ビギナーにもわかる!『鬼滅の刃』テレビ放送のビジネス構造とは? 〜辛坊治郎が調べてみた

キャスターの辛坊治郎氏が10月27日(火)、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。いま人気のアニメ『鬼滅の刃』のテレビ放送のビジネス構造について解説した。

(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

辛坊)『鬼滅の刃』というアニメがあるではないですか。これを、私がたまたま最初に目にしたのは、沖縄旅行に行っているときに、フジテレビの『土曜プレミアム』というゴールデンタイムの枠でやっているのを見たのが最初のとっかかりなのですよ。しかし、このアニメの構造がどうなっているのかというのがすごく気になって。さらに、いろいろな事情があってどハマりしまして、禰豆子ちゃんを片手に持ちながらいまオンエアしているという状況なのですけれども。

辛坊治郎

辛坊)そこで、どういう構造になっているのか。おそらく全国的に若年層で『鬼滅の刃』の全体構造が分かっている人はいろいろなことが理解できていると思いますけれど、それ以外の人は何だか話題になっているけれど、さっぱりわからないという方多いと思います。特にある一定年齢以上はそうだと思うのは、例えば『巨人の星』とか言うと、日本テレビ系列で全国ネットで週1回放送されているアニメだとか、『名探偵コナン』というと読売テレビ発で全国テレビネットで放送されているアニメだとか、そういうイメージがあるではないですか。しかし、『鬼滅の刃』というのは、そういうテレビ局が何か仕掛けてというのとは違うグループに属する珍しいアニメなのですよ。だから、いわゆるその基幹局という、東京のキー局というところがどこかのアニメのコーナーでアニメ会社とコラボしてつくったというのではありませんから。

まずもともとこの『鬼滅の刃』というのは、週刊少年ジャンプで週1回連載されていましたと。そして、『鬼滅の刃』が週1回連載されていてある程度人気になりましたと。そしてアニメをつくることになったと。週刊少年ジャンプの方の連載は今年2020年の夏の前に終わりましたが、コミックはまだ22巻しか出ていないので完結していませんけれど、ストーリーとしては、雑誌の連載としてはもう終わっています。アニメはどこまでできているのかと言うと、昨年2019年の春、4月から9月、東京ではTOKYO MXという、ローカル局で細々と。こういうアニメは最近増えているのですよ。BS放送で深夜しかやっていないとかいうアニメがけっこうあるのですが、その系譜でしょう。たまたま放送がTOKYO MXということで、TOKYO MXはおそらくお金を出していないのだと思います。

増山)そうなのですね。

増山さやかアナウンサー

辛坊)そのアニメの製作に関しては、例えば東京のキー局がアニメをつくると。アニメをつくるには莫大な費用がかかると。そこでスポンサーからお金をもらいますし、局がお金を出すこともあります。例えばフジテレビなら、フジテレビでアニメを毎週放送しています。そこでスピンオフで映画をつくろうとなると、大体フジテレビがお金を出して映画サイズのものをつくりあげて、放送して、映画の興行収益から一定額をフジテレビが手にするという形ではないですか。映画のエンドロールを最後まで見るとだいたい最後にどこかのテレビ局の名前が最近の邦画には入っているのです。

増山)多いですよね。

辛坊)ところが今回私は「鬼滅の刃」の劇場を観に行って、いちばん引っかかったのですが、最後のところにテレビ局のロールがないのです。テレビ局はこれに出資していないのか!……ということで、どういう構図かと言うと、第1シリーズがアニメ化されたのは26話あるのです。26話あるのですが、1話30分です。オンエア尺は30分ですが、CMやら何やらがたくさん入っていますから、実際の尺は20分ちょっとだと思います。正確に測ったわけではありませんが、おそらく20分強だと思います。その20分強のものが26本で6ヵ月間TOKYO MXで放送されたわけです。ただこれは“番組販売”だと思うのです。“番組販売”がなにかと言うと、どこかのテレビ局がその放映権をガチッと固めているわけではなく、アニメを製作する会社のグループが、これを放送したいと言う会社があればお金さえ払えば売ると。そして売ると、買ったテレビ局はそれに自社で独自に放送枠を設定して、スポンサーをつけて放送すると。そして当然のことながらテレビ局としては、スポンサー収入でアニメを買ってきたお金を賄うと。だから買いさえすれば放送できると。だから第1シリーズの放送は、いちばん最初に出たのはTOKYO MXなどで、昨年2019年の4月から9月だったのですが、次に当然高値で買い取ってもらえるところに買い取ってもらいますよね。

(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

辛坊)そこで、『鬼滅の刃』がブームになりましたと。放映権を次に手に入れたのはフジテレビです。ところがフジテレビは不思議な放送形態なのです。どういう戦略だったのかわかりません。おそらくこれがどれくらい当たるかわからなかったのかもしれません。背景には1つ、この『鬼滅の刃』の劇場版の公開があります。映画会社としてはその前に宣伝を打ちましょうと。おそらくその辺りをテレビ局と話して、映画の劇場公開の直前にそれまでのストーリーがわかるものを何らかの形で放送しましょうということだったのだろうと思います。

しかし、フジテレビのやり方がよくわからなかったのは、土曜プレミアムという全国ネットの枠で放送したのが2回なのです。そして、他は深夜帯に30分1本ずつ放送していくわけです。そうすると、第1シリーズという26本ですべてのコミック、雑誌連載分が完結しているわけではありません。26本観ても途中までしか終わらないというものなのですが、第1シリーズ26本のうちの1回目から5回目までの30分×5。実際は1本の尺が20分程度しかありませんから、これで2時間を埋める。そして、この#1から#5までを1つに固めて、土曜のゴールデンタイムに全国ネットで放送したのです。その後、#6から#14というのを1本ずつ夜中に放送していったのです。そして、次の#15から#21をまたひとかたまりにして、これも2時間でまとめて土曜のゴールデンタイムに全国放送したのです。そして、#22から#26をまた深夜に放送するわけです。関東地方に住んでいたら、アニメで放送された26本をすべて見ることができるのですが、関東以外の人たちは、全国ネットで放送されているのは#1から#5までと、#15から#21までなのです。

増山)それは少し微妙ですね。

増山さやかアナウンサー

辛坊)そうなのです。そして、映画化されたものは#26より後の部分なのです。しかしそれでもまだ終わっていない。おそらくそこからさらにありますから、多分これだけ視聴率を稼ぐことになると、次はTOKYO MXではなく始めから全国ネットで、場合によってはゴールデンタイム、プライムタイムで放送されるかもしれないと思いますよ。いまの勢いなら。なぜなら関東ではそういう状況なのですが、関西ではアニメの#1から順番に金曜日の夜の7時から、毎週放送になっているはずです。

増山)ゴールデンタイムに。

辛坊)そして、その金曜日に確か1時間でやっていますから2本分まとめてやっているかもしれません。そんなことで関西に住んでいらっしゃる方は金曜日の午後7時から放送になっていますから、それをずっと観ると1から26話の放送が見られるという状況です。その第1回目の放送が関西で先週の金曜日(23日)だったのです。視聴率はどのくらい取るかと思ったら、15.1%取ったのです。やはりいまテレビ全体の視聴率が他のメディアに食われて全体が地盤沈下しているなかで、金曜日の夜の7時に15.1%と。昔ながらの計測方法である世帯調査で15.1%というのは、相当とんでもない数字です。世帯視聴率で15.1%を取ったとなると、これは第2シリーズがいつ始まってどこが放送するか、まだまったく決まっていないのですが、いまのこの勢いなら来年2021年の春くらいから。だからそのときにどこからスタートするか。映画で放送されているパートがあるわけですよ。『無限列車編』というのですが、その前に『那田蜘蛛山編』というのがあって、これがこの間全国ネットで放送されたのですが、その後少しエピソードがあって、『無限列車編』の部分があって、ここが劇場で、そこからさらに続く部分を多分第2シリーズとして来年2021年の春くらいにやるのだろうという全体像がやっと分かったのです。

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