【G20】議長国・日本、具体化へリーダーシップ必要 財務相会議

 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、急成長が軋轢(あつれき)を生んでいる米IT大手への「デジタル課税」、中国を牽制(けんせい)する「質の高いインフラ投資」の国際原則など複数の新しい取り組みを打ち出した。まとめ役となった議長国・日本の手腕は評価できそうだ。今後、こうした取り組みを具体化し、実効性を持たせるには日本が知見を生かし、引き続きリーダーシップを発揮する必要がある。

 デジタル課税は「国内に物理的施設がない企業に対し、その国は課税できない」とするこれまでの国際課税ルールを大きく変えるものだ。導入されれば、各国は、オンラインの音楽配信といった国境を越えて提供されるサービスにも課税できるようになる。

 また、低税率国に利益を集めて課税を逃れるのを防ぐため、法人実効税率の最低水準設定を検討することでも合意したが、この問題はこれまで、「各国の課税権の侵害にあたる」として反発が強く、今回、初めて実現に向け議論が進んだ。

 世界中で巨額の利益を挙げる「GAFA(ガーファ)」は、今や世界の時価総額トップ10に入るまでに成長。IT化の流れの中で急成長する新型のビジネスモデルが生み出す課題に、税務面から対処する。

 一方、調達の透明性などをうたったインフラ投資の国際原則の採択もG20としては初めてで、中国が新興国を“借金漬け”にしている問題を解決する姿勢を鮮明にした。米中貿易摩擦は財務相の管轄外でもあり直接取り上げなかったが、米国が重視する貿易収支以外にも目を向けるべきだなどとして、間接的に米国起点の貿易戦争を牽制した。

 ただ、これらの取り組みも、具体化や実現に向けた本格的な作業はこれからだ。

 デジタル課税は経済協力開発機構(OECD)での実務的な検討作業を経て、サウジアラビアが議長を務める2020年のG20で合意する予定。米IT大手から課税逃れをされている欧州各国と、IT大手の本社がある米国との利害などが一致せず、とりまとめは難航する可能性がある。OECD内で国際課税分野の主要な役割を担ってきた日本は、引き続き検討作業をリードする必要がある。

 また、インフラ投資に関する国際原則も実効性が生まれるのは中国が守ってこそ。米国とも連携しつつ、巨大経済圏構想「一帯一路」を推し進める中国の覇権主義的な“野望”を抑える強い意思が重要だ。(山口暢彦)

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