ホワイトハウスのトランプ大統領に対する政治的配慮は大人気ない

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月31日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。トランプ大統領の来日にあたり、イージス駆逐艦「ジョン・S・マケイン」を隠せとホワイトハウスが要望していたことについて解説した。

米ホワイトハウス、イージス駆逐艦「ジョン・S・マケイン」を隠せと指示か

2017年にタンカーと衝突し、アメリカ海軍横須賀基地に停泊中のミサイル駆逐艦の名前を「ジョン・S・マケイン」と言う。この名前はトランプ大統領と対立し、2018年8月に脳腫瘍のため亡くなったアメリカ共和党の重鎮、故ジョン・マケイン元上院議員や、マケイン氏の祖父、父親などの名前にちなんでいる。
アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは、トランプ大統領が5月28日に横須賀基地を訪れた際、イージス駆逐艦「ジョン・S・マケイン」の名前がトランプ氏の目に入らないよう、ホワイトハウスが海軍に要望していたと発表した。これはトランプ大統領がマケイン氏と険悪だったことに配慮してのことと見られている。

飯田)ホワイトハウスも随分と細かいところに気を遣いますね。

宮家)忖度と言う人もいるかもしれませんね。僕、実はこのジョン・マケインさんと、ほぼ一対一で昼飯を食べたことがあります。立派な人ですよね。しかしトランプさんは、この英雄に対して「捕まるのが悪い」などと言うわけです。そんなことを言っても、ベトナムで捕虜になって何年も耐えたのだから、やはり英雄なのですよ。そんな人を政敵として扱って来た。これは忖度と言うより、ホワイトハウスの一種の政治的な配慮ですよね。

【トランプ米大統領来日】羽田空港に到着したトランプ米大統領とスカートを押さえながらタラップを降りるメラニア夫人=2019年5月25日午後、羽田空港 写真提供:産経新聞社

トランプ大統領に対する政治的配慮か

宮家)僕が外務大臣秘書官をやっていたときに、ある大臣が閣議の後でどうしても宮中に行かなくてはならなくなった。国会開催中だったので、国会内で場所を見つけてモーニングに着替えなければならず、その場所を探せと言われたのですよ。ようやく探したら、着替えが終わった後で大臣に「お前は政治音痴だ」と怒鳴られたのです。よく考えたら、それは当時の自民党役員の部屋だったのだけれど、それがその大臣の政敵の部屋だったのですよ。
おそらくアメリカでも同じです。ホワイトハウスからすれば、ジョン・S・マケインの隣になんて行けるわけがない。それを大統領が見たらまた何を怒り出すか分からないから、政治的な配慮をしろと。おそらく一生懸命やったのだろうけれど、子供じみていますよね。事故を起こして修理中なのに、ジョン・マケインという名前は隠した。アメリカも情けないですよ。もう少し大人の対応ができても良いのだけれど、逆に言うと大人の対応ができないほど、大統領は子供なのかもしれませんね。

現地ベトナム人にも尊敬されていたマケイン氏

飯田)もともと名前は「ジョン・S・マケイン」とついていて、2018年7月にマケインさんの名前も艦名の由来に加えられたということです。お父さんやお爺さんも海軍士官と言うか、トップだったのですよね。ハノイのマケインさんが収容されていた場所に見学に行ったことがあります。

宮家)どうでした?

飯田)マケインさんのことを、ベトナムの人たちも「こいつは男のなかの男だ」と尊敬していました。その後のマケイン氏との交流のあり様も、写真付きで特集のお部屋があって。

宮家)そうですか。ベトナムが変わったという点もありますが、当時からベトナム人の尊敬を集めていたのでしょうね。僕はマケインさんってそういう人だと思います。だから、トランプさんがマケインさんのことをボロカスに言うことに対して、私はとても抵抗がありますね。それならば戦争に行って戦ってみろと思います。自分は戦わなかったくせに、戦争に行った軍人を中傷するなんてとんでもないと思います。

飯田)ベテランの軍人たちに対する尊敬は、日本とアメリカでは比較にならないですよね。

宮家)そうですね。だからマケインさんも、トランプさんのことを悪く言うのですよね。

飯田)マケインさんも歯に衣着せぬタイプだったのですね。

宮家)だから2人のケミストリーが合わなかったのは仕方ない。だからと言って船の近くに行くなとか、隠せとか、大人気ないですよ。アメリカの政治も劣化したものだなと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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