菅首相、記者会見で「ルールを守れ」と苛立ち全開 女性広報官も叱りつける見苦しさ

菅義偉首相が囲み会見で記者の『ルール違反』に激怒 女性広報官にも飛び火

記事まとめ

  • 菅義偉首相が21日の囲み会見に臨み、最初は上機嫌な様子で質問に答えていた
  • しかし、TBSラジオの記者の3問目の質問に対し、菅首相はルール違反と指摘し激怒した
  • 連続して同じ記者が質問をした場合も一回ごとに所属を言うという慣例があるらしい

菅首相、記者会見で「ルールを守れ」と苛立ち全開 女性広報官も叱りつける見苦しさ

菅首相、記者会見で「ルールを守れ」と苛立ち全開 女性広報官も叱りつける見苦しさ

記者の質問攻めに気色ばんだ菅首相(首相官邸ホームページより)

「ルールを守ってください!」。7月21日、退庁時に行われた囲み会見で、菅義偉首相が気色ばむ場面があった。苛立ちは、横に控えていた小野日子内閣広報官にも飛び火。首相をキレさせた「ルール違反」とはいったい……。

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■最初は機嫌が良かった


 まずは、導火線に火がつくまでの流れを振り返りたい。

 最初は上機嫌にも見えた菅首相。幹事社から23日に開幕する東京五輪について聞かれた際は饒舌に、「世界の選手の皆さんの活躍によって、若者や子供たちに夢とか感動を与えられる最高の機会になることを期待します」「政府としても、感染防止に全力を尽くし、大会を成功させるための努力をしたいと思います。そして国民の皆さんには、ご自宅でテレビなどで声援を送っていただきたい」と語った。

 次に質問したのは朝日新聞。分科会の尾身茂会長が、東京都の一日の新規感染者数が8月の第1週には3000人近くまで増える見通しを示したことについてどう思うか、という問いには、

「東京と連携しながら対応はしっかり行っていきたい。特にワクチン接種にも力を入れていきたい、このように思っています」

 続けて同じ記者から、パラリンピックが有観客試合となる可能性について聞かれると、

「あのー、私は、パラリンピックまでには、この感染状況というのは変わってきたら、そこに対して、5団体の中で対応を考えるということになってますので、そうなってきたら、ぜひ有客の中で、というふうに思っています」


■3問目の質問でブチギレた


 トラブルになったのが、次に出てきたTBSラジオの記者の質問になってからだ。だが、最初は至って平穏だった。

 TBSラジオ「TBSラジオの○○です。今日東京の一日の感染者数が1832人になりました。総理、この間、会見等で、国民の命、生命を守るのが総理の責任だとおっしゃってこられましたけれど、これだけ感染者が増える中でオリンピック・パラリンピックを開催することで、国民の生命は本当に守れるんでしょうか」

 首相「そこは守れると思っています。ぜひ分析をしてほしいです。今日も1000人を超えていますけども、65歳を超える、重症化の一番多いと言われる高齢者の皆さんの感染者は4%、このところは4%を切ってますから、そこについては、数字がしっかりと表してくれていると思います。ですから、ワクチン接種というのは、大きな効果が出ている、このように考えています」

 記者は続けて2問目の質問に入った。

 TBSラジオ「会見の中でこれまで、オリンピック・パラリンピックの関係者は一般の国民とは動線が異なるから安心なのだということをおっしゃってこられましたけれど、いまバブルが機能していない、つまり、動線が一緒になっているところが見られるという報道もあります。言っていることと異なっているのではないでしょうか?」

 首相「あの、ここについては、IOCにもしっかり対応してほしいと思いますし、組織委員会と連携して、そこはしっかり守っていきたい、こう思います」

 曖昧な答えを返す首相に、記者はこう畳み掛けた。

 TBSラジオ「異なっていたということはお認めになるということですか?」

 この質問に首相はキレたのだ。質問には答えずに、顔色を変えて「ルールを守ってください!」と声を震わせた。それにとどまらず、横に控える小野日子内閣広報官を振り向き、「はっきり言ってください!」と怒りをあらわに。小野広報官が、慌てて「社名を」と注意すると、記者はたじろぎながらも改めて名を名乗り、

「動線が別になっているということをおっしゃっていたんですが、一緒になっていたということはお認めになるということですか?」

 と丁寧に聞き直した。首相の答えは、

「いや、私も視察をして徹底するように言っていますので、それはIOCのルールの中にもありますから、そこはしっかり徹底できるようにしたい。こういうふうに思います」


■暗黙の“ルール”とは


 会話が噛み合わないまま、まもなく囲みは解かれたが、去りゆく映像には、菅首相が小野日子内閣広報官を叱りつけているように見える様子がはっきり映っていた。相当ご立腹だった様子だ。

 だが、国民の多くがこの映像を見ていて、この記者がどんなルール違反を犯したか、意味がわからなかったであろう。

「いや、厳密にはルール違反なんてなかったですよ」

 こう答えるのは、官邸記者クラブの記者である。

「ぶらさがり会見は自由な場なので、そもそもルールなんてありません。指されてから答えなければならないこともなく、その場の流れで進んでいきます。もちろん、まず質問者は所属会社と名前を名乗る、などの慣例はあります。でも、彼は最初ちゃんと名乗っていましたよね」

 では、質問をかぶせたのがよくなかったのか。

「いや、そんなルールもありません。よくわからない答えだったら、聞き直す必要がありますから。一社が4つ5つ質問を続けるなんてこともたまにあります。内容も決して失礼なものではなかった。首相がはぐらかすような受け答えをしたから、聞き直したわけで問題ない」

 では、今回、菅首相は何を咎めたかったのだろうか。

「実は、連続して同じ記者が質問をした場合でも、一回ごとに所属会社と名前を名乗り直さないといけないという慣例があるのです。TBSラジオの記者は囲み会見に参加した経験が少なくて、そこがよく分かっていなかったのでしょう。彼もびっくりしていたと思いますよ」

 一般の感覚からすれば、同じ質問者が続けて質問するのに、いちいち改めて名乗らないといけないという“ルール”があること自体、違和感がある。

「昔はなかったんですが、菅総理になってから、暗黙のルールとして出来上がったんです。大勢の記者がいますから、後で、誰がどの質問をしたかわからなくなる時がある。ただ、確かに、総理があんなに怒りをあらわにするような話ではありませんよね。記者会見での評判がめっきり悪い菅総理ですが、実はエントランスでのぶらさがり会見は、菅総理になってからかなり増えている。以前の総理たちはほとんど素通りでしたから。今回の“事件”が尾を引かなければ良いのですが……」

 TBSラジオの記者が指摘したように、アメリカの女子体操代表選手が選手村を飛び出すなど、バブル方式は確かに問題が多い。開会式直前になってミュージシャンの小山田圭吾や絵本作家・のぶみ氏の降板などドタバタも続いている。それにしても、こんなつまらないことで噛み付くとは……。菅首相の苛立ちもいよいよ頂点に達したか。

デイリー新潮取材班

2021年7月22日 掲載

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