次官出会い系バー通い、学術会議で注目された官僚トップ「杉田官房副長官」が総選挙後に退任

次官出会い系バー通い、学術会議で注目された官僚トップ「杉田官房副長官」が総選挙後に退任

退任説が浮かんでは消え、消えては浮かんできた杉田副長官

■泡を吹いて倒れたが


 官僚トップ・杉田和博内閣官房副長官(80)が今秋に予定される解散総選挙後に退任する見込みだという。第2次安倍政権発足後から8年半を務め、在任記録を更新し続けてきた官邸の顔とも言える杉田氏もいよいよ退場の時を迎えるようだ。

 杉田氏は1966年に東大法学部を卒業し、警察庁に入庁。警備・公安畑を一貫して歩み、神奈川県警察本部長、警察庁警備局長を歴任。警察庁長官にはなれなかったが、内閣情報調査室長、初代の内閣情報官、内閣危機管理監を務め、一旦は宮仕えを終えた。

 それから2012年12月に安倍晋三氏がカムバックして政権の座に就くと、内閣官房副長官に就任。この時すでに71歳で、安倍首相の官邸での就任会見中に、泡を吹いて倒れてしまったアクシデントもあったため、副長官在任はさほど長くないと見られていたが、その見立ては大いに外れることになる。

 17年8月からは内閣人事局長も兼ね、霞が関の幹部級人事を掌握。「杉田さんに評価されないと上には行けない」という評価が固まっていった。

 政治部デスクによると、

「他省庁の次官が60歳前後ですから、その遥か上で下手をしたら親くらいの世代の杉田さんがいることで良い意味で重石になっていたと思います。これだけ年長の人が頑張っているんだから、そこまで言うんだからやりましょうかというような空気はありましたね。一方で好き嫌いは少なからずあり、出身省庁である警察人事にはかなり首を突っ込んでいました」


■菅氏と二人三脚で危機管理


 どちらかというと霞が関内での評判にとどまっていた杉田氏の名と権力を世に轟かせたのは、前川喜平元文科次官への“厳重注意”報道だった。前川氏が新宿の「出会い系バー」に出入りしていることを掴んだ杉田氏は、前川氏がその店で気に入った女性を店外に連れ出し、小遣いを渡していたことを突き止め、それを材料に前川氏を質したという。

「前川さんは“女性の貧困調査のために”という説明をしたようですが、この一件を新聞がスクープしたのも杉田さんのリークとされ、“杉田さんは怖い人だ”というイメージが広がった印象がありますね」

 その次に世間の耳目を集めたのは、日本学術会議問題だった。

「菅政権発足直後の去年10月、日本学術会議が推薦した会員候補のうち6人が任命されなかった問題が発覚しました。杉田さんは前もって菅さんに、“任命できない者が複数出る”と報告し、その通りになっていたことが官邸の圧力、学問の冒涜などと問題視されましたが、新型コロナの拡大もあって騒動は沈静化していきましたね」

 そんな杉田氏が8年半の任期を務める中では後任候補がいないわけではなかった。その一人が新元号の選定作業を指揮した古谷一之前官房副長官補だった。

「一時は古谷さんで決まりという話も聞こえてきましたが、当時の安倍首相が財務省出身の古谷さんを評価せず、杉田さんも同様だったようで、去年6月に公正取引委員長に就任しました。杉田さんは菅さんと危機管理を二人三脚のようにやってきたこともあって、菅政権発足後も余人をもってかえがたいということで留任していたのですが、心臓にペースメーカーが入っているなど激務に身体が常に悲鳴をあげている状況のようです」


■誰が後任に?


 その一方で、自民党の閣僚関係者に聞いてみると、

「確かに杉田退任説は出回っていますが、総選挙で与党がどれくらい減らすかにもよるでしょう。現在は自公で306議席ありますが、これが絶対安定多数の261を下回ることになれば、菅政権は仮に続くにしても政権運営にはあれこれと支障が出てくる。となると、杉田さんの手綱さばきに期待して菅さんが手放さない可能性がありますよ。逆にそんなに議席を減らさないなら、菅さんには警察庁長官間違いなしの中村格次長と財務省次官に就任予定の矢野康治氏という秘書以上に手足となって働く男たちがいますから、杉田さんも安心して官邸を後にすることでしょう」

 これまで浮かんでは消え、消えては浮かんできた「杉田退任」説。では、実際に退任となれば誰がその後継となるのか?

「菅さんが大きな影響力を保持する総務省で次官を務めた岡崎浩巳氏の名がこれまでも上がっていましたが、今回も同様ですね。旧自治省出身の岡崎氏は菅さんが政治の師と仰ぐ梶山静六氏が自治相時代に秘書官を務めたことや菅さんの地元・秋田に出向経験もあるなど、菅さんと近い。現在は地方公務員共済組合連合会の理事長で69歳と、他省庁のトップよりも10歳くらいは年長です。先程の話と重なりますが、杉田さんほどではないにしても重石になります。官僚トップである副長官にとってそれは大事なポイントなのです」(先のデスク)

 ただ、総務省は菅首相の長男が所属する東北新社やNTTからの接待問題で、いわば手負いの状態。岡崎氏が次官を退任してからそれなりの時間が経過し、加えて総選挙後まで時間がそれなりにあるとはいえ、元総務官僚を登用した場合、菅首相への世間の風当たりは強いままかもしれない。

デイリー新潮取材班

2021年6月30日 掲載

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