【国難突破】安倍政治に「政権疲れ」の様相…衆院解散の決断を! 政治には「禁じ手」も必要だ

【国難突破】安倍政治に「政権疲れ」の様相…衆院解散の決断を! 政治には「禁じ手」も必要だ

安倍首相はファイティングポーズをとるのか

★(1)

 最近の安倍晋三首相は、世界外交において並外れた重要性を持ち始めている。北朝鮮、イランという2つの核開発国家について、ドナルド・トランプ米大統領と連携して積極外交に乗り出す一方で、トランプ氏と溝の深いEU(欧州連合)とは「自由貿易の死守」という主題で関係を深め、支持率低迷の中で強硬姿勢を強めるウラジーミル・プーチン大統領のロシアとも薄氷を踏む外交を継続している。

 賛否は分かれるが、中国の存在感が年ごとに増すなか、安倍外交が、日本経済の失速を防ぎ、安全保障上の担保となっているのは間違いない。

 が、その半面で、国内政局は沈滞しきっている。

 今国会でも、野党は「統計不正」問題や、「老後資金2000万円」問題についての政権攻撃に終始し、しかもそれが全く効いていない。野党で最も政党支持率が高い立憲民主党でさえ、軒並み1ケタ(=最新の産経新聞社・FNN=6・8%、NHK=5・1%)というありさまが続くのは、戦後政治でも例を見ないことだ。

 問題は、野党が「反安倍」を“商売”にしてしまっていることだろう。国民もそれを見透かしているから、彼らの攻撃は政権支持率に影響を与えない。対案も政策の修正をめぐる攻防もほとんどない。

 憲法審査会の審議には、事実上の拒否を繰り返している(=今国会で、衆院は実質審議が一度、参院はゼロ)。今や野党は、憲法改正を上程させないこと以外に、何一つ仕事をしていないのである。

 野党がここまで溶解してしまっているが、与党自民党もまた沈滞し、緊張感を失っている。安倍政権の支持率が現在でも50%前後で高止まりする中で、「安倍一強」というより「安倍以外が弱過ぎる」状況が続く。

 野党には政権交代はおろか、議席を確実に積み上げてゆく意欲さえなく、与党内では次期政権をめぐる権力闘争さえ存在しない。

 衆参同日選挙の目が消えたのも、自民党内の調査で「参院選単独の方が勝ち目がある」と出たからだと言われる。事前調査は大切だが、勝負を数字に任せてしまってよかったのか。

 政治にあって、理念、政策が大切なのは論をまたないが、理屈以前に、政治は生き物でもある。

 事実、安倍政治にも「政権疲れ」の様相が見られる。高支持率が続くにも関わらず、安倍首相の内政への強い関与のメッセージが見られなくなっている。第2次安倍政権発足から6年以上がたち、無理がないとも言えるが、前半期の「日本を動かそう」という活気は明らかに失われている。

 これほどの政治的エネルギーの沈滞の中で、憲法改正をはじめとする重大な国家的な案件を打ち出すことが本当にできるのか? 今、安倍政治に必要なのは、「安定」より「冒険」ではないのか? 政治的エネルギーそのものを活性化することではないか?

 あえて言う。安倍首相は消費増税延期を掲げて、衆院解散を決断すべきだ。意想外な決断であればあるほど、緊張が走り、エネルギーは増す。政治には「禁じ手」も必要なのである。

 ■小川榮太郎(おがわ・えいたろう) 文芸評論家。1967年、東京都生まれ。大阪大学文学部卒。埼玉大学大学院修了。国語や文学の衰退など日本人の精神喪失に対して警鐘を鳴らす。一般社団法人「日本平和学研究所」理事長を務める。第18回正論新風賞を受賞。著書に『徹底検証 安倍政権の功罪』(悟空出版)、『左巻き諸君へ! 真正保守の反論』(飛鳥新社)、『平成記』(青林堂)など多数。

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