菅総理の初の外遊地が「ベトナムとインドネシア」である理由

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月19日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。菅総理が就任後初の外国訪問地にベトナムとインドネシアを選んだ理由について解説した。

2020年10月18日、会見する菅総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202010/18kaiken.html)

菅総理、就任後初の外遊

菅総理)日本はインド太平洋諸国として、この地域の平和と繁栄ために貢献をする、こうした決意を持って、国の内外にしっかりと示して行きたい。

 

菅義偉総理大臣は10月18日、就任後初の外国訪問先となるベトナムとインドネシアに向け政府専用機で羽田空港を出発し、真理子夫人と共に最初の訪問地であるベトナム・ハノイに到着した。訪問では南シナ海への進出で周辺国との摩擦を強める中国を睨んで、「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現を訴える考えである。

2020年10月19日、記念撮影〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202010/19vietnam.html)

ベトナムとインドネシアを選んだ理由

飯田)菅総理は19日午前にベトナムのグエン・スアン・フック首相との会談の予定です。中国の動きにベトナムは懸念を深めておりますので、安全保障面での連携を確認するということです。菅さんの対面の外交が始まりました。

須田)これまで、歴代総理が最初の外遊訪問に充てるのは、アメリカというのが一般的です。今回はベトナム・インドネシアということで、菅さんは実務を優先したのだろうなと思います。10月6日に日本・アメリカ・オーストラリア・インドの4ヵ国の外相会談が日本で開かれました。「日米豪印戦略対話」と言われていますが、「自由で開かれたインド太平洋」を強く意識しており、安倍前総理が確立したものです。中国という名指しは避けますけれども、明らかに対中包囲網であることは間違いありません。

2020年10月6日、表敬を受ける菅総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202010/06hyokei02.html)

重要となるASEAN〜今年の議長国ベトナムと3億を超える人口を誇るインドネシア

須田)日本の方にはインド洋というとあまり馴染みがないのですが、日本と反対の南半球にあるオーストラリアを支点に据えてみると、わかりやすいと思います。オーストラリア西側の端にはパースという都市がありますが、そこに広がっている海はインド洋なのです。そう見ると、太平洋とインド洋が一体化していることがイメージできると思います。そこに関しては、「自由で開かれた海」ということで、どこかの国が独占的に影響力を行使するものではないというところを4ヵ国で進めて行く。そのなかに入って来るのがASEANという存在なのです。ASEANということを考えてみると、今年(2020年)の議長国はベトナムです。ですから、ベトナムと中国が揉めているからという理由ではなく、ASEANの要であるベトナムをこの日米豪印戦略対話に引っ張って来るということ。そしてインドネシアは、3億を超える人口を誇っていますから、地域のASEANの大国であることは間違いない。そこを最初の訪問先に選んだということは、相当戦略的に臨んでいるなと。しかも安倍外交の継承ということを強く前面に打ち出したと考えてもらっていいと思います。

飯田)ある意味押さえるべきところをまず押さえて行くということですか?

須田)見た目は地味なのだけれども、押さえなければいけないところを押さえたというところだと思います。

オンライン形式で開かれたASEAN地域フォーラムの閣僚会議=2020年9月12日午前、外務省(代表撮影) 写真提供:共同通信社

安全保障に直結する貿易問題〜価値観の共有できる国

飯田)今回のベトナム訪問で、武器輸出、装備品の輸出に関して協定を結ぶのではないかということも言われています。安全保障面も含めて、いろいろな連携をして行くことになるのでしょうか?

須田)日本でも、国家安全保障局に経済班を設けましたが、貿易経済問題が安全保障に直結して来ます。それを分けて考えることはできない。コインの裏表の関係にあるのだということもあります。そして、これから5Gを含めたデジタル化、インターネットという分野で考えてみると、ファーウェイの問題1つ取り上げてみても、安全保障問題と直結して来ます。「価値観の共有ができる国」とよく言われるのですが、「価値観とは何なのか」。これはもう絶対に揺るがすことのできない概念で、ルール・オブ・ロー、「法による統治」なのです。各国間で決めたルール、何があっても、その法に基づいて行動する、物事が決まって行く。その法が1つの国の思惑でコロコロ変わるというのは絶対に避けると。これは日本やアメリカだけでなく、一般的に先進国の行動規範なのです。ところが、中国はこのルール・オブ・ローに外れている国なのだということです。それが影響して、ファーウェイ問題など、さまざまな問題がハレーションとして起こっているのです。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

「クリーン・ネットワーク・プロジェクト」に参加する日本企業

飯田)ファーウェイなどのネット上の問題で言うと、「クリーンな環境をつくるのだ」とアメリカが標榜していて、それに合致する通信会社なども列挙してやっていますよね。読売新聞が報じていますが、それに日本は当面参加しないのではないかという指摘があります。長い目で見ればこれに参加して行く形になるのですか?

須田)いま言われたのは「クリーン・ネットワーク・プロジェクト」のことなのですが、具体名を挙げると、日本電気や富士通、NTTはクリーン・ネットワーク・プロジェクトに参加して行く方向性を示しています。そこは物理的に近い中国をあまり刺激したくないので、国は表には出ないけれども、民間企業が主導する形でクリーン・ネットワーク・プロジェクトには全面的に参加する状況にあります。

飯田)そこで「国をあげて」みたいなことをやると、ハレーションが大きすぎるところもあるから、まずはというところですね。NTTとNTTドコモの買収の話なども、「クリーンなネットワークづくりが噛んでいるのでは」という指摘もありますものね。

須田)強く意識していることは間違いないですね。

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