「トランプ対トランプでない人」の戦い〜米大統領選投票開始

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月4日放送)に東京外国語大学教授で国際政治学者の篠田英朗が出演。投票が11月3日に始まったアメリカ大統領選挙について解説した。

ホワイトハウスで記者会見するトランプ米大統領(アメリカ・ワシントン)=2020年7月28日 EPA=時事 写真提供:時事通信

アメリカ大統領選挙の投票開始

アメリカ大統領選挙の投票が現地11月3日朝(日本時間の11月3日夜8時)から始まった。共和党のトランプ大統領が再選を果たすのか、それとも民主党のバイデン前副大統領が政権を奪うのか、注目が集まっている。

飯田)混戦と言われていますが、どうご覧になりますか?

22日、米テネシー州ナッシュビルで、大統領選討論会の会場近くで気勢を上げるトランプ大統領の支持者ら=2020年10月22日 写真提供:産経新聞社

選挙によってどんな混乱が起こるのか

篠田)選挙ですので、いちばんの関心はどちらが勝つかということです。前回の大統領選では、私の同僚も大変な目に遭いました。一般投票ではクリントンさんが上回ったものの、最終的にはトランプさんが勝つという複雑な結果になりました。連邦制度特有のものでした。今回の選挙の注目点は、「混乱が起こるかどうか」です。2000年のゴア対ブッシュの選挙では、「ポピュラーボート」と言いますが、一般の投票数では民主党のゴアさんが上回ったものの、結果はブッシュ大統領の勝利でした。この選挙では、最高裁まで行った錯綜した争いが起こりました。あの選挙以来、21世紀に入ってから「2極分化」という現象が顕著になりました。

飯田)そうですね。

篠田)今回は選挙前に、大統領選挙が意識された形で、人種問題やマスクをつける、つけないという問題まで、いろいろな騒乱がありました。武装した集団が闊歩するという現象も起こっています。不測の事態に備えて、自分の店にバリケードとして板を張るなどという現象が起こり、「ここまで至ったか」と思いました。どちらが勝つかももちろん大きな注目ですが、この種の混乱がどういう形で起こるのか、起こったときにどういうインパクトがあるのかが直近の大きな関心です。

15日、米ノースカロライナ州で、期日前投票の列に並ぶ有権者(ロイター=共同)=2020年10月15日 写真提供:共同通信社

「トランプ対トランプでない人」

飯田)日本からすると、どちらが日本にとっていいのか、そのご指摘の混乱が東アジアの情勢にどう影響するのか。台湾に対して中国が強く出るのではないかという警告の記事が一部では出てもいますが、どうご覧になりますか?

篠田)今回の選挙の場合、政策的には、「トランプ対トランプでない人」という位置付けがあります。何をするかわからないトランプさんに対して、穏健または常識的な政治家であるバイデンさんという、漫画チックな展開を示しています。政策面で劇的に違いがあるかと言うと、必ずしもそうではありません。トランプさんの色は、ツイッターでの発言など、人柄部分にあり、政策的にどこまで過激なのかということについては、評価が分かれます。バイデンさんの基本スタンスは、「トランプさんのような変なことをやらない」ということです。ですが、バイデンさんの色ははっきりしていません。

11月2日、米大統領選の投票日を前にノースカロライナ州で支持を訴える共和党のトランプ大統領(左、ロイター=共同)とオハイオ州で支持を訴える民主党のバイデン前副大統領(ゲッティ=共同) 写真提供:共同通信社

今回の大統領選が今後の国際政治にどのようなインパクトを与えるのか

篠田)そのなかで、周りの人の武装した集団も含めた過熱度だけがヒートアップしている現象が、コロナ禍のなかで起こっています。よくわからない争点のなかで、混乱だけが広がるということになると、アメリカの超大国としての威信が、更に下がる現象が起こると思われます。そこに具体的なアクションを各国が仕掛けて来るかどうかは、各国の行動次第ですが、大きな流れのなかで、アメリカの威信が下がるという現象が発生するのは間違いありません。「今回の大統領選挙が、今後の国際政治にどのようなインパクトを与えるのか」ということが、私としては、大きな着目点です。

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