岸田総理、権力は好きなのになぜ何もしない? 日本人は「現状維持」を支持する国民(中川淳一郎)

岸田総理、権力は好きなのになぜ何もしない? 日本人は「現状維持」を支持する国民(中川淳一郎)

イラスト・まんきつ

 岸田内閣の支持率、なかなか下がりませんね。6月中旬の日経新聞とテレビ東京の調査では60%、毎日新聞は48%。なんでそんなに違うんだよ。どちらかが恣意的な聞き方なんだろ。いずれにしてもこの無能っぷりにしては高いな。というのはさておき、正直、岸田内閣なんて私はまったく支持しません。以前、69日で退陣に追い込まれた宇野宗佑内閣が最悪だと思いましたが、今は岸田内閣が最悪だと感じています。

 今の時代、物価高、超円安で庶民生活は大打撃を受け、さらには終わりが見えないコロナ対策、鎖国継続によりストレスだらけで、インバウンド収入も激減。2019年以前までの日本を返せ、オラ! と言いたくなります。

 いずれに対しても岸田文雄首相は「緊張感をもって対応する」や「関係各所と連携し対応する」とまさに今年の「ネット流行語大賞」を取る勢いの「検討使」っぷりを発揮。さらには、インフレもロシアによるウクライナ侵攻のせいにするだけ。マスクを外すことやコロナの感染症5類への変更についても「現実的ではない」と言い、何も変えない。いや、東京のコロナ重症者「0人」が続いているのですが……。どうなれば現実的になるんですか?

 こうした姿勢でよく分かるのは、結局日本は「現状維持」が支持されるということですね。参議院選挙もまぁ、自民党の勝利でしょう。もう、日本が変わることにはまったく期待しません。自分は自分の人生を生きる。それだけでいい。

「現実的ではない」って便利な言葉ですね。まさに岸田氏の専売特許のような言葉になりましたが、彼が家や友人との付き合いでもこれを言っているのであれば、少しだけ愛嬌が出てきます。

「おい、岸田、お前、総理大臣になったみたいだな。今日はパーッと『養老乃瀧』で飲もうぜ!」

 大学時代の友人がこう岸田氏に言ったとしましょう。そこで岸田氏はこう言う。

「私のような総理大臣は、常にSPが付き、事前に予約をし、他のお客様が入らないようにする必要があるため『養老乃瀧』へ行くことは現実的ではない。ここは秘書に諮り、セキュリティーの専門家に状況をお伝えしたうえで、貴殿と『養老乃瀧』へ行くかどうかは検討したい」

 友人からすれば「総理大臣と飲んだ!」とツイッターで自慢したくなるかもしれませんが、「岸田と会うのは面倒くせぇな」と思うことでしょう。

 昔から思っていたのですが、なんで人って総理大臣やら大統領になりたいんですかね? だって、カネと名誉と地位はもらえても、それ以外の人生、制限をかけられまくり、つまらなくない? 世界の盗塁王・福本豊氏ではありませんが、国民栄誉賞をもらったら立ち小便さえできなくなる、という感覚で辞退する方が私は共感します。

 岸田氏が首相に就任して以来、彼の「腹から出る言葉」は聞いた記憶がありません。常に、全体最適を考え、「検討する」「専門家の意見を聞く」ばかり。

 権力者になるんだったら、ミサイル打ちまくる金正恩や、戦争をやろうと決めるプーチンみたいなことしたくないの? いや、金正恩とプーチンの行為はまったく認めてませんよ。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

「週刊新潮」2022年7月7日号 掲載

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