【数字から見えるちば】貨物輸送量全国8位 運転者の労働環境改善に目を ちばぎん総研副部長・下出直樹

【数字から見えるちば】貨物輸送量全国8位 運転者の労働環境改善に目を ちばぎん総研副部長・下出直樹

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 成田空港や千葉港など大型物流基盤を擁する千葉県における平成29年度の国内貨物輸送量(鉄道、海運、自動車、国内航空の合計)は3億2900万トンと全国で8番目に多い。全国上位には4大都市圏(東京、大阪、福岡、愛知、神奈川)のほか面積が大きく域内輸送量の多い北海道や内外航空貨物の取り扱いが多い沖縄が並ぶ。

 千葉県輸送量の内訳は自動車貨物が6割強を占め、品目では鉄鋼や金属製品などの「金属・機械工業品」(5300万トン。構成比は23・8%)が最も多い。大手高炉メーカーの生産拠点(流通の川上)から加工・流通を手がける鉄鋼団地(川下)まで幅広く県内に立地していることが背景にある。以下、金属くずなど「特種品」(4600万トン。同20・8%)、「化学工業品」(3100万トン。同13・9%)と続く。29年度までの10年間の輸送量の動きをみると、リーマンショックを経て全国が11・1ポイント減少する中、千葉県の減少幅は22ポイントと全国を上回った。生産拠点の集約で「化学工業品」が落ち込んだ(マイナス38・5ポイント)ことなどが影響している。

 この間の流通の担い手の動きに目を向けると、eコマース(電子商取引)市場の拡大に伴う貨物の小口化の動きなどからドライバー不足が深刻化した。全国(全職種)では、有効求人倍率が今年9月までの10年間で0・42倍から1・45倍へと上昇する中で、「自動車運転の職業」は0・72倍から3・10倍へと大幅に上昇し、全職種を大きく上回っている。

 労働集約型の運送業界では、以前より労働時間の長さなどが敬遠されがちであったが、配送の多頻度化に伴う負担増が人手不足に拍車をかけている。首都圏に立地し雇用の確保が相対的に優位な千葉県では、同職種の9月の求人倍率が2・75倍と、今のところ全国(3・10倍)を下回っているが、運送業は主力産業の一つであるだけに今後の動向が懸念される。

 ドライバー不足の緩和に向けては、今年度より、国土交通省などによる「ホワイト物流」推進運動が始まっている。荷主と運送業者双方が協力して女性や高齢のトラック運転者にも働きやすい労働環境の整備を目指す取り組みで、趣旨に賛同する企業は法令順守への配慮や契約内容の明確化などを内容とする「自主行動宣言」を提出することで運動に参加する。

 9月末時点で全国で559社、うち千葉県では13社が参加を表明しており、大手小売り企業や食品メーカーのほか農業の盛んな県として農業協同組合などの荷主が手を挙げている。ドライバーの労働環境の改善に向けては、荷待ち時間の短縮など荷主企業と物流事業者の相互理解と連携が不可欠であり、取り組みの広がりに期待したい。

 県内では高速道路を中心に道路交通網の整備が進んでおり、圏央道や北千葉道路の全通に向けた工事が進捗(しんちょく)しているほか、第二湾岸道路も建設に向けた検討が始まった。高速道路へのアクセスも含めた道路網の整備は、渋滞解消など物流業者の生産性の向上のほか、台風などの被害時における円滑な物資輸送にもつながるため、一段の進展が期待される。(寄稿)

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