懸念される中国の今後の“台湾への動き” 〜香港の選挙制度見直しを決定

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月12日放送)に内閣官房参与で外交評論家の宮家邦彦が出演。全人代において中国が香港の選挙制度の見直しを決定したニュースについて解説した。

中国は2020年10月14日午前、広東省深セン市で深セン経済特区〈SEZ〉設置40周年を祝う盛大な大会を開いた。習近平共産党総書記・国家主席・中央軍事委員会主席がこれに出席し、重要演説を行った。〔新華社=中国通信〕写真提供:時事通信社

全人代が閉幕〜中国が香港の選挙制度見直しを決定

中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)は最終日となる3月11日、香港の選挙制度見直しの方針を採択した。中国政府が特定の候補者を拒否する権限を持つなど、中国共産党を支持する親中派が有利となる仕組みで、政治の場から民主派の排除が進むことになる。

飯田)香港に対して、一気呵成に進んで来ました。

習近平氏、長江経済ベルト全面的発展推進座談会で重要演説=2020(令和2)年11月14日 新華社/共同通信イメージズ

習近平主席についての2つの見方

宮家)考え方は2つあると思います。1つは、習近平さんの権力基盤が完全に固まったから、「もう何でも強気で行ける」という意見。もう1つは、これとは逆で、彼は3期目をこれから迎えるわけですから、その前に何らかの実績や成果を残したい。それによって反対派を牽制したい。つまり「弱い立場なのだ」と言う意見もあるのです。

飯田)弱い立場だという可能性もある。

宮家)今回の選挙制度変更の強行も、すでにあれだけ民主勢力を逮捕しているのだから、「こんなことをしなくても」と思う人がたくさんいるでしょうが、習近平さんがあのように有無を言わさずやった背景には、何らかの焦りや、いままで香港への対応がうまく行かなくて、「このまま放置すれば中国への反発が強まるのではないか」という懸念があって、このような動きをしているのではないかという見方もあります。私はどちらかと言うと後者なのですが。

飯田)焦りから。

宮家)その意味で考えると、残念ですが、やはり香港はもうこれで終わりですね。今後も、もちろん我々は、いろいろな働きかけを続けなくてはいけないとは思いますが、中国は言うことを聞かないでしょうね。

就任式で宣誓後、手を振るバイデン米新大統領=2021年1月20日、ワシントンの連邦議会議事堂(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

今後、台湾に対する問題がクローズアップされる可能性が高い

宮家)私は台湾が気になります。先日、アメリカの国防省の関係者である友人からメールが来ましたが、彼らの仲間の一部では、今台湾についての議論を始めているそうです。今回の全人代を見ていると、どちらかと言うと中国経済は持ち直して来た。これからさらに進めて行きたい。今回は香港の問題を取り上げましたが、台湾の問題についてはまだそこまで行っていない。アメリカがトランプ政権ほどメチャクチャなことをするかどうかは別として、台湾の問題についてはアメリカでも関心が高いので、この1年は台湾の問題がクローズアップされるのではないかと心配しています。

台北市の総統府で記者会見する蔡英文総統=2020年1月15日(共同) 写真提供:共同通信社

アメリカは中国に対してどのようなメッセージを送るのか

飯田)アメリカの上院軍事委員会の公聴会のなかで、インド太平洋軍の司令官が出て来て、台湾についての話で、「アメリカは守るのではないか、しかし明文化されているわけではない」という従来の曖昧政策を変えるかどうかという議論がされたと報じられています。軍のトップとしては、なかなか明確なことを言えないところではあると思うのですが、こういうことも俎上に上がって来ているということでしょうか?

宮家)その議論は2020年9月に既に始まっています。これからも引き続き議論されて行く問題だと思います。台湾に関しては「中国に対し、どのような正しいメッセージを送るのか」というところが問題になると思います。

関連記事(外部サイト)