誰もが思った「津波がないんだ、よかった」……震度6強地震 現地レポート

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月15日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。2月13日に発生した福島県沖を震源とする地震の影響・対応について、ラジオ福島の深野健司アナウンサーが解説・レポートした。

震度6強の揺れで天井が落ちかかった道の駅=2021年2月14日、福島県国見町 写真提供:産経新聞社

宮城・福島で震度6強〜けが人155人

2月13日午後11時8分ごろ、宮城県南部、福島県の中通りと浜通りで発生した最大震度6強の地震で、けが人は155人に上っている。また、地震で激しい揺れを観測した東北や関東では、15日は雨が強く降る恐れもあり、気象庁は安全確保を心掛けるよう呼びかけている。

飯田)震源から近い福島県はどういう状況だったのか。ラジオ福島の深野健司アナウンサーと電話をつないで詳しく伺います。まずは13日の夜ですが、どのような揺れでしたでしょうか?

深野)夜の11時過ぎということで、福島市内の自宅にいました。最初に「ゴーッ」という地響きのような音が聞こえて、その直後に小刻みに揺れ始めました。そのあとに大きな揺れが襲って来まして、その「ゴーッ」という音から完全に揺れが収まるまで、少なくとも1分はあったかと思います。

飯田)断続的に揺れ続けたと。けっこう激しかったわけですね?

2021年2月14日、発言する菅総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202102/14kaigi.html)

誰もが思った「津波がないんだ、よかった」

深野)東日本大震災のときは、私はラジオの生放送中に地震に遭いました。まったく違う環境だったので一概に比較できないのですが、東日本大震災のときは、長さが2分40秒ありました。それと比べると、時間としては半分以下でした。うちの家族が地震の直後に漏らした言葉が印象的だったのですが、大きな津波の心配はないという報道を聞いたときに、「津波はないんだ、よかった」と言いました。これが福島県民の、まずいちばんの大きな思いだと思います。

飯田)地震が来ると津波を想起するし、みんなそこを身構えていたという感じですね。

深野)そうですね。津波の発生によって甚大な被害が出ましたので、東京電力福島第一原子力発電所のことも含めて、福島県民は津波を心配するということが習性として身についているのだと思います。

給水を受ける親子連れ=2021年2月14日、福島県桑折町 写真提供:産経新聞社

揺れは東日本大震災よりも大きかった

飯田)地震の建物や構造物への影響に関しては、今回の6強でもかなり強いということがわかりましたね。

深野)被害についても東日本大震災とは違いまして、私がいるのは県北部の福島市で、ここは震度6弱なのですが、さらに北、宮城県との県境付近にある国見町、それから今回報道で取り上げられている桑折町。ここは福島市と10キロ離れているか離れていないかくらいなのですが、そのさらに北の方が被害が大きいです。ブロック塀が倒れたり、家の壁が剥がれたり、瓦が落下したり、場所によって被害の違いがありました。それと「東日本大震災より揺れは大きかった」という方が多くいらっしゃいます。

飯田)街のなかの様子、また、この週末はいかがでしたか?

深野)地震があったのが週末の土曜日ということもありまして、家のなかで被害に遭われたという方が多いです。我が家で言えば、東日本大震災のときは家のなかの被害はまったくなかったのですが、今回の地震では、加湿器が倒れて水浸しになり、植木鉢が全部倒れ、壁掛け時計が落ち、片付けるのに時間がかかる状況でした。東日本大震災のときは小物が落ちる程度で大きな被害はなく、ただ大きな家具やピアノなどが横に動いたまま止まっているという。被害の様子も、地震の大きさや規模で襲って来る形が違うのだなという印象ですね。

避難所の入り口では検温やアルコール消毒を実施。テントで区切られ、密にならない対策がとられた=2021年2月14日午前、福島県相馬市 写真提供:産経新聞社

東日本大震災での教訓〜ガソリン問題

飯田)番組に寄せられた宮城県の方からのメールには、ガソリンスタンドが混んでいたとありました。そのような、例えばものを買いに走るというようなことはありましたか?

深野)東日本大震災のときにガソリンスタンドに長蛇の列ができて、リスナーからの情報も含めて、ガソリンについては情報が錯綜しました。その後、「リスナーからいただいた情報は裏を取らなくてはいけない」となったのですが、それはガソリン問題が大きなきっかけだったのです。ガソリンを求めるために列をつくって、寒いからそこで練炭を焚いて亡くなったという方もいらっしゃいました。いまガソリンを求めるべきなのかどうかも含めて、「過剰に反応することは、考えなければいけない」というのが東日本大震災での教訓です。

東日本大震災・首相官邸献花式で標柱へ一礼する安倍晋三首相=2020年3月11日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

地震が発生した際の初動での対応が大切

飯田)スタジオには須田慎一郎さんもいらっしゃいます。

須田)10年前に大震災を経験されていて、それを受けていろいろな備えなどが行われていたと思うのですが、その辺り、まだ不足しているところ、また、「こういうことをやっていてよかったな」というものはありますか?

深野)私は出身が東京で、26年前に福島に来たのですけれども、福島県の置かれている環境というのは、農村地帯が多いですし、都市部と言っても東京ほどの都市部ではないので、ある程度どのような方々がラジオの放送を聴いていらっしゃるか想定できるのですが、東京の場合は、郊外の一軒家の方からビル群にいらっしゃる方もいるし、身の安全の確保の仕方が人によってさまざま違うわけです。ですので、ラジオで何を伝えればいいかということが東京の皆さんは難しいと思います。私は10年前に「身の安全を確保してください」ということを数十回と言ったのですが、家のなかだとどこが安全なのか。家のなかが心配なら外に出なくてはならないですし、繁華街であれば外は逆に危険かも知れませんし、大きな地震のときの初動はいちばん考えなくてはいけないことだと思います。

飯田)平時から想定しておかないと、とっさになかなか出て来ないですよね。

深野)何もないときに、考えておくことができるかどうかがポイントになると思います。

2021年2月14日、会見する菅総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202102/14bura.html)

宮城・福島で強い雨の恐れ

飯田)15日にかけて宮城・福島もそうですが、かなり強い雨が降ると言われていますけれど、それに対する備えは、何かされていますか?

深野)今回、気象庁の方で基準が引き下げられましたので、注意報・警報が発令されたらすぐに避難所に避難できるかなど、先に行動に移せるかどうかというところがポイントになります。ラジオでもその辺りは警報が出たらすぐに避難を呼び掛ける、そういう体制が必要になると思います。

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