小池都知事が打ち出した「太陽光パネル義務化」 中国製パネルを使用すれば人権上の問題も

小池都知事が打ち出した「太陽光パネル義務化」 中国製パネルを使用すれば人権上の問題も

半減させると言いたいだけ

 思い返せば6年前、「待機児童ゼロ」「残業ゼロ」など“7つのゼロ”を公約にして東京都知事になった小池百合子氏(69)。そのほとんどが未達成なのに、今度は「カーボンゼロ」を掲げ「太陽光パネルの設置義務化」を打ち出した。

 ***

 都が新築物件の屋根に太陽光パネルの設置を義務付ける新制度を創設する――。気になる報道があったのは、今月9日のこと。改めて都の環境局環境都市づくり課に問い合わせると、

「大手住宅メーカーなど約50社を対象に、延床面積2千平方メートル未満の住宅やビルを新築する際、太陽光パネル設置を一定以上義務付ける制度です。各メーカーの供給量に従いノルマを課す予定で、今秋以降、関係条例の改正を目指します」

 実はこの制度、都知事独自の発案ではなく、政府でも検討されたが、住宅価格の上昇を招くことなどを理由に見送られたもの。それをなぜ、都がやるというのか。

「都では『ゼロエミッション東京戦略』を掲げており、“2050年にCO2の排出実質ゼロ”という目標に向け、30年までにカーボンハーフ、すなわち排出量半減を目指しています。よく知事は“time to act”と言いますが、この目標達成のためには“今こそ行動のとき”との危機感があり、太陽光パネルも義務化の検討に入った次第です」(同)


■制度そのものに問題が


 ここにいつもの“小池流”を嗅ぎ取るのは都政記者だ。

「50年までにCO2の排出量実質ゼロという目標は、もともと一昨年のG20サミットで当時の菅総理が掲げました。政府の場合、30年までに13年比で46%減を目標とし、一方の小池知事は30年までに50%減を目指すとした。でも、よく見ると都のほうは00年比の目標で、数字が大きくなるのは当然。政府を上回る何ごとかを打(ぶ)ち上げて耳目を引く、小池知事らしい手法です」

 もちろん、制度そのものにも問題がある。キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志氏の話。

「都の試算では今後10年間で初期費用の回収が可能といい、国の試算でも150万円の太陽光パネルを設置した場合、15年間で元が取れるとしています。しかし、太陽光の電気は、国の制度により賦課金を上乗せした金額で買い取られていることを忘れてはなりません。各家庭は、その賦課金が乗った電気料金を徴収されており、2020年度の国全体の賦課金総額は2.4兆円にもなります。国が例示する150万円の太陽光パネル代で考えると、うち100万円は賦課金等の形で国民全体が負担するのです」


■新疆ウイグルで生産


 つまり、こういうことだ。

「東京に家を買える財力がある人に、全国の国民の電気代から100万円余りを徴収した金で太陽光発電装置を付けてあげ、15年がかりで元を取ってあげるまでの枠組みを、都が制度づけるものといえます」(同)

 さらに、こんな面も。

「太陽光パネルを製造する過程でCO2も出るし、公害も起きるし、廃棄物の問題もあります。世界の太陽光パネルの8割は中国企業の製品ですが、CO2や公害の規制が緩い中国だからこそ、安価な太陽光パネルを大量に製造できるわけです」

 そこに人権上の問題が。

「中国製パネルのうち6割は新疆ウイグル自治区で作られます。ウイグル人を強制労働させて人件費を抑えている疑いがあり、アメリカはパネルを含め新疆ウイグルで生産されたあらゆる製品の輸入を禁止しました」

 先の都の担当課は、

「どこの太陽光パネルを使うかは、メーカーの判断に任せるしかありません」

 知事の思惑と数値ありきで太陽光パネルが供されることになるのだ。

「週刊新潮」2022年4月28日号 掲載

関連記事(外部サイト)