日本、水素市場を主導 IEA報告書後押し

 国際エネルギー機関(IEA)は14日、水素エネルギーの現状分析や将来展望などをまとめた報告書を発表した。世界で温室効果ガスの排出削減に向けた動きが加速する中、燃焼時に二酸化炭素(CO2)排出しない水素の注目度は高まっている。水素を使って発電する燃料電池など関連技術で先行する日本も普及拡大を目指して国際連携の強化を図る。

 報告書は水素について、「炭素排出量の大幅な削減が難しい産業部門に脱炭素化の手段を提供する」と明記。水素は現在も石油精製や肥料生産などに使われており、「すでに利用できる技術によってさまざまな方法で生産、貯蔵、移動、エネルギーとして利用できる」と今後の幅広い用途への浸透に期待する。

 だが一方で、生産コストの高さや水素を活用できるインフラが不足している点などが普及への課題と指摘。コスト削減につながる研究開発の支援や投資リスクの低減、不必要な規制障壁の撤廃などといった政策提言を盛り込んだ。IEAのビロル事務局長は「水素が社会に貢献できる潜在力があることを知っていただく」と語る。

 IEAに報告書の作成を要請したのは日本政府で、公表のタイミングも日本が議長国を務めるG20開催と足並みをそろえた。日本は燃料電池車や家庭向け燃料電池(エネファーム)の市場投入など、水素関連分野の技術開発で世界をリード。世界で水素の有用性が認められれば、新たなビジネスにつながるほか、世界の脱炭素化に関する発言権を高める効果がある。

 日本は今後も水素閣僚会議などを通じた国際連携を強化していく考え。世耕弘成経済産業相は「グローバルな水素市場の創出に向け、世界とともに挑戦を続ける」と意気込みを強調した。(佐久間修志)

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