新政権で干された「河野太郎」「小泉進次郎」 総選挙の注目ポイントは?

小泉進次郎氏、選挙が心配で珍しく地元入りか 河野太郎氏に岸田陣営議員が応援依頼も

記事まとめ

  • 菅政権で大臣だった河野太郎氏と小泉進次郎氏は、岸田文雄氏が総理となり冷飯を食った
  • 河野氏は議員からの人気で選挙の応援依頼が殺到、岸田陣営の議員からも来ているという
  • 進次郎氏は選挙が心配なのか、珍しく『地元入り』する姿が目撃されているらしい

新政権で干された「河野太郎」「小泉進次郎」 総選挙の注目ポイントは?

新政権で干された「河野太郎」「小泉進次郎」 総選挙の注目ポイントは?

小泉進次郎氏

 天下分け目の決戦を前に、ニッポンの中枢・永田町では不穏な思惑が交錯している。重鎮議員が側近の復権に一計を案じれば、転落した将来の総理候補は涙を流すばかり。そこへ野党共闘をかき回す“新選組”が……。

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 政治家としての“生死”をかけた衆院選が迫る中、それに似つかわしくない浮き立った様子で闊歩するのは永田町のお歴々である。

 例えば、岸田文雄総理(64)の場合、岸田派は党内第5派閥で決して党内基盤は盤石とはいえない。それゆえ、細田派や麻生派などの大きな派閥に配慮せねばならないが、今後もネックとなりそうなのが、安倍晋三元総理(67)だ。岸田氏の側近議員や今回の人事に不満を持っているとされる一方で、宏池会(岸田派)の前会長・古賀誠氏は今月9日のTBS「報道特集」に出演し、マックス・ヴェーバーの『職業としての政治』を例えに、「悪魔の言う通りは本末転倒」と安倍元総理らへの接近に釘を刺した。


■スキャンダル議員の復党を画策


 岸田氏が自民党をグリップするのに大きな重しとしたのが、番組内で安倍元総理と共に古賀氏に批判された麻生太郎副総裁(81)だ。

 麻生氏は新政権発足後、

「菅(前総理)と二階(前幹事長)を引きずりおろしたことで目的のほとんどは達成できたよな。あいつらは顔が悪いからな」

 と、ご満悦の様子で、次の目的は「かつての右腕」の復権だと漏らしていた。

 麻生派関係者が言う。

「麻生さんは、緊急事態宣言下に銀座のクラブなどへはしご酒に繰り出し離党した麻生派で国家公安委員長、国対委員長代理を歴任した松本純さんら3人、いわゆる銀座3兄弟をなんとか復党させたかったのです。松本さんは麻生さんの側近中の側近。ただ、このまま無所属で出馬すると、落選の可能性が高いので、なんとか救ってあげたい。今夏の東京五輪開催前にも復党を画策していたのですが……」


■出来レースの公募


 だが当時、菅前総理は復党に否定的で、

「そこで今回、党の副総裁に就いたタイミングで再び、復党させようと甘利明幹事長(72)に働きかけていました。情に厚い選対委員長の遠藤利明さんは麻生さんと岸田さんの関係をよくすることが政権安定につながると考え、“何とかしてやりたい”と公示直前のどさくさに紛れて党に復帰させようとしていたのです」(同)

 だが、そんなことをすれば、世論の反発は必至。

 松本氏の地元である自民党神奈川県連幹部も、

「県連として復党は一切認めない。世間を騒がせたんだから禊(みそぎ)が必要ですよ。甘利さんだって政治とカネの問題でまた騒がれているのに、松本さんのことを蒸し返したら県連だけでなく、自民党全体に響く話ですよ」

 と憤慨する。党内に警戒感が充満する中、結局、11日に銀座3兄弟は復党しないことが決まったが、それを差配する甘利幹事長はとある女性候補に異様に肩入れしているそうだから、同じ穴のムジナというほかあるまい。

「正直、甘利さんがなぜ彼女にあれほど力を入れるのか理解しがたいです」

 と、声を潜めるのは自民党大分県連関係者。

 甘利氏がゾッコンなのは、大分1区から出馬する予定の高橋舞子候補(33)だ。上智大学卒業後、松下政経塾にも在籍していた高橋氏は、時事通信、ブルームバーグでの記者職を経て、一昨年6月、自民党大分県連の公募で選ばれ、正式に候補者となった。

「実は県連での選考前に甘利さんから県連に対し、強烈な推薦がありました。記者時代にかわいがっていたそうで、公募という形式になっているけれども、実際には最初から出来レースだったんです。候補者となってからも甘利さんは、大分に大きな工場を持つキヤノンの御手洗冨士夫会長に高橋さんを紹介、高橋さんが上京する際の交通費も負担するなど、破格の待遇で面倒を見ています」(同)

 ご執心ぶりが際立つが、その高橋氏、地元で総スカンだと、関係者が続ける。

「自分の思い通りにならないと何かにつけて“甘利先生だったら……”とチラつかせるし、演説原稿は覚えず、ポロシャツにジーンズ姿で会合に現れるなど、常識はずれの行動ばかりが目立ちます。挙句の果てに、4年制の松下政経塾をこれまでさも卒塾したかのようにふるまっていたのに、わずか1年で退塾していたことが明らかになりました。地元の自民党支持者の間に“応援できない”という動きが広がっています」

 甘利事務所に高橋氏との関係を聞くと書面で、

「公認候補のみなさんが当選され国家国民のために働けるようにすることが幹事長としての職責であると考えております」

 と、回答を寄せた。


■野田氏は副大臣が足かせに


 その甘利氏は今回の組閣にあたり大臣人事とともに、副大臣人事でも大きな力を発揮していた。

 政治部デスクの解説。

「副大臣に関しても甘利さんが各派閥の意向をもとに、はめ込んでいったのですが、選挙に弱い人もいて、落選する副大臣もいるのでは、と囁かれています」

 その煽りを食ったのが、野田聖子少子化担当相(61)である。岸田総理の対抗馬として総裁選を戦ったものの、今回「挙党一致」の象徴として入閣している。彼女を支える副大臣として着任したのは……、

「細田派の保守系の参院議員、赤池誠章さんです。赤池さんは前回参院選の比例区でギリギリの当選を果たしています。また、3年前には反政権の姿勢で知られる前川喜平元文科事務次官が名古屋市で授業を行った際、文科省に内容を照会し、“圧力だ”と騒ぎになりました。リベラルを志向する野田さんとは対極にいる議員で、“そんな人を副大臣に据えるとは、野田さんへの嫌がらせではないか”という声が上がっています」(同)

 政策面でも乖離が目立つ。

「野田さんは就任後、こども庁設置へ向け、来年にも通常国会で法案を出したいと決意を語っていました。かたや、赤池さんはこども庁設置にはかねて否定的です。選択的夫婦別姓も野田さんは賛成で赤池さんは大反対です。これでは、赤池さんは野田さんの足かせでしかありません」(同)

 元暴力団員の夫を持つ野田氏だけに内閣府内で「仁義なき戦い」が勃発しそうだ。


■異彩を放つ鈴木貴子外務副大臣


 その副大臣の面々で異彩を放つのが鈴木貴子外務副大臣(35)。着任早々、

「外務省には政治家のマニュアルが存在すると伺っている。存在を確かめたい」

 と皮肉を飛ばした。鈴木副大臣の父は外務省に多大な影響を及ぼし、斡旋収賄などの容疑で2002年に逮捕された鈴木宗男参院議員(73)。外務省は過去に「会食を控える」などとする、国政復帰後の鈴木宗男氏への対応マニュアルを作成していた、と報じられている。

「私はアドバイスなどしていませんよ。すべて本人に任せています」

 と語るのは鈴木宗男氏ご当人である。

「その挨拶もテレビや新聞で見たのですが、なかなか上手いことを言うな、と。政治家と官僚というのは、信頼と緊張感が必要なんですね」

 と言いながらも、熱血指導も忘れていない。

「平成17年に私が国政に戻ってきてからそのマニュアルを作った偏見を持つ人たちは省内でだいぶ整理されたのではないですかね。本人に頑張ってほしいのはまず国益。国益をしっかり守る外交を行ってほしい。そしてやはり、鈴木貴子のライフワークである北方領土問題や日露平和条約締結、そこに向けてしっかり汗をかいてほしいと思います。30代で副大臣になったのは非常に重いことだと受け止めています」


■冷遇される河野太郎小泉進次郎


 抜擢される者がいれば、冷や飯を食う者あり。菅政権でコロナ担当大臣という要職に就いていた河野太郎氏(58)は党広報本部長に“格下げ”された。

「河野さんは周囲に“防衛大臣からコロナ担当大臣だって格下げなんだよ。それと同じだ”と強がっていましたが、議員からの人気は相変わらずで、選挙の応援依頼が殺到しています。岸田陣営の議員からも来て、“節操なさすぎだろ”とぼやいていました」(先の自民党関係者)

 大臣から格下げどころか「無役」となり、「冷たすぎる飯」を食うのは、小泉進次郎前環境大臣(40)。5日の環境省退庁の際、目に涙を浮かべていたことが話題となった。先月、菅首相に総裁選出馬断念を進言した後、報道陣を前に見せた“男泣き”に続く、2度目の涙だ。

 長年、永田町を取材する政治評論家の小林吉弥氏が呆れて言う。

「これから総裁を目指そうという人がこれだけ泣くのは安っぽいというほかありません。国民の命運を左右するような高度な判断をする立場の政治家が感情をあらわにするのは得策ではないでしょう。昔の政治家の涙といえば、中選挙区をドロドロになって勝ち抜いたときに感無量のあまりポロッと泣くくらいのもの。感情の高ぶりを表に出さず、思いの丈を堂々言葉にすればよいのです」

 最近では選挙が心配なのか珍しく「地元入り」する姿が目撃されているという。地元・横須賀の自民党市議によれば、

「先日、地元の支部で会議が開かれたのですが、そこに進次郎さんが来ていました。本人は“大臣になってから2年間はほとんど地元に来られず、皆さんとだいぶ距離が離れてしまった……”と言っていましたね。これから今まで以上に来てくれるようにはなるのでは」

 だが、さる自民党議員は突き放す。

「本人は“河野陣営の議員は選挙が厳しいから応援に行く”と言っているらしいです。そもそも小泉さんは菅政権発足前“自分は大臣にならない。大臣にならずとも国のトップに立った人は世界にいるんだ”と語っていた。それなのに、菅さんが総理になったらすぐに大臣ポストに飛びついた。その頃から若手議員も小泉さんから離れていきました」

 涙をハンカチで拭う日々が続きそうである。


■“野党共闘は…”


 かような自民党議員ばかりだからとて、野党にチャンスがあるわけではない。共闘を引っ掻き回すのは、れいわ新選組を率いる山本太郎代表(46)である。

 8日、石原伸晃自民党元幹事長の地盤である東京8区からの出馬を表明した。

 野党担当記者が解説する。

「山本さんが出馬表明したことで8区から出馬予定だった立憲議員の支援者から“野党統一候補にならない”と猛反発を受け、8区から降りることに。ただ、実は山本さんサイドと立憲都連幹事長の手塚仁雄さんとは、話ができていました。8区の立憲の候補者を参院にまわし、山本さんを統一候補にするというもの。ですが、8区の支援者へ根回しまでできておらず、今回のような騒動になってしまったのです」

 山本氏は滋賀3区で元立憲民主党の高井崇志衆院議員(52)をれいわの候補として公認している。

 本誌(「週刊新潮」)は昨年4月、高井氏が緊急事態宣言下で新宿・歌舞伎町の「風俗店」に入店した様子を詳報し、高井氏は立憲を除籍された。そんなスキャンダル議員を受け入れるれいわの懐の深さには恐れ入るが、さる滋賀県議はこうも指摘する。

「もともとこの選挙区は立憲の候補者が出馬してもしなくても共産党候補はおろさない土地です。そこにれいわの候補者が立てば、野党候補が2人になることは明らかでした。立憲の県議は“野党共闘はどうなるのか”と怒っていましたよ」

「週刊新潮」2021年10月21日号 掲載

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