インドが「上海協力機構」から「米印・2プラス2」へ〜習近平体制が招いた結果

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月28日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。インドで開かれたアメリカとインドの外務・防衛閣僚協議(2プラス2)について解説した。

米印/米印2プラス2=2020年10月27日 写真提供:時事通信

アメリカとインドが外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を開催

アメリカとインドは10月27日、インドの首都ニューデリーで外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を実施した。会議に出席したアメリカのポンペオ国務長官は記者団に対し、「アメリカとインドは中国共産党の脅威を打ち破るため協力する」と表明した。

飯田)米印の2プラス2、開催は3年連続だそうです。

高橋)これは本当に国際関係では大きなニュースです。クアッドがあります。セキュリティダイヤモンド構想というもので、日米豪印です。あれは13年前に安倍さんが第1次政権のときに行っていて、私の隣の人が担当だったので、年中話を聞いていました。

飯田)そうなのですか。

日米豪印外相会合を前に、記念撮影に応じる(左から)ジャイシャンカル印外相、茂木敏充外相、ペイン豪外相、ポンペオ米国務長官=2020年10月6日午後5時20分、東京都港区の外務省飯倉公館 写真提供:産経新聞社

「上海協力機構」から「米印」へ

高橋)聞いていて思ったのは、アメリカとオーストラリアは簡単なのですが、インドを入れるのは大変だということです。インドは「上海協力機構」という中国、ロシアの軍事協力機関に属しているので、あれから剥がすのはとても大変だと思っていました。インドは日本と仲よくしていましたが、中国とも仲よくして、上海協力機構に参加して会議もしていました。そのインドがこうなったのは、習近平さんのおかげです。

飯田)インドは第三極として引くというスタンスでしたよね。

高橋)それで習近平体制になり、インドに手を出し始めた。最近では武力衝突までありました。そんなこともあって、「米印」という、あり得ないような組み合わせになって来ているのです。

飯田)核実験そのものも核配備も認めないということですよね。

高橋)不拡散条約にインドは加盟していませんし、アメリカの傘下に入らないということです。

飯田)もともとそうした気質が強かった。

高橋)そうです。人口も多いし、「自分たちは独自の道を行く」というところがあったのですが、そのインドがここまで来たのかと、感慨深いところがあります。

インド軍死者20人に 16日、インド北部で防空壕をつくるインド兵(アナトリア通信・ゲッティ=共同)=2020年6月16日 写真提供:共同通信社

インドが中国から離れ、日米に近づくのは習近平体制のおかげ

飯田)中国との抗争でカシミール地方では、かなり死傷者が出ました。今回、この「2プラス2」のなかで合意したところでは、アメリカの衛星や地図データの使用を認めるそうですね。

高橋)中国の敵国のようなものになってしまっていて、上海協力機構から除外するのではないかなと思います。しなければ「どちらなの?」という気もしますよね。

飯田)そうですよね。

高橋)そうなることは、日本にとっては悪いことではありません。日本はこうしたことを目指して、セキュリティダイヤモンドを行って来たので、それがようやく実を結びました。ある意味では、習近平体制の結果でもあります。中国とインドの仲が悪くならなければ、ここまで来なかったのではという気がします。

2020年10月26日、所信表明演説を行う菅総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202010/26shu_san_honkaigi.html)

菅総理の「自由で開かれたインド太平洋を目指す」という表現の意味するところ

飯田)その中国に対してどう対応して行くのかというところですが、一部の新聞が触れていましたけれど、安倍さんはインド太平洋戦略というものを立ち上げて、自由で開かれたインド太平洋構想という形で政策として体系づけました。菅さんに変わってからは、戦略や構想という言葉を外して、「自由で開かれたインド太平洋を目指す」という表現に変わりましたが、これは「対中配慮をしているのだ」という指摘もあります。これはどうですか?

高橋)配慮をしていたら、言わないと思いますね。「インド太平洋」と言ったらアウトですよ。

飯田)「自由で開かれたインド太平洋」という言葉を使った時点でということですか?

高橋)配慮したとは言えません。アメリカやインドが具体的に出ている。また日印豪というのも具体的に出て来ていますよね。

飯田)来月(11月)、日米印で行っていた軍事演習に、オーストラリアも加わるのだということです。

高橋)日本の自衛隊はアメリカとしかやっていなかったのですが、オーストラリアの軍隊ともいろいろな協力をやるようになりました。ですので、全然配慮はしていません。着々と進んでいるという感じがします。中国は当然反発します。

飯田)それを中国側もまったく知らないわけではなく、見ているわけですね。

習近平氏、深セン経済特区40周年大会で重要演説=2020年10月14日 写真提供:時事通信

習近平主席が蒔いた種

高橋)だからこうやって反発するのです。台湾との話も反発しますし、中国は中国の周りすべてに反発しています。もともとは習近平さんが蒔いた種です。

飯田)一帯一路もうまく行かないなかで、中国は外に出ざるを得なくなっているという指摘もあります。

高橋)一帯一路の「一帯」は海なのですが、インドがこうなってしまったら、もうできません。一路というのは内陸ですので、大したことがないです。日本としては、安全保障の観点から必要なことです。

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