原子力人材育成へ 新会議設置を検討 産学官で衰退歯止め

 日本の原子力技術を担う人材の確保に向け、政府の関係省庁と産学の関係者が定期的に意見交換を実施する会議の新設を検討している。国内外で日本企業が関与する原子力発電所の新増設の見通しが立たない中、政府の予算措置も含めた人材育成戦略を本格化させ、原子力産業の衰退に歯止めをかける狙い。

 新設される「関係省庁連携会議(仮称)」は経済産業省や文部科学省などの関係省庁のほか、原子力関連産業、原子力研究の有識者などが参加。業界組織とも連携する。会議では効果的な人材育成プログラムや研究開発における産学官の連携などについて協議し、必要に応じて政府の原子力施策にも反映させる。

 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故から8年が経過するが、国内に36基ある原発のうち再稼働は9基にとどまる。原発に対する厳しい国内世論もあり、新増設や建て替えのめどは立っていない。重電大手が活路を求めた海外への原発輸出も、東芝や日立製作所が多額の損失を出して断念に追い込まれた。

 国内企業の原子力ビジネスは当面、廃炉や再稼働事業などが中心だが、すでに人材の原子力離れが進む。平成初めに2千人超だった原子力関連学科の学生数は現在750人程度で推移。原子力関連企業の就職説明会の参加者数は震災前の4分の1程度まで落ち込む。英国の原発新設計画の凍結を発表した日立の東原敏昭社長は「原発を計画して設計し、進める人材が不足してくる」と懸念した。

 世界の原発ビジネスで台頭する中国やロシアとの競争を勝ち抜くには、新技術の開発も欠かせない。

 温室効果ガスの削減などを目的に、政府のエネルギー基本計画では、電力全体に占める原発の比率を令和12(2030)年に20〜22%にするとしているが、目標達成はおぼつかない。これまで日本の原子力人材育成は重電大手や電力会社など民間が中心となってきたが、政府は連携会議をきっかけに予算措置などの形で政策関与を強めたい考えで、関連業界も国のイニシアチブに期待する。

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