デジタル庁次官候補の伊藤穣一氏、「性犯罪者から資金提供はさすがにマズイ」と人事問題化に

デジタル庁次官候補の伊藤穣一氏、「性犯罪者から資金提供はさすがにマズイ」と人事問題化に

渦中の伊藤穰一氏(本人のTwitterより)

■ジェフリー・エプスタインとの関係


 菅義偉首相の肝いりで新設される予定のデジタル庁について、事務方トップの「デジタル監(事務次官に相当)」に、実業家で個人投資家の伊藤穰一氏(55)を起用する方向で最終調整に入ったと報じられた。伊藤氏は、「食べログ」などを運営するカカクコムなどを傘下に持つ「デジタルガレージ」の共同創業者であると同時に、長らくMIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボ所長を務めるなど、ネット界の風雲児として知られる人物だ。

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 通常なら余人をもって代えがたく、三顧の礼をもってしても迎えたい人材であるはずだが、性犯罪者から資金提供を受けていたことが判明したため要職を辞任していた過去があり、「さすがにマズイのでは」という声が上がっている。

「伊藤氏は幼少期から両親の仕事の関係で、基本的には海外で生活していました。ノーベル化学賞を受けた福井謙一氏や衆院議員の小沢一郎氏など交遊関係が広い母親の薫陶を受けたこともあって、早熟だったため、“恐るべき子供”などと呼ばれて育ったそうです」

 と、政治部デスク。

 1995年にデジタルガレージを創業してネットの寵児として世に出ると、97年には警察庁のネットワークセキュリティ部門の立ち上げに寄与するなど、各界から引く手あまたの状況に。

 そして世界を驚かせたのは、2011年のMITメディアラボ所長就任だった。16年からはMIT教授も兼ね、オバマ元大統領ら世界の要人にインタビューしたり、様々な場でテクノロジーや社会の未来像について発言を求められたりしてきた。

 その人生に狂いが生じたのが、2019年に発覚したジェフリー・エプスタインとの関係だ。


■官邸幹部が承知していなかった


 アメリカの実業家で投資家のジェフリー・エプスタインは、2008年に売春あっせん、児童買春などで有罪判決を受けた人物だ。対象となった女性には、11歳の少女も含まれていたという。

 その後の2019年7月にも、14歳を含む未成年の少女数十人への性的虐待、人身売買などの容疑で逮捕、起訴。自宅へのガサ入れの際には、そのことを裏付ける写真などが多数押収されていたが、その年の9月、勾留中の拘置所内で首から血を流した状態で見つかり、自殺と判断された。

 先のデスクが続ける。

「エプスタインの死後、彼から伊藤氏が所長を務めるMITに対し、過去20年にわたって8000万円以上の寄付を行っていたことがわかりました。当初、伊藤氏は謝罪したものの、“犯罪のことは知らなかった”として辞任はしませんでした」

 それから間もなく、伊藤氏とエプスタインの蜜月関係を示唆するスクープ記事が出た。

「例えば、エプスタインの犯罪歴を知りながらも寄付を受け取っていたり、エプスタインによる寄付がそうとはわからないように糊塗(こと)したりした形跡がうかがえると指摘するものです。伊藤氏はその内容を否定したものの、MIT所長やその他さまざまな役職から退くことになりました。英王室やトランプ前大統領など、エプスタインの顔の広さやその不審な死、MeToo問題なども相まって、アメリカでは大きなニュースとなりましたが、日本ではそう大きくは報じられることはありませんでした」

 そんなスキャンダルから約2年が経過し、伊藤氏に白羽の矢が立ったというわけだ。取材する記者によると、

「今回の人選については、デジタル改革担当大臣の平井卓也氏が進めてきました。菅首相の肝いりの政策ですから力が入っており、平井氏も意中の人がいたようですが、何人かにフラれて伊藤さんにお鉢が回ってきたといいます」

 伊藤氏もオファーを受ける流れだったので、「起用する方向で最終調整」と事前に報じられたわけだが、

「伊藤氏の絡んだエプスタインのスキャンダルについて、官邸幹部が承知していなかったようなんです。改めて伊藤氏について調査をした結果、これだと就任は難しそうだなぁという空気になっていると聞きました。伊藤氏の起用報道には驚きましたが、てっきり彼が疑惑を完全否定した結果だと思っていました。大臣が入閣する前に内閣情報調査室は『身体検査』をやりますが、今回はオープン情報なわけで、身体検査以前の問題ですよね」

 就任前にわかったことだけでも、不幸中の幸いと言えるのかもしれない。

デイリー新潮取材班

2021年8月10日 掲載

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