信号機20万基を5G基地局に 高速大容量を低コストで 政府IT新戦略

信号機20万基を5G基地局に 高速大容量を低コストで 政府IT新戦略

5G基地局としての活用が期待される信号機(納冨康撮影)

 政府は14日、官民の総合的なデジタル戦略をまとめた「IT新戦略」を閣議決定した。自治体が全国に設置している20万8千基の信号機を第5世代(5G)移動通信システムの基地局として活用できるようにすることが柱だ。高速大容量で産業を飛躍的に成長させる5Gをめぐり国際競争が激しさを増す中、既存の設備を使って早期に低コストで技術を普及させ、勝ち残りを狙う。

 今年度中に信号機に設置する5Gアンテナの仕様案などを策定し、5Gの本格的な商用サービスが始まる来年度から実証実験を行う。令和7(2025)年度に全国展開を完了させることを目指す。

 超高速、低遅延、多数同時接続を特性とする5Gは自動運転や遠隔医療などを実現し、生活や産業構造を一変させる。国際競争を左右する技術として基盤整備が急がれている。

 5Gの電波の飛ぶ距離は数百メートルから1キロメートル程度と現行の4Gと比べて短い。5Gのサービスを全国に行き渡らせるためには「4Gの約57万局よりも多くの基地局を設置することが必要」(総務省担当者)だ。

 5Gの電波を割り当てられたNTTドコモなど携帯4社は4Gの基地局を設置する場所に5Gの基地局も設置していく計画だが、都市部ではビルの屋上など設置に適した場所は飽和状態。信号機を活用できれば、コストを抑えながら迅速な整備が可能になる。

 信号機では基地局の設置と合わせ、通信ネットワーク化も進める。通信機能のある信号機は現在、3割程度にとどまるが、これが全体に広がれば、災害時に信頼できる通信網として活用できる。信号機から周辺の交通情報を収集・送信することで、自動運転の早期実現にも弾みをつけられる。

 今後は総務省や警察庁が中心となり、携帯事業者や自治体などと信号機の利活用の具体策などについて協議を進める方針だ。

 またIT新戦略には、都道府県ごとに運営する運転免許のITシステムを統一してコスト削減や手続き簡略化につなげるなど、デジタル技術を活用した自治体の行政サービス効率化策なども盛り込んだ。

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