BS4Kが認定されたときの決裁権者は山田真貴子氏であった

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月15日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。総務省の接待問題について解説した。

安倍晋三首相(左)から首相秘書官の辞令を受けた憲政史上初の女性首相秘書官の山田真貴子氏=2013年11月29日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

総務省接待問題、東北新社とNTT社長の参考人質疑

参議院予算委員会は3月15日、集中審議を実施し、総務省接待問題で放送関連会社「東北新社」とNTTの社長が参考人招致として出席する。NTT側と当時の総務大臣らとの会食も明らかになっていて、野党は政治家が関与して行政に影響を与えた可能性もあるとして、経緯をただす方針である。

飯田)東北新社の中島社長、NTTの澤田社長が参考人として出席するということです。

須田)いちばんのポイントは、東北新社が2017年1月に放送法の外資規制に違反していたにも関わらず、衛星放送BS4Kの事業者として認定されたというところです。この認定の経緯がポイントになるでしょう。これは報道されているように、東北新社の衛星放送の認定を取り消すということです。なぜならば、これは放送法93条に認定要件として外資比率を20%未満とする外資規制があり、これを上回っていたのです。104条で要件に該当しなくなったときは取り消しということで、そもそも認定自体が誤りであったのではないかというところがあります。

総務省幹部接待問題の参考人として衆院予算委員会で答弁する山田真貴子内閣広報官=2021年2月25日午前、国会・衆院第1委員室 写真提供:産経新聞社

なぜ東北新社は株主名簿記載を拒まなかったのか〜放送法116条を使えば問題はなかった

須田)手続き上は法に則ったやり方なのですが、小項目として2つあります。1つは「なぜ20%を超えているにも関わらず、認定したのか」ということがあります。もう1点、メディアが指摘していない不思議な点があります。私自身この時点で取材しても見えて来ないものがあります。放送法116条というのがありまして、「外国人等が株式を取得して要件に反することになる場合」、つまり20%を超えるという意味でしょうが、「株主名簿への記載を拒むことができる」というものです。株主名簿に記載しないということは、株主としての権利を行使できない。つまり株主総会等々で議決に入ることができないということになるのです。そうすると外資規制の20%を下回れば問題ないということになる。ではなぜ東北新社はこの116条を使わなかったのか。つまり記載を拒まなかったのか。拒んでさえいれば、問題はなかったはずなのです。

飯田)仮に、単純に見ると20%を超えていても、記載を拒めば経営に影響力を行使できないという理由で、株を買うだけだったらいいという規定が116条にあるわけですね?

須田)東北新社はそういう設定はしていないようなのですが、よく議決権のない株式などがあるではないですか。

飯田)ありますね。

須田)その代わり、配当は少し大きくするというような。外資規制だけではないけれども、そういう形で、幅広く投資家に買ってもらうために設定しておくことができるのです。そういう点で言うと、なぜこの116条を東北新社は使わなかったのかというところが非常に大きな謎です。謎とはいえ想像してみるに、これはあくまでも私見ではあるのだけれども、これを使わなくても何とかなるのではないかと思った、これをやってしまうと、東北新社は上場企業ですから、幅広く投資家に株を買ってもらうことによって株価を上げて行く、高い株価を維持することができる。116条のような伝家の宝刀を抜いてしまえば、外国人投資家が逃げてしまう、株価が下がってしまう、株主・株価対策としてはよろしくない。しかし、それを使わなくても「我が社には人脈があるから」というようなところがあったのではないでしょうか。この辺りが質問されるのかさえわかりませんが、この参考人質疑でどう質問されるのか。

飯田)株価が下がってしまうから。

総務省幹部接待問題の参考人として衆院予算委員会で答弁に臨む山田真貴子内閣広報官=2021年2月25日午前、国会・衆院第1委員室 写真提供:産経新聞社

BS4Kが認定されたときの決裁権者は当時、情報流通行政局長の前内閣広報官・山田真貴子氏であった

須田)もう1点、このBS4Kが認定された2017年1月、このときの決裁権者である情報流通行政局長、事実上、認可するかどうかを決定する人ですが、このときの局長が前内閣広報官の山田真貴子さんなのです。そうなると、途端に雲行きが怪しくなって来ます。

飯田)では、決裁権者とご飯を食べていたということになるわけですね。

須田)なぜ谷垣さんは官房付でそのまま留め置かれているのに対して、山田さんは入院してしまったのか。なぜそれを認めてしまったのか。なぜそんなに都合よく入院するのか。なぜ山田隠しをするのか、というようなところも見えて来ます。

飯田)そうなると総務省全体の何か、特に許認可権に付随するスキャンダルというと、かつていろいろな省庁でそういうことがありましたよね。大蔵省や当時の厚生省で。まだこういうことが残っていたのかという感じですよね。

須田)これは法律上、基準が明確になっているから、取り消すのも当然と思えるのですが、そもそもなぜ法律を無視して認定したのか。認定取り消しというのは「法律を無視した」と認めたことになるではないですか。法律違反で総務省が行政判断を下したということを認めたことになってしまった。

飯田)しかも東北新社は認定されたあとに、株主構成が変化したわけではなくて、もともとそういう株主構成であったこともわかっている。

須田)総務省としては、これはかなり手痛い、大きな問題ですし、担当の役人だけの問題ではなく、組織全体の問題だと思います。この話はかなり大きいですよ。

総務省統計局 外観=2019年1月17日午後、東京都新宿区 写真提供:産経新聞社

総務省にとって放送許認可は肝〜それを切り分けることには猛烈な抵抗が予想される

飯田)金融行政に対しての癒着があったときには、金融行政を財務省の系列とはいえ外に蹴出して、金融庁というものを新たにつくった。当時は金融監督庁であったと思いますけれども。放送許認可、電波に関しても、「総務省のなかでやっていいのか」ということになってもおかしくないですよね。

須田)とはいえそこは旧郵政省にとって、郵政民営化してしまった三事業は実態上力を失っているわけですから、現業ではなく、政策官庁として放送の許認可というのは肝なのですよ。絶大な力を持っているところですから、それを切り分けるというのは難しい。いま飯田さんが言われたようにそこが一体化しているからこそ、総務省、旧郵政省の官僚にとってみると力を発揮できた。そこを切り分けるとなるとパワーダウンは否めないから、猛烈な抵抗になって来るのでしょうね。

飯田)放送のみならず通信の部分もということで、今回NTTの社長も呼ばれているわけですものね。

須田)ただNTTの方は政治家との会食で、先ほどの山田真貴子さんとは違って、実務の方は決裁権限がないわけではないけれども、色濃いわけではありません。私はNTTのことよりも東北新社の方が、根深い問題を孕んでいるのかなと思います。

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