【安倍首相「言論テレビ」詳報】(下) 参院選は改憲を堂々と議論するか、しない政党か選ぶ選挙

【安倍首相「言論テレビ」詳報】(下) 参院選は改憲を堂々と議論するか、しない政党か選ぶ選挙

安倍首相大阪G20サミット視察 大阪城の西の丸庭園や迎賓館を視察した安倍晋三首相=4月20日午後、大阪市中央区(彦野公太朗撮影)

 安倍晋三首相は21日夜、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が主宰するインターネット番組「言論テレビ」に出演し、月末に控える20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)や憲法改正、皇位継承問題などについて語った。から続く詳報は次の通り。

イラン

−−安倍晋三首相はイランを訪問し、最高指導者のハメネイ師やロウハニ大統領と会談した。当時、日本のタンカーが攻撃されたが、このニュースはいつ聞のか。その報道によってね、ハメネイ師が首相に直接伝えたという報道もあったが

首相「それは違います。会談後に連絡が日本からあり、その事実を知ったんですが。そもそもですね、それ以前にもタンカーへの攻撃、あるいは、さまざまな小競り合いと、あと、テロなどがあったのは事実だ。もとより、この地域の緊張緩和をする試みは、非常に困難であるということは私もよくわかっている。しかし、それでもなお、日本はイランと伝統的に友好な関係にあります。そして米国に日本は信頼されている、同盟関係にあります。また、イランと敵対的な関係になっているイスラエル、サウジアラビアやUAE(アラブ首長国連邦)、それぞれの首脳とも私は信頼関係がある。そういう中にあるからこそ、できる日本の役割というのはあるんだろう。ここでやはり拱手(きょうしゅ)傍観しているという選択肢はとるべきではない。日本の役割を果たすべきだろうという判断をしました」

首相「そこで、ハメネイ師と会う前には、ロウハニ大統領と毎年国連総会の度にお目にかかってますし、(スイスの)ダボス(世界経済フォーラム年次総会)でもお目にかかっているが、ロウハニ大統領からは『決して戦争を望んでいない。核開発は追求しない』ということを明確に言質をとりました。そして、ハメネイ師は『核兵器は作らない、保有しない、使用しない』ということを明確に述べた。それは、私を通して世界にもう一度宣言をして、私は日本の総理大臣として証人となった。だからといって急に緊張が緩和されるわけではないが、そういうことの積み重ねによって、時間がかかっても最終的に対話が始まり、問題解決をしていく。日本もそのための役割を果たしていきたいと思ってます」

−−首相がトランプ米大統領にも頼まれて、イランに行ったと思っていいか

首相「いわば米国も、今言った国々も基本的に、私がイランを訪問し、ハメネイ師と直接話をするということについては「それはぜひ行うべきだ」という考え方だった」

−−首相は、父の安倍晋太郎外相がイランを訪問した際に同行し、当時もハメネイ師に会った

首相「ハメネイさんは当時大統領だった。私はお目にかかってはいないが、先方は私が一緒についていったことは知ってました」

−−その時の青年が今、日本国首相というような話はあったのか

首相「そういう話はあった。今、ハメネイ師の外交顧問を務めているベラヤティさんは、当時外相だった。私の父が外相ですから、カウンターパートで何回も会談をした。私はベラヤティさんに会ったことあるので、覚えておられた」

−−米国は、タンカー攻撃はイランの革命防衛隊がやったとして、証拠のビデオも出した。そのあと、米国の無人機が攻撃されて撃墜された

首相「同盟国の米国からわれわれも情報を受けている。日本の判断としては、常に大体そうなんですが、もちろん米国からの情報だけではなくて、ある程度私たち自身の情報も分析しながら、最終的な判断をする。今後も、よく状況分析していきたいと思いますし、アメリカとも緊密に連携していきたい。イラン側からも情報をいただきたいと思っている。いずれにせよ、中東地域はこうしたことの連続だ。一方、日本のエネルギーはホルムズ海峡を通り、6割以上が日本にやってくる。この地域の平和と安定というのは日本に直結する、生命線だ。同時に世界の繁栄にとっても、地域の平和と安定は不可欠なんだろう。その意味においても日本が役割を果たしていかなければいけない」

−−誰がドローンを撃墜したのか、誰がタンカーを攻撃したのかをめぐっては、欧州と米国の考え方も多少違う。米国はイランの革命防衛隊とするが、イランは全否定する。日本は米国の情報を重視するのか

首相「現在のところ、われわれは、米国の情報がいわば唯一の情報に近い、他の情報もありますけども。他の国からの情報もありますが、タンカーに関する情報と、ドローンについてはですね、これについては、米国はドローンが撃墜された、イランの革命防衛軍が撃墜したと言っている。これがイランの上空かどうかと意見が違っており、ここは不確かなところなんだろう。大切なことは、エスカレーションに繋がらないようにしていくことなんだろう」

−−米国とイランの緊張関係が高まっているが、日本ができることは何か

首相「メッセージが間違って伝わることが、その連続が、武力衝突に繋がっていくことはあるんだろうと思う。私は、トランプ氏と何回か会談し、イランについてお話をしている。その観点から、私はハメネイ師に、私なりに米国の考え方とトランプ氏の考え方を伝えた。で、先方の考え方はまた別途、トランプ氏にも伝えている。イランは今後とも、日本との関係においては、日本の大使館経由や外相同士の関係などでいろんなメッセージを出してくると思う。間違った、お互いの理解に繋がらないようなことはしていきたいと思っているが、そう簡単なことではない。イラン革命以来(米国に対し)不信感があり、それは指導者だけの話ではなくて、国民全体の感覚でもあるんだろうと思う」

首相「これは(今回の訪問)1回で簡単に解決できるという問題ではないということは、最初から私たちもよく理解したところだ。やはりこれは、岩に爪を立てても、これを上っていく必要があるんだろう」

−−各国の指導者がハメネイ師と会談しない中、日本の首相が会うことができ、トランプ氏のメッセージを伝えたこと自体、日本外交として大成功だったのではないか

首相「多くの国民の皆様には、日本の努力、私たちの努力についての、理解はしていただいてるのかなと思います。それはこういうネットを通じた言論テレビを含め、随分情報のとり方が皆さんも、特に若い人たちを中心に変わってきましたから。今までのように、報道ぶりがそのまま国民の理解には繋がってはいないんだろうと思う」

年金問題

−老後2000万円が必要との金融庁の金融審議会の報告書問題は、ねじ曲げられて伝えられているような気がする。

首相「これは2つの問題が含まれている。一つは金融庁のワーキンググループが出したレポート、そのメッセージの問題だ。この中で、年金生活者の方々が月々5万円不足して、そしてこれは積み重ねて95歳まで生きていくと2000万円足りませんというメッセージが、いわば誤解を生むメッセージが出されてしまった。しかし、これは平均値として、2500万円貯蓄があって、この貯蓄から5万円ずつ活用していきますよという姿だ」

首相「その上で、さらに、この貯蓄を運用した方がいいでしょうという考え方も示されている。しかし、平均で2500万円ということだ。これは、私、そんなにないという方が圧倒的に多いと思う。それは。約1割の方が5000万円ある。それがだいぶ(平均値を)引き上げている。結果、こうなっている。これはやはり、平均で見るのは、おかしい。つまり、それだけ預金があるということを前提に活用しているんですから。年金生活者一人一人の生活実態は多様だ。多様な実態に合わせ、国としては対応していくということが大切だ。ですから、これは乱暴な議論で誤解を生んだのは事実だ。それは麻生太郎副総理兼財務相が、これは政策として取り入れないので、受け取りませんと。『頼んでおいて受け取らないのはひどいじゃないか』と言われたが、誤解を生まないためには、それを前提に政策を立てていくという誤解を生まないために、そういう判断をしたと思う。もう1件は、ここから派生し、じゃあ年金ってそんなにあてにならないものなの?あるいは、野党の批判でですね。この平成16年の改正、100年安心ということを与党で述べたが、それは嘘じゃないかという、批判を盛んにしていた。この議論は全くおかしな話。この年金制度は、事実人口減っていきますから。支え手が減っていく、高齢者の数は増えていきますから、大変だね、という感覚を皆さんは持ってますよね。こう言われちゃうと本当大丈夫なの?と思うと思う」

首相「年金というのは年金を負担する人がいて初めて給付ができる。給付と負担のバランスがある。積立金を運用して利益を上げて、積立金をちゃんと維持をしていくという柱もある。そこで大丈夫なのかということは大切だが、16年当時、私自民党幹事長だったんですが、小泉純一郎政権時代ですね。年金の新しい仕組みを作った。年金の保険料は上がっていくが、上限を決めた。同時に、かつ、年金の給付の所得代替率ですね。現役時代にもらっていた給料の何%ぐらいまでもらえるということを将来少なくとも5割以上、モデル世帯ということを決めた。しかし、今もらっている方々のときからその調整を始めないと5割が確保できませんね、ということになってマクロ経済スライドという仕組みを入れた。共産党はなくせと言っているが、これ何かと言えば、まず平均寿命。平均寿命が延びていけば、もらう年数が長くなるので、給付が増える。もう一つは、支え手側の被保険者の数の増減ですね。この被保険者が増えていけば、保険料収入増えますから、大丈夫ということになる。でも被保険者が減って、生産年齢人口減っていきますから、これ両方とも厳しいね。これは係数として、0.9ですね。0.9という、そのマクロ経済スライドの数字があって、例えば1%物価が上がって、インフレスライドといって1%、年金の受給、年金額を引き上げる、スライドについて、申し訳ないんですが、0.9%ほど我慢していただいて調整させていただけますよ」

首相「そのことによって今もらっている方々と将来もらう方々のバランスをとることにより、将来も、少なくとも5割以上もらえますね、ということにしたのだ。そこで、では今、このマクロ経済スライドがどうなったかということだが、平均寿命は伸びました。かつ、生産年齢人口が500万人減りましたから、じゃあもっと0・9よりも増えちゃったんじゃないのと心配になるんですが、それがですね0.9ではなくて、0・2に改善というか、下がった。500万人減ったのになぜ、と思われますよね。平均寿命上がってるんですから。それは、実は、安倍政権は6年間で女性を中心に380万人の方々が働き始めた。つまり支え手が増えた結果、保険料収入が増えて、0・9が0.2に縮まった。それで、マクロ経済スライドってデフレですから発動されなかったんですが、それが安倍政権になって1回消費税を上げて、上がりますから物価が。これで発動されたんですが、今度は消費税あげてないのに、1%物価が上がって、賃金が0.6%上がったんですね。0.6%の方を基準とするので、この0.2%からマクロ経済スライドの2%と、今まで発動しなきゃいけない3%の宿題があったので、これを果たさなきゃいけない。これ3と2を足して0.5で0.6から引いてプラス0.1%のマクロ経済スライドが初めてプラスで発動されたことによって、ちゃんとバランスがとられるようになった」

首相「一番わかりやすい数字は、運用だ。この6年間、安倍政権が担って株が上がっただけじゃないかって批判はよく野党しますよね。そんなの金持ちばっかりでしょうと。そんなことないんです。年金積立金も株式を運用している。この運用益が、44兆円出た。前の(旧民主党)政権をおとしめるために言ってるんじゃないが、分かりやすく言うとですね、前の政権の10倍。運用益が、この6年間で、前の政権というのは民主党政権ですね。この10倍、いわば年金の積立金が増えました。そしてマクロ経済スライドが正しく発動されることによって、まさに、将来世代の給付と負担がバランス、将来世代と今の世代のバランスがとれ、いわば年金の仕組み、制度はより強固なものになったのは間違いない。そのことは申し上げておかないといけないと思うし、年金の議論をするならば、年金はおかしいじゃないか、大変じゃないかという不安をあおるんじゃなくて、自分たちはどうしますよと、いうことを言っていただかないと。打ち出の小づちはありませんから。私だって年金増やしたいですよ。それは保険料を上げるかしないといけないわけだ。そこは給付と負担のバランスの中でいかに工夫していくかということ。ただ、一人一人に注目していかなくてはいけませんから。年金の少ない方に対しては消費税を引き上げるに際して年最大6万円の給付を行う。それと無年金の方々は大変なので、なぜ無年金になるかというとちゃんと年金の保険料などを払っておられなかった。十分にですね。今まで25年間払わなければもらえなかった。これを10年間に縮めた。さらに厚生年金の適用資格を拡大し、なるべく厚生年金の中に入ってもらえるようにした。そういう努力をわれわれも積み重ねてきた」

皇位継承

−−皇族が少なくなり、皇位継承者が安定的に存続するのか心配だ

首相「この問題については、まずは天皇陛下の即位礼正殿の儀が執り行われる。その後、世界中からゲストがいらっしゃる。そのときまでは静かな環境をつくらなければいけないと思う。その後は、この宮家が、このままでは維持できなくなるのではないかという大きな課題もある。先般皇室典範を改正した際の付帯決議もある。それを踏まえて検討をしなければいけないと思うが、その際、男系男子が例外なく継承してこられたいう長い歴史は、十分に踏まえなければいけないと思っている。同時に、このままでは宮家が維持できなくなるという中で、われわれもしっかりと検討していきたいと思う」

−−その中には旧宮家の復活など、色々な選択肢があるということでよろしいか

首相「それはもう、さまざまな選択肢も当然視野に入れつつ、さまざまな方のご意見もいただきながら検討していきたいと思う」

−−伝統的な男系男子ということも大事にしながらということでよろしいか

首相「例外なく男系の継承が維持されてきたという事実も、しっかりと頭に入れなければと思っている」

憲法改正

−−本当にもう衆参同日選はないか

首相「頭の片隅にもない」

−−頭の真ん中にあるんじゃないか

首相「私は最後の3年、(自民党総裁としての)任期に入ったが、やっぱり一番大きな仕事の一つは、いろんな仕事がありますが、一つはやはり憲法改正だと思ってるんです。自民党はすでに、憲法改正の(改憲)4項目についてイメージをお示ししている。自民党は党大会でこのイメージが決定しています。ところが残念ながら、(国会の)憲法審査会で、議論をされてない」

−−立憲民主党は立憲民主という党の名前を持ちながら、民主主義の根幹である議論を否定している。何が民主か、何が立憲か

首相「大変残念なことだと思う。例えば予算委員会で私は首相として説明する義務がありますから求められれば必ず出席をする。で、今回予算委員会にもっと出るべきだといわれたが、1年間に私150時間、この1年間というのは、この国会と先の臨時国会ですが、昨年1年間では190時間出ています」

首相「では憲法審査会。これはですね、衆院では約2時間なんですが、参議院では3分なんですね。1年間で。ですからこれは、確かに予算委員会のようにテレビが入って政府を追及するという華々しい場面ではない。テレビも入れません。しかし、憲法について議員がそれぞれの見識をぶつけ合う、議論し合って真剣にどういう国を作っていくかということを議論する。地味だけれども大切な場において議論がされていないことは、多くの国民の皆さんが残念だなと思いますね。そこで、先ほどダブル選挙はどうかという話をされたが、間違いなく行われる参院選においては、憲法についてただただ立ち止まって議論をしない政党か、議論していく、正々堂々と議論をする政党か、それを選ぶ選挙でもあるんだと思うので、そのことを強く訴えていきたいと思う。条文については最終的に国民の皆さんが国民投票でお決めになる。その国民の皆さんの権利すら私は奪っていると思う」(了)

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