甘利幹事長が小選挙区敗北で辞任へ 「安倍」「小石河連合」の”逆襲”が始まる

甘利幹事長が小選挙区敗北で辞任へ 「安倍」「小石河連合」の”逆襲”が始まる

甘利幹事長が小選挙区敗北

甘利幹事長が小選挙区敗北で辞任へ 「安倍」「小石河連合」の”逆襲”が始まる

幹事長がまさかの小選挙区落選

 前代未聞の事態である。政権与党の幹事長が小選挙区で落選してしまった。午前0時頃、NHKが神奈川13区に出馬していた甘利明幹事長の小選挙区敗北を伝えた。比例復活できたものの甘利氏の幹事長辞任は必至であり、発足1カ月の岸田政権にとって大打撃となる。岸田政権発足で割りを食ったと言われる安倍晋三元首相、さらには菅義偉前首相や小泉進次郎氏ら「小石河連合」がこの機に乗じて、巻き返しを図る可能性がある。

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■お気に入り女性候補とともに敗北


「甘利が危うい」

 1週間くらい前から、永田町ではこんな声が出回り始めていた。日を追うごとにそれは真実味を増していく。各社の情勢調査でも「接戦」から「劣勢」へ。公示後は、ゴリ押しして公認させたと言われる大分1区の高橋舞子候補の応援に駆け付けるなど全国行脚していた甘利氏であったが、ここ数日は地元に張り付き、駅頭で声を枯らしていた。ちなみに高橋氏も、早々に小選挙区で落選確実となった。

 公示前は決してそんな空気ではなかったという。

「もともと甘利さんは選挙に強い。2017年の前回選挙では、今回当選した立民の太栄志氏(当時は希望の党)をダブルスコアで破っています。しかも前回は、UR(都市再生機構)をめぐる口利き疑惑が出た直後の選挙でした。今回も圧勝すると見られていたのですが……」(政治部記者)


■創価学会から総スカン


 岸田政権が発足し、幹事長に就任したことが裏目に出てしまったのだ。

「もともと甘利氏は、安倍・菅の両政権においても、カネの問題が理由で要職からは外されていました。記者に囲まれなければならないような職には、あえて就けないようにしていたわけです。しかし、岸田さんが幹事長に据えてしまったため、完全に過去がぶりかえされてしまった。『文春オンライン』が甘利氏の幹事長就任後に再掲載した疑惑の記事は、ネット上でかなり読まれていたと言います」(同前)

 今回は野党共闘が実現し、共産党が候補を立てなかったことも逆風となった。前回、共産党候補が獲得した3万6000票の大部分が立民候補に流れてしまったわけだ。さらには“味方”であるはずの公明党の動きも鈍かった。

「公明党は甘利氏に3次推薦を出していますが、まったく動かなかったと言います。もともと選挙の実働部隊である創価学会の婦人部は、カネの問題にうるさい。甘利氏は日頃から公明党に対してぞんざいな態度を取っていたとも言われ、意趣返しだった可能性もあります」(同前)


■後任は高市氏か森山氏か?


 幹事長とは、党のカネを一手に握り公認候補を定めるなど選挙を取り仕切る立場である。甘利氏はTBSの開票速報番組で厳しい状況が伝えられるなか、もし小選挙区で敗北したら「総裁に身柄を預けないといけないと思う」と述べた。比例復活できたとはいえ、辞任は不可避とみられる。当然、任命した岸田首相の責任問題にも発展する。

「今回の選挙では、仮に岸田さんが苦戦したとしても、菅さんという“前のピッチャー”が悪かったということで責任を問われない公算でした。実際のところ、自民党は単独で過半数を維持できそうな情勢。しかし、甘利さんたった一人の敗戦で窮地に立たされてしまった」(政治部デスク)

 では、後任の幹事長は誰になるのだろうか。

「『官房長官に萩生田光一氏、幹事長に高市早苗氏』を要求していた安倍元首相は、岸田人事にかなり不満を持っていると言われています。高市氏を政調会長から幹事長に横滑りさせるよう要求してくる可能性もあるのではないか。有力議員が総じて閣僚入りしている事情を考えると、バランスを考えて森山裕前国対委員長もありうる。総裁選で負けて反主流派になってしまった小泉進次郎氏、石破茂氏、河野太郎氏からなる『小石河連合』も巻き返しに動いてくるでしょう。来年7月には参院選も控えており、党内は波乱含みです」(同前)

 昨日まで「3A」と呼ばれていた実力者の失脚。選挙とはつくづく恐ろしいものだ。

デイリー新潮取材班

2021年11月1日 掲載

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