復興の基本方針を決めるも〜「公共事業の採択基準が15年前と同じ」という驚愕の事実

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月10日放送)に数量政策学者で内閣官房参与の高橋洋一が出演。政府が閣議決定した新たな復興の基本方針について解説した。

2021年3月9日、発言する菅総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202103/09fukko_gensai.html)

復興の基本方針〜2021年度からの5年間を「第2期復興・創生期間」とする

政府は3月9日、東日本大震災の発生から11日で10年となるのを前に、来年度からの新たな「復興の基本方針」を閣議決定した。復興庁の設置期間を2031年まで10年間延長し、来年度(2021年)からの5年間を「第2期復興・創生期間」と位置付ける。

飯田)このニュースは被災した地元では注目度が高く、宮城の新聞社である河北新報社の3月10日の1面トップはこの復興基本方針の決定ということで、その中身、

『二重ローン対策終了へ 政府、復興基本方針改定を決定』

〜『河北新報オンラインニュース』2021年3月10日配信記事 より

……ということが見出し1面のトップとなっております。10年が経ちます。財源等々もいろいろ議論があります。32兆円あまりのお金が入っているというところですが、これはもう国としてやらなければならないことです。

高橋)インフラ関係ですからね。やらないと。それを整備するのが国の役目ですからね。この32兆円でいろいろと、「コスト・ベネフィット」などと言う人もいますけれど、ある程度は仕方ないと思います。

【東日本大震災9年】Jヴィレッジのグラウンドでキャンドルナイトが実施されたが、強風で全てのキャンドルに火は点かなかった。中にはコロナウイルスに関するメッセージも見られた=2020年3月11日午後、福島県楢葉町 写真提供:産経新聞社

もっと早く設置するべきであった

飯田)ある程度積まないといけないと。

高橋)積まないといけないし、今後のことを思うと、もう少し事前にやっていた方がよかったなということは多いと思いますけれどね。首都直下型や南海トラフなどは、いままでの歴史から見ると、今後30年〜50年でまず起こるというレベルですよね。そのようなことを考えたときに、インフラ整備を徐々にやって行って、なるべく減災するということが正しいのではないでしょうか。それがトータルコストを下げることになるし、人の命を救うことになります。ですから、東北でももう少し早くインフラを整備していたら、多くの人命が助かったのではないかなという思いが強いです。

飯田)そうですね。

高橋)復興は当たり前のこととして、事前の話が重要だといつも思っています。

東日本大震災・首相官邸献花式で標柱へ一礼する安倍晋三首相=2020年3月11日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

公共事業の採択基準が15年前と同じ「金利で4%」〜世界では0.5〜1%が基準

飯田)東日本大震災のあとから、「国土強靭化」という政策テーマが出て来て、そこに防災、減災、事前防災などという話も出て来ましたが、そこに対する予算は、どうでしょうか、昔よりは付いて来たのでしょうか?

高橋)昔より付かなければ、おかしいと私は思っています。国土交通省などには、公共事業の採択基準点で、「コスト・ベネフィット分析」というものがありまして、その割引率が採択基準に影響を及ぼすのですよ。

飯田)割引率。

高橋)割引率というか、金利のような計算がそのなかに入っているのです。金利と置き換えてもいいのですけれどね、「金利で4%」という基準で、いまでもやっているので、「それは違うだろう」と言いました。世界のなかでは、こういう基準というのは、「市場金利を見ながら毎年変わる」というのが当たり前なのです。それを普通に計算すると、いまは0.5とか1なのです。採択基準を変えるだけで公共事業が3倍くらいになるので、そうするべきだと思います。

飯田)4%の利回りを市中で求めたら、ほとんどあたらないくらいですよね。

高橋)無理ですよ。この基準が15年以上据え置きなんてね、私が国交省にいたときにつくったのが最後だったというので驚きました。

飯田)15年前につくった基準が据え置きに。

高橋)本当に驚きました。「こんなの毎年変えるものではないか」と思わず言いましたけれどね。そんなことは全然思わなかったと言うのです。ずっとそのままだというので、本当に信じられなくて。国土交通省の人には年中言っています、これは。

政府主催「東日本大震災8周年追悼式」で、お言葉を述べられる秋篠宮さまと紀子さま=2019年3月11日午後、東京・隼町の国立劇場 写真提供:産経新聞社

4%の利回りが見込めるなら、公共事業でやらなくても民間がやる

飯田)この4%の割引率で考えると、よほど利益が上がるような仕事ではない限り、公共事業はできないという理解でいいですか?

高橋)そうですよね、だからありえないでしょうと。それは逆に言うと、「やるべき公共事業を抑えているように見えますよ」と、いつも言っています。

飯田)4%の利回りが見込めるなら、公共事業でやらなくても民間がやりますよね。

高橋)当たり前です、だから基準が違い過ぎるのです。毎年金利が変わるのだから、この手の話は毎年変えるのが当たり前なのですよ。

飯田)ベースとなるのは経済の見通しであるとか、あるいは長期国債の利率などといった部分ですか?

高橋)そうです。ですから普通の国では、経済の見通しは関係なくて、長期金利から機械的に計算するというレベルの話です。

飯田)そのために財源として、建設国債などもあるわけですよね、本当は連動していると。

高橋)そうです。いくら何でも15年も据え置きというのはないだろうというレベルなのですよ。

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