参院補選で立民は急死した羽田雄一郎氏の実弟を擁立 黙って“世襲”を認める姑息さ

参院補選で立民は急死した羽田雄一郎氏の実弟を擁立 黙って“世襲”を認める姑息さ

コロナで急逝した兄・羽田雄一郎の地盤である参院長野補選への出馬を正式に表明する羽田次郎氏(2021年2月25日)

■参院補選は4月


 立憲民主党と言えば、「政治家の世襲禁止」を熱心に主張しているというイメージはないだろうか。例えば朝日新聞DIGITALは20年11月、「政治家の世襲制限を迫った辻元氏、麻生財務相の答えは」という記事を配信した。

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 衆院予算委員会で、立憲民主党副代表の辻元清美氏(60)の質問を伝えたものだ。

《辻元氏は、首相がかつて「世襲制限をして世代交代を図る。こんな当たり前のことをやらないと自民党に未来はない」と述べていたと紹介し、「今も同じお考えか」とただした》

《首相がかつて「3親等以内の親族を公認しないことを考えている。出たければ違う選挙区から出ればいい、と具体的に考えていた」というエピソードも披露した》

 菅義偉首相(72)は「予備投票などの方策」を作っていると答弁。辻元副代表は更に麻生太郎財務相(80)にも「息子さんを出したいですか」と質問した。

 麻生財務相は「事前通告を受けていない」質問だとした上で、「まだ引退することを考えていないから」とかわした。委員会では笑い声も起きたという。

 辻本副代表が世襲批判の質問を行えるのも、立憲民主党が世襲を禁止しているからだろう──こう考えた方も少なくないのではないか。

 だが、立憲民主党は世襲候補の立候補を禁止していない。政治担当記者が解説する。

「2009年8月の衆議院選挙で旧民主党は政権交代を成し遂げました。その前年から、世襲候補を規制する法案作成に着手したのです。

 ところが、憲法に定められている職業選択の自由に抵触する恐れがあるとして、法制化を断念しました。その一方で、党の内規を定めました」


■羽田元国交相は断念


 旧民主党は立候補が制限される世襲候補を、以下のように定義した。

【1】現職議員の配偶者及び3親等内の親族であること
【2】当該議員の引退、転出に伴って連続立候補をすること
【3】同一選挙区から立候補すること

 実際に、この内規が適用されたこともあった。2012年11月、当時の野田佳彦首相(63)が衆議院を解散。翌12月に総選挙が実施された。

「解散直前の9月、長野県第3区で選出されていた羽田孜元首相(1935〜2017)が政界引退を表明しました。この時、長男の羽田雄一郎さん(1967〜2020)は長野県選挙区で選出された現職の参議院議員でした。野田内閣では国土交通相を務めました」(前出の記者)

 羽田元首相は、長男を衆院に鞍替えさせ、長野3区の後継者とすると発言していた。しかし当時の岡田克也幹事長(67)は「党の考えに立っていない」と容認しない考えを示した。

「結局、羽田孜さんの元秘書で、長野県議会議員だった寺島義幸さん(67)が、県議を辞任して立候補しました。自民党が政権を奪還した選挙で、旧民主党議員には大きな逆風が吹いていましたが、寺島さんは当選を果たします。しかし、14年の衆院選では比例復活もできず、落選してしまいました」


■地元でも異論


 2020年12月、羽田雄一郎元国土交通相は新型コロナウィルスに感染、救急搬送された病院で死亡した。まだ53歳の若さだった。

 参議院の長野県選挙区では4月25日に補選が行われる。羽田元交通相は立憲民主党に参加していたため、立民にとっては“弔い選挙”となる。

 絶対に負けられない選挙ということもあり、共産党と社民党も加えた野党統一候補として立候補するのが羽田孜元首相の次男、羽田次郎氏(51)だ。

「2011年に世田谷区議選、17年に衆院選の比例東京ブロックに希望の党(2017〜18年)から出馬し、いずれも落選しています。今回の出馬は旧民主党の3条件に照らせば、間違いなく世襲になります。立憲民主党は自分たちが世襲立候補について規約などで何も言及していないことを利用した格好です」(同)

 地元紙の信濃毎日新聞は3月3日、連載記事の「迫る・2021決戦」で「院県区補選・与野党激突の構図(中) 野党、失った調整役 共闘異なる立ち位置」の記事を掲載。世襲問題について以下のように指摘した。

《民主党は政権与党時代、「世襲」を禁止。旧国民民主党の一部などが合流して昨年9月に発足した新「立憲民主党」は世襲について規定していないが、有権者の一定の批判も予想される》


■改憲が護憲に変貌


 希望の党は東京都議会の地域政党「都民ファーストの会」(小池百合子・都知事の支持基盤)が国政進出するために結成された党で、保守的な色彩が強い。そのため今回の出馬で整合性がとれなくなっているという。

「17年に衆院選に出馬した際、毎日新聞のアンケート調査に答えた羽田次郎氏は、憲法9条の改正に賛成だとしています。ところが今回、共産党や左派的な市民団体とも政策協定を結んだため、護憲や原発ゼロ、日米同盟の見直しなどにも合意しています。立憲民主党の支持者からも異論が出ている状況です」(同)

 国会議員の二世・三世は立憲民主党から立候補することをお勧めする。

デイリー新潮取材班

2021年3月26日 掲載

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