日米中「空母」一斉出動! 「自由主義陣営」と「独裁国家」の対立激化 識者「独裁中国は世界にとって現実の脅威」

 米国と中国が、空母による軍事的示威行為で対峙(たいじ)した。米軍の誇る世界最強の原子力空母「ロナルド・レーガン」は、海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」とともに、中国が勝手に軍事拠点化を進める南シナ海で共同訓練を実施した。一方、中国海軍の空母「遼寧」は、日米の動きを牽制(けんせい)するかのように、沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に進出した。ドナルド・トランプ米政権は、共産党独裁の中国による世界覇権を阻止するため、軍事、経済両面で圧力を強めている。今回の空母対決は、日米中心の自由主義陣営と、一党独裁国家の緊張激化を表す動きといえそうだ。

 日米を代表する艦船による訓練は10日から始まった。複数の政府関係者の話として、12日付産経新聞が報じた。

 米空母「ロナルド・レーガン」は、「動く軍事拠点」といわれるニミッツ級空母で、1隻だけでヨーロッパ中堅国の空軍力に匹敵するとされる。

 海上自衛隊の「いずも」は今後、日本の防衛の命運を握る護衛艦といえる。同型の「かが」と合わせて事実上の空母に改修し、短距離離陸と垂直着陸が可能な最新鋭ステルス戦闘機「F35B」と一体運用する方針なのだ。

 米空母と海自による、南シナ海での共同訓練は昨年8月以来。中国が、世界屈指のシーレーンである南シナ海で、岩礁を勝手に埋め立てて軍事基地化を進めていることに対し、抑止力を誇示する狙いがある。

 海自からは「いずも」のほか、護衛艦「むらさめ」と「あけぼの」が参加し、ロナルド・レーガンと艦隊を組み、戦術運動の確認などを行った。

 これに対し、中国は対抗措置とみられる動きに出た。

 中国海軍の空母「遼寧」など6隻が11日午前、沖縄本島と宮古島の間を通過し、太平洋に向けて航行するのが確認されたのだ。防衛省によると、危険な行為や領海侵犯はなかった。

 「遼寧」がこの海域を通過したのは2018年4月以来3回目となる。今回の航行では、補給機能がある最新の高速戦闘支援艦の随行が初めて確認された。空母の速力に合わせ、燃料補給などによって艦隊の行動範囲を大きく広げるとみられる。防衛省は、艦隊が周辺海域で訓練を続ける可能性もあるとみて警戒監視を続ける。

 米中両国が「国力の象徴」といえる空母による軍事的示威行為に出る直前、米国防総省は注目すべき「対中報告書」を発表していた。

 パトリック・シャナハン米国防長官代行が1日、シンガポールで開催された「アジア安全保障会議」での演説で一部を披露したもので、「インド太平洋戦略報告書」という。

 中国を米主導の秩序に挑戦する「修正主義国家」と位置付け、海洋進出や宇宙・サイバー分野での戦力拡大を警戒。沖縄・尖閣諸島周辺を含めた東・南シナ海での中国の動向に言及し、「これらの動きは貿易の自由を危険にさらし、ほかの国々の主権を侵害し、地域の安定を損なう」と非難している。「中国共産党が支配する中国」という表現もあり、自由主義陣営として、独裁抑圧国家に対峙する姿勢を明確にしたものだ。

 シャナハン氏は先の演説で、「どんな国も単独でインド太平洋地域を支配すべきではない」と警告している。

 これに対し、中国は最近、共産党軍が1934年から36年にかけ、国民党軍の攻撃から逃れて約1万2500キロを移動した「長征」をアピールする動きに出ている。習近平国家主席も5月に「新長征」という言葉を使った。持久戦で米国と対峙(たいじ)する覚悟を示したとみられている。

 米中対決と日本の動きをどうみるべきか。

 国際政治学者の藤井厳喜氏は「世界にとって、共産党独裁の中国が『現実の脅威』として、ますます浮上している。トランプ氏の5月来日で、日米の同盟関係はレベルアップした。空母『遼寧』の沖縄周辺の通過は、日米が『対中包囲網』を強めていることに反発するデモンストレーションだろう。米中関係は今後、2つのシナリオが考えられる。1つは、中国が米国の言い分を受け入れて中国敵視政策を取り下げてもらう。もう1つは、中国が拒絶して、改革開放経済から社会主義経済に戻すことだ。米国の主張は『中国共産党の特権を放棄しろ』というのに等しい。米国に妥協すると共産党支配が崩壊しかねず、後者のシナリオの方が可能性が高いのではないか」と分析している。

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