野党劣勢を見誤った情勢調査の限界 電話調査が機能しないことが一因か

野党劣勢を見誤った情勢調査の限界 電話調査が機能しないことが一因か

松井一郎大阪市長

 蓋を開けてみれば自民党単独で「絶対安定多数」確保(261議席)と、与党の大勝に終わった衆院選。揃って議席を減らした立憲民主党(96議席)と共産党(10議席)にとっては、“共闘不発”の批判も上がる結果となった。

 一方、予想外の展開に動揺したのは、新聞・テレビの大マスコミも同じ。

 振り返ってみれば、

〈自民 議席減の公算大 序盤情勢本社調査〉〈接戦区 野党共闘の効果〉(10月21日毎日新聞朝刊)

〈自民減 単独過半数の攻防 衆院選序盤情勢 本社調査〉〈立民、議席上積み〉(10月21日読売新聞朝刊)

 と、10月19日の公示直後から、各社“自民劣勢”を伝える情勢調査が目白押し。投開票日に放送されたNHKの選挙特番ですら、「自民党212〜253議席」「立憲民主党99〜141議席」と、議席予測を大きく外し、後日、検証報道をするハメになった。


■出口調査もアテにならない


 全国紙の政治部デスクは、

「ここまで調査がハズれるのも珍しい」

 と頭を掻く。

「電話調査が機能しにくくなっているんです。電話調査の対象には携帯も含まれますが、そもそも若者は知らない番号は無視してしまう。保守政党支持の傾向が強いといわれる若年層の動向が正確に反映されないのです」(同)

 これは電話だけに限らず、

「投票した直後にアンケートに答える出口調査も然り。回答してくれるのは政治意識の高い人たちが多く、必然的にリベラル政党の支持が高く出る。結果、日本維新の会の躍進も読み切れず“立・共が反自民の受け皿に”という旧来の見立てから離れられなかった」(同)

 垣間見えた“調査の限界”がついに顕在化した形。そのおかげで翻弄される選挙区も続出した。

 例えば、2009年以降、4期連続で立民の篠原孝・元農水副大臣が当選してきた長野1区。地元紙が「篠原氏優勢」と打つなか、予想を覆して自民党候補が辛勝したのだ。篠原陣営の関係者は、

「“自民が組織票を動員して土壇場でひっくり返された”と恨み節も聞かれますが、実際は半年ほど前から追い上げられていた。それに薄々気づきながらも、情勢調査で“優勢”が出ていたことに油断したのです」

 権威あるメディアの数字、信じるのはほどほどに。

「週刊新潮」2021年11月18日号 掲載

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