2050カーボンニュートラルへ向け〜「原発と共存」という考え方

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月1日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。福島第1原発3号機の使用済み核燃料の搬出作業が完了したというニュースについて解説した。

東京電力福島第1原発敷地内に立ち並ぶ処理水保管タンク=2020年2月 写真提供:共同通信社

福島第1原発3号機〜使用済み核燃料の搬出完了

東京電力は2月28日、福島第1原発3号機の使用済み核燃料プールから、核燃料計566体を搬出する作業を完了したと発表した。メルトダウンを起こした1号機〜3号機のうち、燃料の取り出しが終わるのは初めて。2019年4月から作業を始め、トラブルもあったが、2021年3月末までの目標期限内に達成し、廃炉に向け一歩前進した。

飯田)3号機、水素爆発をした建屋ということで、その瓦礫の撤去が大変だったということです。

政治 菅義偉首相が就任後初、福島県訪問 東電福島第1原発の構内を視察=2020年9月26日午後0時6分、福島県大熊町 写真提供:産経新聞社

処理水をどうするか

須田)今回、1つ廃炉に向けて前進した。そして福島第1原発と言うと、処理水の問題をどうするのか。これは別々に考えているようですけれども、一体化している話なのです。東京電力サイドの説明によると、敷地内にタンクを次々とつくってしまったために、最終的にこの処理をするときの機材搬入、または瓦礫を一旦運び出すスペースがもうなくなって来ているということです。だから「あと2年が限界だ」というのは、そこに1つ理由があるのです。「もっとプールをつくればいいではないか」という話はあるのだけれども、そのスペースを確保することが難しくなって来ているのです。

政治 東電福島第1原発の処理水めぐり、全漁連が梶山弘志経産相に要請書=2020年10月15日、経産省内 写真提供:産経新聞社

電力の卸価格上昇〜液化天然ガスの国際価格の上昇から

須田)電力価格、卸売価格の方がこの冬急激に上がったという話がありました。小売りでなく卸売価格、つまり発電している側とそれを小売りする新電力側のやり取りするマーケット価格が上がってしまった。これは、火力発電のための液化天然ガスの国際価格が急上昇したという状況を受けてのことなのです。いま一方でCO2の排出量を削減しようということで、高性能な火力発電所にシフトして来て、ドイツなどもそうですが、液化天然ガス(LNG)の争奪戦が起こっているのです。

飯田)石炭火力を使わなくなって来ている、ということですね。

須田)液化天然ガスの争奪戦が起きていて、電力需要が起きてもスムーズに輸入ができない。それで価格が上がってしまったという経緯があるのです。そうすると、この火力発電所はどう考えても、安定的な価格で安定的な量を供給する「ベースロード電源」とするのは、難しいのではないでしょうか。元より再生可能エネルギーも難しいですし。

飯田)電力は瞬時に需要と供給を合わせないといけないのだけれども、再生可能エネルギーはお天気任せな部分があるから、需要と供給をマッチさせるところまでは行かないわけですね。

東電強制起訴判決 福島原発事故の刑事責任を問う訴訟で、東電旧経営陣に無罪判決出たことで、「不当判決」を訴える原告ら=2019年9月19日、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

原子力発電も含め、どう安定的なベースロード電源を提供できる体制をつくるのか

須田)CO2の排出量が少ない新型火力についても、LNG価格が上がってしまうと、これもまた安定的な価格で提供・供給することができないという状況になってしまいます。そういう点で言うと、原子力発電所はそういう状況のなかで、ある意味で非常に優れた存在になるのです。ただ安全性の問題を考えると難しい。「どう安定的なベースロード電源を提供できる体制をつくるのか」という議論もする必要があるのではないでしょうか。ただ単純に「原発は危ない」とか、「あの悲劇を忘れてはいけない」という議論だけでは、前に進まないのではないかと思います。

飯田)その上、この先クリーンなエネルギーでクリーンな移動手段をということで、「電気自動車を普及させます」と政府も言っていますが、そうなれば電力需要が高まるということですよね。

小泉進次郎環境相がいわき市内で記者団の取材に応じ、原発の処理水に関する質問に答えた=2019年9月17日午後、福島県いわき市 写真提供:産経新聞社

「原発と共存」という考え方〜2050年カーボンニュートラルへどういうプランで臨むか

須田)そうなのですよね。それをどう提供して行くのかという問題もあります。何も原発を再稼働するとか、新しく建設するのではなくて、しばらくの間は「原発と共存」というのがいちばん考えやすいやり方ではないかと思います。

飯田)各国、次世代原発というものの研究もしていますけれども、日本に関しては、「それに携わるために入って来る若手がいないのではないか」ということが言われていますね。

須田)「火山列島地震大国の日本において、原発はいかがなものか」というのはありますからね。1回事故を起こしてしまったので仕方ないのだけれども、カーボンニュートラルにする2050年までに、「どういうプランで臨むのか」というところをゼロベースで考えて行く必要があると思います。原発の是非も含めて、全面的に否定するのではなく、考える必要があるのではないかと思います。

飯田)折しも今年(2021年)はエネルギー基本計画の改定の年であると。今年はそういう意味では、議論をするタイミングとしては、かなりいい年でもありますね。

須田)とりあえず廃炉に向けて一定程度のスケジュール感が見えて来たということは、議論を始めるには、いいタイミングなのではないかと思います。

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