菅総理のベトナム・インドネシア訪問〜中国包囲網につながる第一歩

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月20日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。ベトナム訪問中の菅総理がフック首相と会談したニュースについて解説した。

2020年10月19日、記念撮影〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202010/19vietnam.html)

日本・ベトナム首脳会談

菅総理)日本とベトナム、インド太平洋地域における平和と発展に貢献する、こうしたことをフック首相と共有することができました。このことは、自由で開かれたインド太平洋、その実現に向けての、ある意味では貴重な第一歩であったと思っています。

 

ベトナムを訪問中の菅総理大臣は10月19日午前、ベトナムのフック首相と会談を行い、南シナ海への進出を強める中国を念頭に、「自由で開かれたインド太平洋」構想での協力を確認した。

2020年10月19日、記念撮影〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202010/19vietnam.html)

ASEANのなかでもベトナムとインドネシアを選んだ理由

飯田)会談時間はおよそ1時間20分で、この自由で開かれたインド太平洋構想や、サプライチェーン、武器・防衛装備品の輸出などいろいろありました。どうご覧になりましたか?

高橋)ベトナムとインドネシアは、第2次安倍政権のときに安倍さんが最初に選んだところです。なぜベトナムとインドネシアを選ぶかというと、ASEANのなかでは、中国と距離感があるところだからです。特にセキュリティダイヤモンドという、日米豪印での外交安全保障構想があります。最近はクアッド(日米豪印戦略対話)と言っています。第1次安倍政権のときに発案されたものが、ようやく実を結んで来た。日本発の話ですから、日本に敬意を示して、今回のクアッド(日米豪印戦略対話)が日本で開かれたということです。

飯田)10月6日に4ヵ国外相会談を行いました。

日米豪印外相会合を前に、記念撮影に応じる(左から)ジャイシャンカル印外相、茂木敏充外相、ペイン豪外相、ポンペオ米国務長官=2020年10月6日午後5時20分、東京都港区の外務省飯倉公館 写真提供:産経新聞社

クアッドの拡充

高橋)日米関係でも、アメリカが言うことに日本が従うことばかりだったのですが、これは逆で、日本が言ったことにアメリカがフォローをしました。日豪の安全保障の話も少し報道されていましたが、そこで安全保障の話も出て来たし、いずれ拡充しようという話になります。そのときにいちばん有力なのが、このインドネシア、ベトナムということになるような気がします。もちろん台湾などもありますけれど。そういう意味でも、安倍さんがやって来た外交を忠実に継承しているという感じがしました。

飯田)この日米豪印をさらに拡大しようというのは、アメリカのポンペオ国務長官などの国務省の人たちは「クアッド・プラス」とはっきり示していますよね。

高橋)めずらしいですよね。インド太平洋というのはまさしくクアッドの話なのです。日本発の話が、十数年経って実を結んで来た。今後は、外交の1つの軸になって行くのではないですか。

2020年10月19日、ホーチミンの家での首相交流〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202010/19vietnam.html)

中国に対する安全保障のグループができつつある

飯田)将来的なことを考えても、日本を守るためにどうするか。いままでは日米同盟というのが大きくあったわけですが。

高橋)その1本しかなかったのですが、今後は、場合によっては「日豪」というのもあるかも知れないし、「日印」というのもあるかも知れない。アメリカとオーストラリアとインドですから、英連邦の国です。「日英」というのもあるかも知れないし、いろいろなものが出て来る可能性があります。

飯田)そこに関して言うと、TPPにイギリスが入るのではないかと言われています。

高橋)イギリスはEUから抜けたので、経済面ではTPPに入るチャンスだし、入るような気がします。いずれアメリカもTPPに入るかも知れません。そうなると、自由主義圏の、これは経済圏ですけれどね、経済圏があるとそれに伴う安全保障のつながりというのもリンクするのです。広い緩やかな、中国に対する安全保障のグループができそうですけれどね。

飯田)ブルネイやシンガポールを拠点にして、イギリスが再び東洋艦隊をつくるのではないかということも以前から言われています。

高橋)インドネシアなどとイギリスとのつながりもなくはないですからね。このような話は長くゆっくりと、10年スパンで見なければいけないのですが、できつつあるような気がします。特にオーストラリアは最近、中国との関係を見直しています。中国との関係を見直すと、どの国も日本を向くのです。安全保障面ですと、日豪の話が出て来ます。

飯田)産経が1面の3番目の記事に載せていますが、「武器等防護」をオーストラリア軍と自衛隊の間でも実施するとのことです。実現すれば、アメリカに続き2ヵ国目になります。

高橋)アメリカだけというのは、安全保障としては偏り過ぎているかも知れませんよね。またそういう話をすると、「巻き込まれるのではないか」と言うのですが、実は安全保障の関係を結び付けると、「巻き込まれる」より、手出しを受けなくなる方が、歴史的にも実証が大きいのです。安全性が高まるのです。

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