【安倍首相「言論テレビ」詳報】(上)G20首脳宣言「ギリギリの交渉している」

【安倍首相「言論テレビ」詳報】(上)G20首脳宣言「ギリギリの交渉している」

逃走男 公衆電話で目撃情報

【安倍首相「言論テレビ」詳報】(上)G20首脳宣言「ギリギリの交渉している」

安倍首相大阪G20サミット視察 大阪城の西の丸庭園や迎賓館を視察した安倍晋三首相=4月20日午後、大阪市中央区(彦野公太朗撮影)

 安倍晋三首相は21日夜、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が主宰するインターネット番組「言論テレビ」に出演し、月末に控える20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)や憲法改正、皇位継承問題などについて語った。詳報は次の通り。

G20

−−あと1週間でG20が始まる

首相「世界の首脳が集まるサミットとしては最大級といってもいいと思います。令和の新たな時代が始まり、その中で、大阪から世界に発信する非常にいい機会だと思っています。夕食会は大阪城の迎賓館で行います」

−−非常に日本的なお城の中で

首相「そうですね。ええ」

−−G20は難しいんじゃないかなって(笑)

首相「そうですね。世界貿易、経済、地球温暖化などの課題について意見の対立が激しくなっていますが、令和は『ビューティフル・ハーモニー』ですから、お互いに協調できるものは何かということに焦点を当てた会議にしたいです。G20がバラバラになったらおしまいですからね。G20がしっかりと結束しつつ、世界をより良くしていく方向に進んでいく。そういうメッセージを発信できるような、日本ならではの結論に向けて、議長として責任を果していきたいと思ってます」

−−安倍政権以外の政権だったらG20をまとめることは非常に難しいんじゃないかという気がするんです。安倍総理が世界の首脳の中でもベテランになって初めて成功が期待されるのだろうと思います。米中貿易摩擦の緩和、デジタル経済のルール、海洋のプラスチックが捨てられている問題、WTO(世界貿易機関)の改革…。どれも大事ですが、どこに焦点を当ててらっしゃいますか

首相「国際的に注目されているのは米中の貿易摩擦なんだろうと。例えば、『アメリカファースト』で物事を解決していこうというトランプ流に対して、『果たしてうまくいくんだろうか』と注目されています。うまくいかないと世界経済に大きな影響があります。大切なことは、日本は自由で公正な貿易の中で経済が成長してきました。日本だけではなく、世界経済が成長してきました。貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもならないし、あらゆる措置はWTOのルールと整合的でなければならない。今はWTOにも問題点があると思いますので、その改革においてはアメリカにも協調してもらいつつ、いかに共通点を見いだしていくことができるか。共通点を見いだし、それを発信していくことによって、経済をより安定化させていきたい、安定的な成長軌道に乗せたいと思っています。それともう一つは大阪トラックの創設」

−−デジタル経済は日本が一生懸命、今、リーダーシップを発揮している

首相「そうです。デジタルデータは20世紀の石油なんです。石油は経済を成長させていく源でした。膨大なデータの中から優れたAI(人工知能)が誕生していくわけです。データをいかに集めることができるか、それを処理することができるかによって、世界の覇者が決まっていくといわれているんです。例えばある国がデータを全部囲い込んでしまう」

−−もしかして中国?

首相「ある国が囲い込んでいくことによって圧倒的に有利になっていきます。まさに石油を独占したのと同じことが起こります。それでは人々の幸福にはつながりませんから、自由な流通とルールがなければいけないということをダボス会議で私は主張しました。デジタルデータのルール作りをしっかりと進めていくスタートを切りたいと思っています。プラスチックのゴミは国が入って皆で守っていく。なかなかそれをできない国に対しては、いわば先進国が応援をしていく。海洋プラスチックゴミの削除についての大きな方向性を打ち出したいと思います」

−−マクロンさん、習近平さん、トランプさん、プーチンさんと会いしますが、韓国のトップとは会わないことになった。

首相「議長としてバイ(二国間)の会談をやる時間が限られますので、その中でできるかどうかについて事務的に検討してます」

−−建設的な会談ができればいいが、今は条件が整っていない。

首相「いずれにせよ日程的に可能かどうかだろうと思います」

−−首脳宣言をまとめることはできるか

首相「今、ギリギリの交渉をしています。日本はアメリカと同盟関係にあり、トランプ大統領とも信頼関係があります。EU(欧州連合)との関係においてはEPA(経済連携協定)がすでに妥結、発効しています。EUは『日本って大したもんだ』と思っているんです。大変難しい協議でしたからね。中国との関係も改善しています。日本がうまく三者を取り持ちつつ、いい結果を出していきたいと思っています。世界貿易の問題、デジタル経済、気候変動、女性の活躍などにおいていいメッセージを出していくべくですね。アメリカは最もイノベーションが進んでいます。イノベーションが非常に起こりやすい風土になっています。米国を仲間に入れなければいけません」

中国

−−習近平さんをどう見ているか

首相「中国はこの20年間で画期的な成長を果たしました。世界の経済大国になり、日本を追い越してしまった。しかし、経済大国になればそれに伴う責任があると思います。この世界の大勢は法の支配を尊び、そして自由と民主主義、人権を大切にするという普遍的な価値があります。この大切な価値を理解して頂けるように、われわれも努力していきたいと思っています」

−−香港の反政府デモについて

首相「世界が期待するのは1国2制度の中の自由民主安定なんだろうと思います」

−−習近平さんが、米中貿易戦争の突破口を開くためだと思うが、北朝鮮に行った

首相「朝鮮半島の非核化を目指すという、米朝プロセスによって始まった試みについては中国も日本も米国もロシアも完全に足並みをそろえています。同時に朝鮮半島の非核化のための制裁決議、中国は国連の常任理事国ですが、賛成をしています。中国は米朝プロセスを進めていく上で強い影響力を北朝鮮に対して持っています」

首相「大阪では日中首脳会談が予定されています。そこで色々な話を伺いたい。昨年、私が7年ぶりに日本の総理大臣として訪中をした際、夕食会などを通じて率直な話ができる関係ができたと思っています。ぜひどういうお考えで訪朝されたのか、あるいは、どういう話があったのか伺いたいと思っています。また、昨年訪中した際にも北朝鮮との関係においては拉致問題が日本にとって最重要課題であるということについて、わりと詳しく習近平氏に話をさせていただいたところです。その際、私の考え、日本の姿勢に対して理解と支持を頂いたと思っているんです。この首脳会談においては相当突っ込んだ話もしたいなと思っています」

−−会談で習近平さんはどんな感じなのか

首相「第一次安倍政権の時には胡錦濤主席だったんです。中国は共産党の国ですから、これは小泉純一郎元首相やブッシュ米元大統領も言っていたことなのですが、『なかなか本音は話さない』ということをおっしゃって、私もそんな感じがしました。ですが、何回か習近平主席と会談を重ねるうちに夕食会では打ち解けた話もしていただきました。人間性というか、人生観がにじむような話もされておられたと思います。もちろん、それぞれが国の国益を背負っていますから、どの国の首相も、いや大統領もそうなんですが、お互いに国のリーダーであるからこそ持つ重責に対する気持ちですよね、そういう感情を吐露する人もいます。まったくそれを話さない人もいますが、そういう意味においては私は日本の総理大臣として、彼も中国の主席として、相当重いモノを背負って、中国は14億の民と困難を抱えているなかにおいて、いろいろな重荷を背負っておられるんだなという感じはあります」

−−どんな風に感じるか

首相「細部については難しいんですが、今まではお互いにお互いの政策的な主張をしつつ、どういう政策を進めていくかという話だったが、同時に中国の統治の今までの歴史も含めて、自分の考え方をお話しされました」

−−難しい国だから

首相「そうですね」

−−中国の友人になる国はほとんどいない気がする。日本は世界中に友人ができた

首相「日本の立ち振る舞いは、基本的にどの国や国民からも愛されていたのは事実だろうと思うんです。実は今日、オーストラリアのアボット元首相と私は仲が良かったもので。日本に個人的に来られたんですが、一週間ずっとサイクリングしたらしいんです。仲間と5人で。日本を雨の中を。雨にぬれちゃったからコインランドリーにいったんですって。コインランドリーの使い方が分からなくて、こうサイクリングで着たものを洋服を入れて、やや呆然(ぼうぜん)としたら、日本人がととっと来て、何も言わず自分の財布から100円を入れてポチッと押してくれたんです。彼が言うには『こんなことはオーストラリアでは起こらない。素晴らしいこの親切さは称賛に値する』みたいな話もされていたんです」

首相「そういうことは世界中で起こっているんです。日本の援助もそうです。日本の援助というのはほんとうにその地域のために援助する。日本の企業も短期間で利益を得て『さよなら』というのではなく、その地域の人たちの雇用を作って、教育をして。そういう姿勢ですよね。どこでも大変支持されています。たまたま私は長い間首相を務めさせてもらったので、そういう日本人全体が積み重ねてきた徳とうまく結びつけて考えていただいたので、私もだいぶ得しているんですが。そういう意味ではより顔が見えるようになったのかなと思います」

−−中国は嫌われている面が多い。日本も米国の側に立ってやるのか

首相「中国は隣国だし最大の貿易相手国ですね。一方、米国は日本にとっては同盟国です。日本が海外から侵略されたら米国の若い兵士が命がけで日本を守ってくれる唯一の国です。日米同盟というのは揺るぎない、確固たるものではないといけないと思っています。中国との関係でいえば、貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもならないと考えています。WTOのルールと整合的でなければならない。これは習近平主席にも、トランプ大統領にも申し上げているんですが、同時に、知的財産侵害の問題、技術の強制移転の問題、市場歪曲(わいきょく)的な補助金などの問題、国有企業の活動に関わる課題…。こうした課題については中国に向き合ってもらって、改善してもらわないといけません。自由で公正で開放的な貿易につながっていかないということは、私たちも米国とともに、これはEUも同じですから、声を発信している所でありますし。中国にも是非耳を傾けてもらいたいと思っています」

−−中国の「一帯一路」については

首相「一帯一路はアジア、アフリカ、中央アジアも全部そうだが、そこには膨大な需要があるんです。インフラの需要があるんです。でも、これに必ずしも応えられていない側面もあるんですね。中国は自分たちがですね、お金を出して協力しますよということに名乗り出たわけです。日本としては1つ1つのプロジェクトを見ながら、そのプロジェクトの経済性。相手のものになるか。そしてお金を貸してもちゃんと返せる額なのか。この債務の属性ですね。これオープンなものなのかという開放性ですね。このプロジェクトを不透明なんじゃないのという問題、透明性、あるいはこの条件を出しました。この条件がかなうんだったら、日本もアジア開発銀行も一緒に協力をしていくということが十分にありえますよ。むしろ、われわれが一緒になることによってこの条件が満たされなければ直しませんから。かえって、満たされてですね、その国の利益になりますねという主張なんです。われわれは質の高いインフラでなければいけないし、この条件が満たされなければ、かえってそれを受ける国のためになりませんねという主張をずっとしてきました。その結果、中国も、この前財務大臣会合がありましたが、そこでこの条件を中国も言うようになったんです」

−−日本が中国を変える力に

首相「もちろん、実際にやるかどうかがこれから試されてくるということなんですが、ただ、やっぱり正しいことを主張し続けること。そしてそれを主張する仲間を作ることですね。そして影響力を行使しながら、相手をこちらに寄せてくるという、これもビューティフル・ハーモニーなんですが、そういう意味においては、この一帯一路ということについてその国の本当の利益になる、そこに生きる人々もですね、というかたちの協力をしていきたいと」

−−条件を満たせば日本の企業がそこに入っていくことに問題はないわけだ

首相「何の問題もないですね。例えば軍事的な施設になったり、あるいは施設まるごとですね、これは使えなくなってしまったりとかですね、これ中国のものになると、それはだめですよっていうことなんですかね」

−−ただ、一帯一路でいろんなところが軍事的な拠点づくりと重なってるということについては懸念しているか

首相「そういう懸念についてはですね、国際的な懸念でもあるんだろうと思います。だからこそむしろ日本が入っていく、協力できるところは協力していくことによってですね、そういう懸念を払拭したいと思ってるんですね」

関連記事(外部サイト)