政府支援や景気刺激策必要に 首相「開催国の責任果たす」

政府支援や景気刺激策必要に 首相「開催国の責任果たす」

東京五輪の開催時期をめぐりIOCのバッハ会長らとの電話会談を終え記者団の質問に答える安倍晋三首相=24日午後、首相公邸(春名中撮影)

 東京五輪・パラリンピックは、安倍晋三首相が国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長に提案する形で1年程度の延期が決定した。延期により会場確保などで追加経費が発生するうえ、年間3兆円超とも想定されていた経済効果も当面見込めなくなった。損失を被る企業も多いとみられ、政府は新たな景気刺激策を講じざるを得ない状況になりそうだ。

 「日本は日本として開催国の責任をしっかり果たしていきたい」。首相は午後8時から45分間にわたる電話会談後、同9時過ぎに首相公邸の正面玄関前で記者団の取材に約3分間応じ、延期の必要性を説くようにゆっくりと語った。

 淡々とした表情で未練を感じさせない様子だったが、会場確保のめどを問われたときにわずかに苦笑。「しっかりと調整をしていくことになる」などと語ると、車に乗り込んだ。

 先に車で公邸から去った組織委員会会長の森喜朗元首相らも、淡々としているように見えた。

 延期決定でまず課題になるのが大会施設の確保だ。東京ビッグサイト(東京・有明)など民間施設も会場になっており、使用時期の変更や延長が必要になる。すでに来年の予約を受け付けている施設もあり、国や都などが補償や負担を求められる恐れがある。

 景気への影響も生じそうだ。選手ら大会関係者や観客らが宿泊予定だった宿泊施設でも、予約が一斉にキャンセルになる。ただでさえ、新型コロナの感染拡大で客足は遠のいており、ダブルパンチといえる。

 五輪開催による今年の経済効果について、民間シンクタンクは、3兆円超から数千億円までさまざまな試算を出していた。訪日客の増加や関連特需が期待できるためだ。

 中止ではなく延期であるため、開催される来年には同様の効果が見込めるとはいえ、一時的に需要の減少に直面するのは避けられない。政府は、関連企業に対する資金繰り支援などだけでなく、当面の消費活性化策も求められそうだ。

(田中一世、田村龍彦)

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