ネットメディアに1500万円提供で立民「福山前幹事長」は謝罪なし 専門家は「社民党的体質が露呈」と指摘

立憲民主党がインターネットメディアに資金提供 旧社民党との類似点を指摘する声も

記事まとめ

  • 立憲民主党がメディアに資金提供したと判明したが、福山哲郎前幹事長は謝罪しなかった
  • 立憲民主党は『Dappi』の問題を指摘していたため、ブーメランと揶揄されている
  • 共産党との共闘路線を選んだ時と同様に、味方を求めて敵を増やす結果に終わったという

ネットメディアに1500万円提供で立民「福山前幹事長」は謝罪なし 専門家は「社民党的体質が露呈」と指摘

ネットメディアに1500万円提供で立民「福山前幹事長」は謝罪なし 専門家は「社民党的体質が露呈」と指摘

福山哲郎・前幹事長

 自民党が某民放キー局に“資金”を提供──。もし、こんなニュースが報じられたら、「なぜ、そんなバカなことを」と呆れる人が大半だろう。だが、これと本質的には同じことを、立憲民主党はやっていたのだ。

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 立民が資金を提供していたのは、「Choose Life Project(CLP)」というインターネットメディアだった。

 一般的な知名度は低いかもしれない。だが、国会議員や有識者の討論動画など、政治をメインテーマにした報道姿勢は、一部で注目を集めていた。担当記者が言う。

「公式サイトにアクセスすると、『自由で公正な社会のために─公共のメディアを目指す』という文字が目に入ります。配信動画のタイトルは、『生活保護は権利です』、『「ボトムアップ政治」の再生は可能か?立憲民主党代表選候補者に問う』、『なぜ女性議員は増えなければいけないのか』……という具合です。CLPの報道姿勢は、“リベラル”な傾向だと言っていいでしょう」

 より率直に言えば、CLPと立憲民主党との“親和性”は、多くの人が感じていたに違いない。

 そんなCLPと立憲民主党との“不適切な関係”は、出演経験者の抗議によって発覚するという異例の経緯で発覚した。

「1月5日、電子出版のプラットフォーム『Medium』やTwitterなどを通じ、『Choose Life Projectのあり方に対する抗議』という文書が発表されました。そこには《2020年春から約半年間にわたり大手広告会社や制作会社をはさむ形でCLPに立憲民主党から「番組制作費」として1000万円以上の資金提供があった》ことが独自の調査で判明したと記されていたのです」(同・記者)


■CLP共同代表が謝罪


 更に注目を集めたのは、抗議文に名を連ねた人々の顔ぶれだ。

◆元TBSアナウンサーでエッセイストの小島慶子氏
◆ジャーナリストの津田大介
◆朝日新聞記者で前新聞労連委員長の南彰氏
◆東京新聞記者の望月衣塑子氏
◆フォトジャーナリストの安田菜津紀氏

「立憲民主党の“応援団”とまでは言いませんが、政治的な主張に共通点が少なくないのは間違いないでしょう。自民党や日本維新の会から攻撃されたのなら、立民の支援者は受け流すこともできると思います。しかし、今回の抗議文に名を連ねた5人からの批判は、思想的に近いものがある分、支援者にも相当な衝撃だったと思います」(同・記者)

 報道機関は早速、この抗議を報じた。文章が発表された5日に、まず共同通信と時事通信が記事を配信した。

 CLPが対応したのは翌6日。共同代表を務める佐治洋氏が「『Choose Life Projectのあり方に対する抗議』へのご説明」との文書を公開した。

 佐治氏はTBSの関連会社に入社し、「報道特集」(土・17:30)などの制作に携わっていたという。

 文書で佐治氏は《資金提供を受けていたことは事実》と抗議文の内容を全面的に認めた。


■福山前幹事長との出会い


 CLPは20年7月にクラウドファンディングを開始し、数千万円の寄付を集めたとされている。寄付を集めるまでは活動資金も不安定で、佐治氏は様々な関係者に助力を訴えていた。そんな中、立憲民主党の福山哲郎・前幹事長にも声を掛けたという。

《私は立憲民主党の福山哲郎氏にCLPの話をさせていただく機会を得ました。フェイクニュースやあまりに不公正な差別が横行する状況に対抗するための新しいメディアを作りたいという理念に共感をいただき、広告代理店・制作会社を通じて番組制作のための支援をいただくこととなりました》

 佐治氏が文書で明らかにした金額は1500万円。《特定政党を利するための番組作りはしていません》、《立憲民主党からCLPや番組内容への要求・介入はありませんでした》と反論はしながらも、《本当に申し訳ございませんでした》と謝罪した。

 説明責任を果たした後、速やかに共同代表を辞任する考えを明らかにした。ここで少し脱線してしまうが、CLPの支持者からも呆れられた記述も引用しておく。

《テレビや新聞などのマスメディアと異なり、ネットメディアについてはそれほど厳密な放送倫理の規定が適用されるわけではなく、政党や企業や団体からの資金の提供についてマスメディアであれば抵触するであろう各種法令は適応外であろうという認識でいました》


■呆れた福山氏の“説明”


 こんな甘い認識で資金を受け取ったメディア側も問題だが、そもそも提供した立民も公党としての資質が疑われるのは間違いない。

 もし立民がTBSに“資金”を提供していたとしたら、批判されることは確実だ。

 名指しされた福山前幹事長は6日、コメントを文書で発表した。ところが、この内容も疑問視された。

「福山氏は《フェイクニュースに対抗するメディアの理念に共感したため、広告代理店と制作会社を通じて番組制作を支援した》と事実関係は認めました。ところが、《理念に共感して、自立までの間の番組制作一般を支援したもので、番組内容などについて関与したものでない》と居直ったかのような説明を行ったのです。謝罪の言葉は一つもありませんでした」(同・記者)

 CLPだけでなく福山氏の認識の甘さも、厳しく糾弾されておかしくないはずだ。

 一方、立民の泉健太代表は7日の会見で、資金提供について「知らなかった」と釈明した。こちらを卑怯な言い逃れと批判するのは酷なようだ。

「立憲民主党は2017年に結党されましたが、20年9月14日に一度、解党しています。旧・国民民主党や無所属フォーラムなどに所属していた国会議員が合流し、9月15日に新しい立憲民主党が結党されました。党名もロゴマークも同じなので、新旧の見分けはつかない。抗議文によると、資金提供があったのは《20年春》とありますから、旧立民の時代です。代表の泉さんが把握していなくても不思議はないでしょう」(同・記者)


■いつもの“ブーメラン”


 とはいえ、泉代表が先頭に立ち、真相解明を行うことが求められているのは言うまでもない。何しろ、相も変わらぬグダグダぶりと、巨大ブーメランが衝突するという情けなさを露呈したからだ。立民のイメージダウンは深刻だと言っていい。

「『Dappi』を名乗るTwitterの匿名アカウントに名誉を傷つけられたとして、立民の小西洋之、杉尾秀哉・両参院議員は、都内のWEB関連会社に880万円の損害賠償を求める訴訟を起こしています。この関連会社は自民党と取引があることは分かっていますが、その他はほとんど明らかになっていません。この問題で立民は自民党への攻撃を強めようとしていたので、CLPへの資金提供が“ブーメラン”と揶揄されているわけです」(同・記者)

 だが今のところ、立民から危機感は全く伝わってこない。政治アナリストの伊藤惇夫氏は「相変わらず、脇の甘い政党だと言わざるを得ません」と呆れ顔だ。

「雇用調整金の問題でも、自民党を攻撃したかと思ったら、すぐに自党でも申請した議員がいたことが明らかになりました。一体、何回ブーメランが当たれば学ぶのかと思っている有権者は多いでしょう」


■旧社民党との類似


 ちなみに伊藤氏はCLPの番組に出演したことがある。更に、旧民主党の事務局長を務めた経歴もある。立民が資金を提供したという報道を目にした時、ある記憶が脳裏に浮かんだという。

「資金提供のニュースを見て、『かつての社民党の動きに似ている』と思ったのです。率直に言いますが、旧社民党系の方々は人間関係の範囲が狭い。その分、自分の“身内”を大切にする傾向があります。私が事務局長を担当していた時も、知人のジャーナリストが発行する高額な情報誌を、党費を使って何冊も購入する国会議員や、旧社民党系の印刷業者を必ず使う職員などに出会い、適切な支出に改める苦労を何度も味わいました」

 普通、政治家がメディアをコントロールしようとするなら、カネなど使う必要はない。ネタをちらつかせれば、いくらでも言うことを聞く。

「政治家が記者とどう付き合うかという方法論は、本来、ネタのやり取りといったテクニカルな範囲にとどまっているのが普通でしょう。ところが、立民はあろうことかお金を渡したわけです。福山前幹事長の名前が出ましたが、彼が実際に資金を届けたわけではないでしょう。事務局に依頼した可能性が高いわけですから、それに反対しなかった事務方も問題だと言わざるを得ません」(同・伊藤氏)


■立民は青二才


 昨年の衆院選で立民は、共産党との“共闘路線”を選択したため、有権者から猛反発を受けた。「味方を求めて敵を増やす結果」(同・伊藤氏)に終わったのは、今回のCLPの問題と全く同じだ。

 政治の世界が綺麗事だけで済まないのは言うまでもない。イタリア人の外交官で政治思想家であるニッコロ・マキャヴェッリ(1469〜1527)は著書『君主論』で、《政治は道徳とは無縁である》との言葉を残している。

「政治は、ある意味で謀略でもあります。私は自民党から始まって、最後は民主党で事務方を務めましたが、そうした活動を間近で見たこともあります。情報を得るため、他党に出入りする企業に知人を潜入させたこともあります。そんな産業スパイのようなことも経験したから言いますが、やるならバレないようにやるのが鉄則です」(同・伊藤氏)

 いつまでたっても大人になりきれない青二才──立民を評すれば、こんな感じだろうか。

「昨年の総選挙でも、立民から旧社民党系の議員が多数当選しました。彼らの選挙活動は連合におんぶに抱っこで、選挙区の地べたを這いずり回った経験に乏しいのです。自民党にも問題は多々ありますが、地べたを知る議員の数は、立民とは比較にならないでしょう。世の中のリアルを知る政治家は、謀略もそれなりに上手くやれるかもしれません。しかし、立民にそんな議員はいません。CLP問題は、立民の幼さという根本的な“宿痾”を浮かび上がらせた象徴的な事件だと言えるのではないでしょうか」(同・伊藤氏)

デイリー新潮編集部

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