露、自由往来の合意迫る 29日首脳会談 北海道・サハリン間

ロシアが北海道・サハリン間「自由往来」の合意迫る 29日にプーチン大統領と首脳会談

記事まとめ

  • ロシアがサハリン州と北海道の間の自由往来の合意を日本側に求めていることが分かった
  • 自由往来は北方四島をロシア領と認めることになりかねず、日本側は回答を留保している
  • 29日に行われる安倍晋三首相とプーチン大統領との首脳会談で、動きがある可能性も

露、自由往来の合意迫る 29日首脳会談 北海道・サハリン間

露、自由往来の合意迫る 29日首脳会談 北海道・サハリン間

安倍晋三首相(右)へ北方領土問題に向けた要望書を渡す鈴木直道北海道知事=7日午後、首相官邸(春名中撮影)

 日露両政府が協議を進めている北方四島での共同経済活動に関連し、ロシア政府がサハリン州と北海道の間の自由往来について、29日の安倍晋三首相とプーチン大統領との首脳会談で合意するよう日本側に求めていることが7日、分かった。サハリン州が北方四島を事実上管轄する現状を前提とした自由往来は四島をロシア領と認めることになりかねず、治安上の課題も多いため、日本側は回答を留保している。複数の政府関係者が明らかにした。

 共同経済活動は、海産物の共同増養殖など5つのプロジェクトを想定し、日露双方から事業者らが北方四島を訪れることになる。四島での両国民の自由な渡航には、それぞれの国内法と異なる特別な枠組みが必要となるが、互いに四島の主権を主張しているため協議が難航している。

 これとは別にロシアが求めているのが、サハリン州・北海道間でパスポートやビザ(査証)の必要がない自由往来の制度導入だ。ロシアは共同経済活動の早期実施にもつながると説明しているが、北方四島をサハリン州の一部に組み込んでおり「北方四島はロシア領」との前提に立つ。要求をそのまま受け入れれば、北方領土問題を「決着済み」とする根拠を与えることになりかねない。

 いったん北海道に入ったロシア人の移動を道内に限定できるのかや、犯罪者の渡航を防げるのかなどの治安面の課題も多く、日本政府は慎重に検討している。

 一方、政府内には、日露平和条約締結交渉が膠着(こうちゃく)する中、交渉を後押しする共同経済活動実現のため前向きに対応すべきだとの意見もあり、外務省幹部は「いろいろやり方はある」と話す。29日の会談で、自由往来をめぐる課題を精査し、具体策を探る外交当局間の作業部会設置などに合意する可能性もありそうだ。

 こうした中、プーチン氏は6日の各国主要通信社との会見で平和条約締結に関し「日本と米国の軍事協力が締結を難しくしている」との認識を重ねて示した。

 条約締結交渉は長期化の様相を呈しつつあるが、外務省幹部は、1956(昭和31)年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速化する昨年11月の日露首脳の合意について「変わったとは思っていない」と述べ、29日の会談での判断を見守る考えを示した。首相は7日、鈴木直道道知事や北方領土の元島民と官邸で面会し「日露平和条約の締結交渉に全力を挙げたい」と述べた。

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