「安倍前首相」に不起訴不当の判断が下って、ほくそ笑む「菅首相・二階幹事長」

「安倍前首相」に不起訴不当の判断が下って、ほくそ笑む「菅首相・二階幹事長」

安倍氏の自滅にほっと一息

■不起訴の判断には納得がいかない


 安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」前日夜の夕食会。これをめぐる事件で、安倍氏が告発され不起訴(嫌疑不十分)となったことについて、東京の第1検察審査会は、一部容疑で十分な捜査が尽くされていないなどとして、「不起訴は不当だ」と議決した。捜査を担当した特捜部自体も、「捜査が行き届いていない」などと指摘を受ける異例の展開となったが、今回の判断に菅首相、二階幹事長はほくそ笑んでいるという。

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 最初に、これまでの流れをざっと振り返っておこう。

 夕食会については、安倍氏側が参加者の飲食費用の不足分を負担していたことが明らかになっている。そのことが有権者への違法な寄付に当たり、公職選挙法に違反する疑いがあるということで、安倍氏は告発された。

 告発を受け、捜査を担当した東京地検特捜部は、「夕食会の参加者に寄付を受けたという認識があったと認めるだけの証拠は得られなかった」などとして不起訴にしていた。この不起訴の判断について、第1検察審査会は「不当だ」と議決し、7月30日に公表したわけだ。

 検察審査会は議決の中で、「一部の参加者の供述だけで参加者全体について寄付を受けた認識がないと判断したのは不十分と言わざるをえない。安倍氏や秘書らの供述だけでなく、メールなどの客観資料も入手したうえで犯意を認定するべきで、不起訴の判断には納得がいかない」と指摘している。


■求心力が下がることは間違いない


 社会部デスクは、

「昨年9月、安倍氏が首相を辞任したこともあって、検察はハナから本気で捜査する気はまるでなかったのですが、検審はその痛いところを突いてきたということはあります。ただ、ここから改めて全力投球で捜査をすることはないでしょうから、選挙も終わって政局が落ち着いたころを見計らって、不起訴で捜査終了が発表されるのではないでしょうか」

 と解説する。大勢には影響がなさそうな印象もあるが、政治部デスクに聞いてみると、安倍氏にとっては厳しい議決だったと分析する。

「今回の検察審査会の判断で、安倍さんの自民党内での求心力が下がることは間違いないでしょう。国会では“事務所側が補填をした事実も全くない”“総理大臣として答弁していることは全ての発言が責任を伴う”“私が嘘をついていると言うなら、それを嘘だと説明するのはそちら側ではないでしょうか?”と野党側の質問に逆ギレするように答えていたわけですが、費用の一部は補填され、事実と違うことを話していたことが判明したとなると、やはり元首相としての説明責任を果たすことは避けられません」

 そんな状況にほくそ笑んでいるのが、菅首相と二階幹事長なのだという。

「菅首相は確固とした党内支持基盤がなく、派閥のボスに頭を下げて支持をお願いしている状況です。現状は、安倍さんが所属する細田派、麻生さんの麻生派を合わせて党所属議員の約4割を占めており、2人がキングメーカーとなっている。今のところ2人は菅支持ではありますが、コロナ対策に失敗し、支持率が下がり続ければ2人から引導を渡されることになりかねない。菅首相にとって常に気を遣わなければならず、目の上のたんこぶのような存在で、その一角が自滅のような形で失点してくれたのは悪い話ではないわけです」


■動きが鈍るのは間違いない


 続いて、二階幹事長の場合は、

「細田派と二階派は2つの選挙区で現職が公認争いをし、火花を散らしている真っ最中です。今年秋の衆院選までにどういう落としどころがあるのか、予断を許しません。具体的な選挙区は新潟2区と群馬1区。前回の選挙では新潟で二階派候補が小選挙区で細田派候補を破り、群馬では細田派候補が小選挙区で勝利した一方、二階派候補は比例ブロックに回って当選しています。それぞれの後見役として安倍さん、二階さんは表向き一歩も引かない動きを見せてきた中で、今回の検審の判断を受け、安倍さんの動きが鈍るのは間違いない」

 加えて、二階氏は幹事長在任歴代最長を更新し続け、独断専行が過ぎると党内からやっかみが収まらない状況なのだが、

「次回の人事刷新の機会には幹事長職を解かれ、その後継として、下村(博文)さんなど、細田派幹部の起用を安倍さんが菅首相に進言してきたという話もあります。この点についても、安倍さんは勢いを殺(そ)がれることになるでしょう」

 党内情勢、内閣支持率、解散戦略、選挙区事情……さまざまな領域に影響を及ぼすことになりそうだ。

デイリー新潮取材班

2021年8月2日 掲載

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