需給ギャップをどう戻すか〜対策しなければさらに失業が増える

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月11日放送)に数量政策学者で内閣官房参与の高橋洋一が出演。菅総理が2020年度第3次補正予算案の編成を指示したというニュースについて解説した。

2020年11月9日、発言する菅総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202011/9keizaishimon.html)

菅総理が2020年度第3次補正予算案の編成を指示

西村経済再生担当大臣)対策の柱は3本でありまして、1つは新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策、第2の柱がポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現、3つ目の柱が防災、減災、国土強靭化の推進。第3次補正につきましては、来年度の当初予算と一体として15ヵ月予算の考え方のもと編成をして行くことになります。

 

菅総理は11月10日午前の閣議で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う追加経済対策の策定と、2020年度第3次補正予算案の編成を指示した。補正予算案と来年度予算案の編成を並行して進め、いわゆる「15ヵ月予算」とすることで、切れ目なく対策を講じるよう指示をした。

飯田)経済対策を本格的にやるようです。10日の閣議で指示があったのですが、それに先立って、9日には経済財政諮問会議も開かれています。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

需給ギャップをどう戻すか〜対策しなければ失業が増える

高橋)その諮問会議に私も参与として出席しました。2020年度3次補正の話や経済状況の話をするというので聞きに行きました。この時期は国会もあるので長く議論はできないのですが、GDPギャップとも言いますけれど、需給ギャップは大きいのにどうしたらいいかという話が中心でした。それは報道されていませんね。

飯田)需給ギャップというのは、実際の購買力なども含めての需要の部分と、想定される、フルに回転させたらどのくらいになるかというところとのギャップということですか?

高橋)フルに回転させたらというのが、潜在GDPです。実際の経済がフルに回転したところまで行けば、すごくいい状態ということなので、目指すべきはそこなのです。

飯田)本当の実力ですね。

高橋)本当の実力をフルに出させてあげれば、雇用も生まれます。そこは内閣府も計算しています。7〜9月のGDPが16日に出ますが、内閣府の計算では5%増で、内閣府が計算した潜在GDPと比べると、30兆円くらいまだ余地があります。内需でそこまで行かないので、対策をやらなければ、半年から1年後に失業が増えます。対策したくない人が小理屈を言っています。それは新聞などに報道されていました。

飯田)そちらの部分は、当初予算と1次、2次の補正を含めて、すでに半分以上が国債で賄われているから、「これ以上は危険だ」ということですね。

記者会見する日銀の黒田東彦総裁=2020年1月21日午後、東京・日本橋本石町の日本銀行 写真提供:産経新聞社

金融緩和をして国債を買う〜インフレ目標が2%まで行かなければいい

高橋)そういう言い方もあるのですが、今回の話は日本銀行が国債を買うということです。インフレ目標に達していなくて日本銀行が国債を買うということは、利払い費と償還負担がないのです。インフレ目標を超えると大変なのですが、今回のコロナは需要ショックなので、当分超えないということは、日本銀行の物価見通しを見てもわかります。今年度マイナス0.6%くらいで下方修正しています。それであれば、インフレ目標に当分行かないので、安心して国債を買っていいというレベルです。

飯田)金融緩和をして国債を買ういちばんのリスクは、インフレ率が高まることだからインフレ目標があると。

高橋)逆に言うと、それが財政規律になるので、それを気にすればいいという簡単な話です。

飯田)目標というと達成しなければいけないと思いますが、ブレーキを踏むのがこのくらいの目安だということですか?

高橋)インフレ目標はそうです。2%までにやればいいので、2%以下になっても怒られることはありません。インフレ目標で「2%まで行かなければいけない」と勝手にマスコミが言っているだけです。理論的に言うと、「2%まではいい」というだけで、2%に行かないで雇用が達成できれば、それでいいのです。逆に言うと、2%に行かないということは、財政規律にも触れないように国債が出ても、日本銀行が買えるということを示しているのです。渋る理由はまったくありません。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

金融緩和に遅れれば円高になり景気は腰折れする

飯田)アメリカやヨーロッパがコロナ対策でどんどん金融緩和をして、財政出動しようとしています。一方で日本は足踏みをしている。この間、一気に円高に振れた時期がありましたよね。

高橋)円高になりますよ。欧米がコロナ対策をしたら、ほとんど中央銀行が引き受けます。金融緩和になるとドルとユーロが大きくなり、円が大きくならなければ、相対的に円が少なくなって、希少価値が出て円高になります。円高に振れる要素は高いですよ。円高に振れると景気が瞬く間に腰折れしてしまいます。

飯田)ここのところ、日経平均は上げて来ていますけれども、9日は103円台まで円高が進んで、いまは105円台まで戻って来ました。

高橋)少し戻ることはありますが、年初に比べると円高になっています。他の国がコロナで金融緩和しているのに、日本銀行はやっていないからです。日本銀行はお金の刷り負けというレベルです。こういうときに渋ると、イールドカーブ・コントロールという政策のもとでは刷り負ける可能性が高いです。

飯田)10年債を目処として、長期国債の利回りをだいたい0に合わせて行くのが、イールドカーブ・コントロールと言われます。

高橋)刷り負ける可能性が高いです。他の国はイールドカーブ・コントロールをしていませんから、国債が出たときに中央銀行が買うのです。

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