岸田文雄が激白「誰が相手でも負け戦はしない」 語ったコロナ対策

岸田文雄が激白「誰が相手でも負け戦はしない」 語ったコロナ対策

「目指すは“withコロナ”」

〈総裁選の期日が決まった8月26日に出馬表明会見を行った岸田文雄前政調会長(64)。この会見に焦燥感を募らせた菅総理は「二階切り」を断行し、結果、党役員人事の刷新や総裁選先送りが取り沙汰される大混乱へと繋がった。対立候補が続々と名乗りを上げる波乱含みの展開のなか、渦中にある岸田氏は何を語るのか――。〉

 正直なところ、いまの自民党に対する逆風には苛烈なものがあると感じています。先日、菅総理が総裁選への不出馬を表明されましたが、その直前まで政府の方針は日々刻々と変わっていきました。国民の政治不信がより深まらないか心配していたのは事実です。

 私としては、総裁選は党の総務会で決められた日程で正々堂々と行われるべきだと訴えてきました。仮に総裁選の前に党役員人事や内閣改造があり、閣僚や幹事長ポストをオファーされても受ける気は全くありませんでした。私は、総理・総裁として、コロナなど山積するこの国の課題の先頭に立つ覚悟です。

 無論、昨年から続く新型コロナウイルスとの戦いで、菅総理が休みも取らず、日夜働いてこられたことについては心から敬意を表します。しかしながら、結果としては、国民の間に政治への不信感が満ちてしまっていることは否定できません。

 今年6月に国会が閉会すると、議員たちは一斉に地元へと帰り、概算要求のシーズンである8月末に永田町へと戻ってきました。その時、議員たちの誰もが同じ危機感を共有していた。有権者から投げかけられたのは、「自分たちが何を言っても政治に響かない」「政治との距離は広がるばかりだ」、「政治を信頼できないし、期待しても仕方がない」といった辛辣極まる言葉ばかりだったからです。

 いまの状態で衆院選に突入すれば、接戦の小選挙区を軒並み落とし、自公で過半数割れを起こす可能性も十分にある。それくらいの危機感を抱いています。

 自民党はイデオロギー政党ではなく、幅広く人々から支持される国民政党であると自負してきました。今回の総裁選で国民の本音を汲み取り、幅広い選択肢を示さなければ自民党の信頼は回復できない。そのために、党員のひとりとして私も力を尽くしたい。そうした思いで総裁選に臨むことを決断したのです。

 昨年9月の総裁選、そして、地元・広島の参院再選挙に敗北し、「岸田はもう終わった」という声を何度となく耳にしました。それでも、私にできることはないかと常に自問自答し続けてきました。河野さんや石破さんが相手でも、政治家として勝負をかけるときは絶対に負け戦はしない。最後には勝つ。強い覚悟を持って総裁選を戦い抜くつもりです。


■国民の納得感


 先日の出馬表明会見では総裁を除く党役員人事について〈1期1年、連続3期まで〉というアジェンダを示しました。

 これが党内外で波紋を呼んだようです。

〈岸田氏の会見を受けて菅総理は、それからわずか4日後に、二階幹事長を交代させる意向を固める。急転直下で決まった「二階切り」を「岸田潰し」と呼ぶ声も上がった。〉

 そうした指摘はありましたが、私自身は“争点潰し”に繋がるとは考えていません。というのも、若手・中堅議員と党改革に向けた議論をすると、かねてより「活躍できる場がほしい」という意見が絶えなかった。当然ながら、先輩議員が一定のポストに居座ると若手に活躍の場は与えられない。総裁ですら3期までと決められているのに、他の党役員が何年でも続けられるのはおかしい。

 いまは中選挙区ではなく小選挙区制なので公認の問題にも影響します。選挙における党の権限が強いからこそ、定期的に役員を入れ替えて権力の集中や惰性を防がなければならない。私が、問題提起しているのは、特定の個人ではなく、党内ガバナンスの仕組みです。今後もこの主張を変えることはありません。

 一方、コロナ禍で多くの国民は政治に無関心でいられなくなりました。

 国民がこれまでのコロナ対策に不信感を抱いている原因は、まず丁寧な説明が足りないこと、次に政府の見立てが楽観的すぎることにあります。

 そこで私は、納得感のある説明と、最悪の事態を想定した危機管理を行うべきだと考えています。

 重要なのは「何を目標とするか」です。進むべき道筋の全体像を共有して、なぜこの対策が必要なのかを丁寧に説く。これが国民の納得感に繋がるはずです。

 具体的に言えば“ゼロコロナ”ではなく“withコロナ”を目指す。通常の医療体制のもとで平時の活動ができる“コロナとの共存”こそが当面の目標です。

 そのためにはワクチン接種と抗体カクテル療法の拡大、そして、経口治療薬の早期開発が必要です。予防と治療というコロナ対策の両輪に目処が立てば、新型コロナウイルスは季節性インフルエンザと変わりない存在となる。

 経口治療薬の実用化は早くとも年末までかかるため、それまでの期間は医療人材と病床の確保に努めたい。「野戦病院」を開設して「医療難民ゼロ」を推し進め、人流抑制も行う。同時に国民の生活を支えるための家賃支援や、持続化給付金の再支給といった経済対策も不可欠です。

 さらに、ワクチン接種歴を証明する電子証明書(ワクチンパスポート)を活用する一方、ワクチンに忌避感のある方に向けてPCR検査の拡充を進めていきたい。そうすることで、飲食店の利用やイベントへの開催にも道筋がつけられていくと思います。withコロナを旗印に、感染拡大防止と社会経済活動を回すことをバランスよく両立させる必要があります。

 私は他派閥の支持が得られなくても総裁選に出馬します。実際、まだ支持は取り付けられていませんからね(笑)。ただ、コロナ禍の最中に行われる総裁選では、派閥がどうではなく、何よりも国民、党員に向き合って共感を得ることが第一です。国民の声を丁寧に拾い上げ、政策に反映すれば情勢は変わっていく。ここからが本当の勝負です。

「週刊新潮」2021年9月16日号 掲載

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