【有本香の以読制毒】安全保障では「中国の嫌がること」が正解だ! いまこそ「日米豪印同盟」をさらに進化させよ

 おかげさまで、本コラムも連載50回を超えました。だからというわけではないのですが、タイトルを少しだけ変え、今回から「以読制毒」とさせていただきます。読者の皆さまの毒消しに、ご活用いただけたら幸いです。

 さて、岩屋毅防衛相が先週末、韓国国防相に行った弱腰対応が激しく批判されている。この批判は当然と思うが、筆者が、先週の安全保障関連で注目したのは、これとは別のまったく報道されない国際会議である。

 タイの首都バンコクで5月31日、日米豪印4カ国の高級事務レベル協議が行われた。テーマは、「自由で開かれた包摂的なインド太平洋」を推進するための共同努力について、である。

 この4カ国の枠組みは、2007年に設立されたもの。表向きは「非軍事同盟」とされているが、実のところは「中国包囲のための同盟」。発案者は、当時も日本の首相だった安倍晋三氏である。

 21世紀初頭にはすでに、中国の軍事的台頭への懸念は深刻なものとなっていた。これに対応、対抗する、アジア版NATOのような枠組みが必要ではないか、との考えから提案されたものだった。

 日米豪印が、インド洋・太平洋を囲んで作る四角形は、ちょうど中国を取り囲む格好となる。しかも4カ国は、「自由」と「民主主義」という、中国と異なる価値観を共有する。

 この「4カ国同盟」に中国は当然、反発してきた。4カ国合同演習などが行われるたび、外交の外交ルートを通じ激しい抗議がされてきた。

 だが、ぶっちゃけて言うと、中国の嫌がることはおおむね日本の国益にかなうことだ。特に、安全保障分野では100%、中国の望むことの逆が正解と言って過言でない。

 そう考えると、いまさら言っても詮ないが、この同盟が設立後すぐ順調に機能していたら、南シナ海での中国の暴挙は防げていたかもしれない。

 苦い歴史を振り返ると、第1次安倍政権が終わった数カ月後、オーストラリアに超親中派のケビン・ラッド氏率いる政権が誕生した。ラッド首相は日米豪印戦略対話から離脱、これが間違いの始まりだった。

 その直後、米国ではバラク・オバマ氏が大統領に就任した。さらに、その1年半後、日本に民主党・鳩山由紀夫氏の政権が誕生した。この3人の名前を挙げるだけで、詳しい説明は不要だろう。

 日米豪印戦略対話は瓦解(がかい)しかけ、2013年、第2次安倍政権発足後にようやく元の軌道に戻り、今日に至るのである。

 実は、中国以外にもう1国、朝鮮半島の南にある国も「4カ国同盟」の動きを妬み半分に注視していると聞く。しかし、この国のことはもう視野に入れまい。

 折しも、今週4日、中国の「天安門事件」から丸30年を迎えた。

 「豊かになれば中国は変わる」−。こう言い訳しつつ30年、日本を含む先進国は中国での金もうけに邁進(まいしん)し、自国への「脅威」を自ら育ててきた。この過ちを繰り返してはならない。いまこそ官民挙げて「4カ国同盟」の進化に注力すべきである。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす』(産経新聞出版)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』(産経新聞出版)など多数。

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