などを通ります。魚が石油だと考えてください。

飯田)アゼルバイジャンは石油が相当出るところです。

奥山)アゼルバイジャンの首都バクーというところが、銚子にあたります。太平洋がカスピ海にあたります。

飯田)西に向かって、石油を出さなければいけないということですね。

バクー油田(アゼルバイジャン-Wikipediaより)

アゼルバイジャン=千葉、アルメニア=東京、ディズニーランド=ナゴルノ・カラバフ自治州

奥山)そうです。まずそれが1点です。次にアルメニアは、小さな東京だとイメージしていただければいいです。実は千葉にディズニーランドがありますよね。「東京ディズニーランド」と言っていますが、千葉県浦安市にあります。アルメニアと東京だと、あそこはアルメニアにとっての東京ディズニーランド的なもので、東京とアルメニアがリンクする形で見ていただきたいです。

飯田)このナゴルノ・カラバフ自治州というところが。

奥山)ここはディズニーランドだと捉えていただければ。

飯田)千葉の一部ではあるのだけれど、「自分たちは東京だ」と思っているということですね。

首都エレバン(アルメニア-Wikipediaより)

アルメニアとして独立したいのだが、アゼルバイジャンが許さない

奥山)そういう複雑な事情があって、これが飛び地の話です。東京として独立したいのですが、実際は千葉の舞浜なのです。なかの人たちが独立したいということですが、千葉の人は許さず、「お前たちは千葉なのだ」と主張します。この飛び地をめぐって争いが起こり、いま東京ディズニーランドの周りで戦闘が起こっている状況で考えていただくとわかります。バクー、つまり銚子で獲れた魚を持って行くのに、ディズニーランドは通らないのですが、その周りをパイプラインで通す。この通り道の問題が1つ目です。それと、東京ディズニーランドという土地を、東京(アルメニア)が取るのか、千葉(アゼルバイジャン)が取るのかというところが、ナゴルノ・カラバフ自治州の話だと捉えていただくとイメージしやすいです。

占領地に展示されたT-72(ナゴルノ・カラバフ戦争-Wikipediaより)

アルメニアとアゼルバイジャンのバックにはトルコとロシア

飯田)東京、千葉双方、つまりアルメニアとアゼルバイジャン双方には、バックに強い組織があるのですか?

奥山)千葉の方には茨城が、上に鹿島工業地帯を擁してバックについています。そして、トルコに相当するところですが、千葉と一緒にやろうとしている山梨が後ろに控えています。トルコは山梨にあたります。

飯田)なるほど。アルメニアはアゼルバイジャンとトルコに挟まれている状況なのですね。

奥山)千葉がディズニーランドをどうするかです。

飯田)アルメニアに対しては北から。

奥山)茨城が取ろうとしている状況です。茨城はロシアです。

飯田)国盗り合戦をしているのですね。

奥山)国盗り合戦をしていて、大事なのは飛び地という問題と、石油を西の方に持って行くルートの話があり、その2つが揉めているのです。東京ディズニーランド的なナゴルノ・カラバフ自治州のところで、その戦闘が起こっているとイメージしていただくとわかりやすいと思います。

ウラジミール・プーチン大統領=2020年9月19日 写真提供:時事通信

基本的には手を出したくないロシア

飯田)横浜市港北区の“ナオキ”さんから、「何があっても領土となった土地を返さない、というプーチン大統領のお話がありましたが、いま起こっているアゼルバイジャンとアルメニアの紛争は、どう関わって来るのですか?」というメールをいただきました。

奥山)基本的に、ロシアはこの地区に対して手を出したくないと思っています。ウクライナにはロシア人がいますが、アルメニアはそうでもありません。宗教的には同じ正教ですが、陸の孤島にわざわざ手を出して助けることまではしません。

飯田)一方でトルコの方ですが、地中海をめぐってもフランスなどと角を突き合わせていて、アゼルバイジャンにも相当力を入れています。

奥山)同じトルコ系です。あの辺一帯はトルコ語を話す人がイランの方にもいまして、アゼルバイジャンにはトルコ系でトルコ語を話す人がたくさんいます。

飯田)アゼルバイジャンの国旗も、三日月と星がついていてトルコと同じですね。同じアイデンティティということですか?

奥山)トルコとアゼルバイジャンは、非常に仲がいい兄弟国です。その間にアルメニアが挟まれていて、憎きアルメニアを何とかしたいということです。アルメニアはなかなか政治力があります。アメリカの女優でキム・カーダシアンと言う方がいますが、あの方がアルメニアを助けるために政治的な活動をやっています。

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