「自衛隊はなくす予定だけれども使う」 日本共産党と『カエルの楽園』

共産党・志位和夫委員長の自衛隊を巡る発言に批判 共産党の綱領に指摘も

記事まとめ

  • 共産党・志位和夫委員長が自衛隊の活用について指摘し、綱領との矛盾を指摘されている
  • これに対し、志位和夫氏は「段階的解消という方針をとっている」と反論している
  • しかし、「なくしていく組織に命がけで自分たちを守れとは図々しい」との声も出ている

「自衛隊はなくす予定だけれども使う」 日本共産党と『カエルの楽園』

■『カエルの楽園』は何を暗示しているか


 百田尚樹氏のベストセラー小説『カエルの楽園』の舞台は「三戒(さんかい)」という戒(いまし)めを持つカエルの国、ナパージュである。三戒とは、

「一、カエルを信じろ

 二、カエルと争うな

 三、争うための力を持つな」

 の三つの戒めのこと。

 ナパージュに住むカエルの多くは、この三つの戒めさえ守っていれば平和は守られると教えられ、それを鵜呑みにしている。ところが徐々に外敵の脅威は高まり、疑問を抱くカエルも現れる。残虐なウシガエルがすでに南の崖を侵略してきている。それなのに対抗する「力」を持たないでいいはずがないと考えるのだ。ところが、三戒を信奉するカエルは、ひたすら「話し合うことだ」と言う。以下、同書から引用しよう。

「戦いに訴えるのは最も愚かなカエルのすることだ。賢明なるナパージュのカエルが取るべき道ではない。とことん話し合えば、必ず明るい未来が開ける」

「話し合いの結果、ウシガエルが南の崖を返さないと言えば?」

「それは話し合いが足りないのだ。お互いに納得いくまで話し合えばいい」

「では、もしウシガエルがそれ以上にナパージュの国に入ってきたらどうするのです? ウシガエルがナパージュのカエルを殺して食べたら?」

「それをやめてもらうように話し合うのだ」

 同書が刊行された直後には、日本と中国のことを連想しながら読んだ読者も多かったようだが、現在はまた別の受け止め方も可能かもしれない。


■志位委員長の変節?


 三戒こそ訴えていないものの、長年、「自衛隊は憲法違反」だと主張してきた日本共産党志位和夫委員長の直近の発言が「変節ではないか」と波紋を呼んでいる。

「共産党の志位委員長は7日、党本部での会合で、ウクライナ情勢を踏まえ、『急迫不正の主権侵害が起こった場合には、自衛隊を含めてあらゆる手段を行使して、国民の命と日本の主権を守りぬくのが党の立場だ』と述べた。他党からは、自衛隊の解消を掲げる共産党の綱領と矛盾しているとの批判が出ている」(4月8日 読売新聞朝刊)。

 こうした批判に対して、志位委員長は自身のツイッターで即座に次のように反論をした。

「綱領に『国民合意で9条の完全実施に向かっての前進をはかる』と明記している通り、自衛隊をすぐになくすという方針でなく、段階的解消という方針をとっており、その過程で侵略を受けたら活用すると言明してきています。

『綱領と違う』と非難する前に綱領をよく読んで。」(4月8日)

 段階的になくしていこうという組織に対して、いざという時は命がけで自分たちを守れというのもずいぶん図々しい話、という反発も予想されるところではある。が、ここは志位委員長のリクエストに応えて、現在の彼らの綱領を「よく読んで」みよう。日本共産党の綱領では、国の独立・安全保障・外交の分野で日本社会が必要としている民主的改革は以下の通りだ。

 1 日米安保条約を、条約第10条の手続き(アメリカ政府への通告)によって廃棄し、アメリカ軍とその軍事基地を撤退させる。対等平等の立場にもとづく日米友好条約を結ぶ。

  経済面でも、アメリカによる不当な介入を許さず、金融・為替・貿易を含むあらゆる分野で自主性を確立する。

 2 主権回復後の日本は、いかなる軍事同盟にも参加せず、すべての国と友好関係を結ぶ平和・中立・非同盟の道を進み、非同盟諸国会議に参加する。

 3 自衛隊については、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法第9条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる。

 (以下略)

 自衛隊について言及しているのが「3」だが、「よく読んで」も非難する人の気持ちはあまり変わらないかもしれない。近現代史研究家の福冨健一氏は2019年の著書『日本共産党の正体』の中で、これら改革方針について「日米安保条約を破棄し、どうやってわが国を守るのか。そのプランは示していません」として、「日本の安全を危険に晒(さら)す」ことになると強く批判している。

 実際に、志位委員長らが「2」で理想として掲げている「いかなる軍事同盟にも参加せず」という状態が、どれだけ危険なことかは、この1カ月以上、世界中の人が目の当たりにしているのだが……。

デイリー新潮編集部

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