【単刀直言】上川陽子前法相 オウム死刑「永遠に問われる判断」

【単刀直言】上川陽子前法相 オウム死刑「永遠に問われる判断」

インタビューに答える上川陽子前法務相=29日、東京・永田町の衆院第2議員会館(酒巻俊介撮影)

 当選3期目に少子化担当相で初入閣し、途中から初代となる公文書管理担当相を兼務しました。法相は2度務めました。自分の所掌に精いっぱいだった初入閣のころと比べると、国家全体の中で法務省として何をすべきか、例えばグローバル化が進む社会の中で、法務行政・法曹が果たすべき役割は何か、国家運営の責任ある立場で仕事をすることについて、全体感が見えてきた感じがします。

 法相時代は、できる限り現場を回り、“チーム法務省”の一員という感覚で動いていました。

 昨年は全国各地で自然災害が発生しました。刑務所などの施設は災害でライフラインが寸断されるなどの被害が出た場合、地域の人々の避難先になることもあります。災害時に各刑務所がどのように対応したか、現場の情報を集約し、他の刑務所などで同じような状況になったときに、そうした知見を生かすことができるよう徹底しました。

 平成30年7月、オウム真理教元幹部の死刑執行の決断の理由ですか? 法相として私がどう考え、行動したか申し上げることはできません。ただ、記者会見のときには、鏡を磨いて、磨いて磨いて、磨き切る気持ちで判断したことを申し上げました。

 100代目の法相として、そのとき、どう判断したのか。これは永遠に問われるものだと思います。他人から問われる以上に、自分自身、問い続けていく責任がある。政治家としてどういう姿勢で臨むかを考えたとき、私心をどこまで取り除くことができるか。政治は究極の公共だと思っています。

 オウム真理教による地下鉄サリン事件から24年を迎えた今年3月、被害者の集いに「命を見つめて見つめ続ける」というビデオメッセージを送らせていただきました。被害者のご家族から「一言一言漏らさず聞かせてもらいました」とお返事をいただきました。

 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の逮捕・勾留で日本の司法制度が海外から批判されている? 個別ケースについて申し上げることはできませんが、海外から批判を受けて、それに対応して説明するというのではなく、日本の中で積み上げられてきた司法制度をしっかりと対外発信し、全体を理解していただくことも重要です。

 私自身、法相在任中から司法外交には力を入れてきました。来年4月には「京都コングレス」という国連の犯罪防止刑事司法分野で最大級の国際会議が50年ぶりに日本で開かれます。

 国民の皆さんにも再犯防止や法順守の文化など、日本の良さを理解してほしいと思います。安全安心の国・日本というのは世界的に定評があるので、それはどういう裏付けがあるのか、外交的にもPRするチャンスだと思って、一生懸命取り組んでいます。

 中長期的には、日本の人口減少の影響はすさまじいものがあります。地域社会が崩壊していく危機感が急速に高まっています。地方移住の促進など、政府もいろんな政策を打ってはいますが、なかなか決定打がない。そんな中、危機感をもって必死に取り組んでいる自治体や地域がある。

 私が本部長を務める自民党1億総活躍推進本部では、ユニークな取り組みをしている地域や団体・グループを掘り起こしながら、2040(令和22)年ごろをターゲットに日本の未来像をイメージし、そのための政策を作っていきたいと考えています。

 その頃はちょうど団塊ジュニアが65歳になります。地域コミュニティーの再生や支え合う共助の仕組みが非常に大事だと思うので、力を入れて活動しています。(田村龍彦)

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