学会票にすがるも落選の甘利幹事長 地方の候補者からは「甘利さんに応援に入られても」

学会票にすがるも落選の甘利幹事長 地方の候補者からは「甘利さんに応援に入られても」

ドブ板の甲斐もなく

 甘利明・自民党幹事長(72)のまさかの敗戦。なりふり構わず学会票を拾いにすがったにもかかわらず票が伸びなかった理由は。

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「私の選挙史上、一番大変な選挙です!」

 選挙戦最終盤に、そんな悲痛な声を張り上げる羽目になるとは、本人も想像だにしなかっただろう。まさかの敗北を喫したのは、岸田政権の「影の総理」と呼ばれる甘利氏に他ならない。

 小選挙区で負けるや辞意を表明し、茂木敏充外相に幹事長の座を明け渡した。

 自民党関係者が嘆息する。

「党のカネと人事、選挙の公認権を握る幹事長は“選挙の顔”でもあります。自民党の歴史を振り返っても現職の幹事長が落選するのは前代未聞。そもそも、幹事長が“圧勝”しなければ政権運営に支障をきたすとまで言われていたわけですからね……。幹事長を辞するのは当然でしょう」

 選挙序盤こそ、応援演説で全国を行脚していた甘利氏。公示2日後のツイッターには〈選挙期間中地元に入れるのは今日の2時間だけ。よってタスキをかけるのもこの2時間だけ。コスパの悪い選挙備品だね〉と綴っていた。だが、その間にお膝元の神奈川13区では不穏な空気が広まっていた。

 地元の支援者が明かす。

「ビラ撒きをしていると有権者から怒声を浴びたり、中指を突き立てられることまであった。口々に“甘利さんはカネに汚い”“説明責任を果たしていない”と言われてね。やはりスキャンダルが尾を引いている」

 甘利氏を巡っては、千葉県内の建設会社とURの補償問題に絡む現金授受、さらに秘書の口利き疑惑を「週刊文春」が2016年に報じている。その後、建設会社側から100万円を受け取ったことを認めた甘利氏は、経済再生担当相を辞任に追い込まれた。


■甘利さんに応援に入られても票が入らない


「スキャンダル直後に行われた17年の総選挙では、今回と同じ立民の太栄志(ふとりひでし)さんをダブルスコアの大差で沈めています。大臣を辞めての出直し選挙に大勝したわけで、甘利さんとしては“禊(みそぎ)が済んだ”という認識だったわけです。しかし、幹事長になったことでスキャンダルが蒸し返されてしまった。さらに、ヤメ検の郷原信郎弁護士が甘利さんをターゲットに落選運動を展開。選挙区に大量のビラがバラ撒かれました」(同)

 選挙戦が終盤に差し掛かった10月28日以降、落選危機に焦った甘利氏は地元にべったりと張り付いてドブ板に励むことに。無論、“コスパの悪いタスキ”を肩から下げて、である。

 政治部デスクによると、

「そもそも、地方の候補者からは“甘利さんに応援に入られても票にならない。なるべく人の集まらない場所で応援してもらった”という声が上がっていた」

 地元ではこんな珍事も。

「モノクロで笑顔のない“ちょいワル親父”風の選挙ポスターを撤回。ネット上では“遺影みたい”と書き込まれ、後援会からの評判も悪かったせいで、急遽、明るく若々しいイメージの新たなポスターに差し替えています」(同)

 加えて、“学会票”が甘利氏を悩ませた。

「とりわけ創価学会の婦人部はカネとオンナに絡むスキャンダルを毛嫌いするため、序盤戦は“寝ている”状態だった。また、先の総裁選で甘利さんが岸田支持を打ち出し、公明と太いパイプを持つ菅前総理と争う格好になったことも災いしている。選挙戦最終日に甘利さんの応援に付き添ったのは公明・神奈川選挙区の三浦信祐(のぶひろ)参院議員。なりふり構わず学会票にすがったわけです。ただ、学会員が友人や知人に投票をお願いする“F(フレンド)票”の上積みは間に合わなかった」(同)

 二階俊博氏は5年以上も幹事長を務めたが、後任の甘利氏はわずか1カ月。器でなかったと言うほかない。

「週刊新潮」2021年11月11日号 掲載

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