安倍元首相死亡で高市政調会長は心身衰弱状態 そして大きな影響を受ける女性議員がもう一人

安倍元首相死亡で高市政調会長は心身衰弱状態 そして大きな影響を受ける女性議員がもう一人

安倍氏死去で影響受ける議員

安倍元首相死亡で高市政調会長は心身衰弱状態 そして大きな影響を受ける女性議員がもう一人

高市早苗氏

 安倍晋三元首相(享年67)が奈良市内で射殺された事件で、自民党の高市早苗政調会長(61)は12日、Twitterで“医大との連絡役”を務めたと明らかにした。

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 まずはツイートをご紹介しよう。

《金曜日は九州出張を取り止め、翌朝まで、安倍元総理が搬送された奈良県立医大との連絡役を続けました。昭恵夫人が病院に到着するまで生命維持処置をお願いしたことが正しかったのか否かと苦しみ抜きました》

 射殺事件の現場となった近鉄・大和西大寺駅前は、衆院選の選挙区では「奈良1区」となる。担当記者が言う。

「奈良1区は立憲民主党の馬淵澄夫国対委員長(61)の地盤です。高市さんは隣の奈良2区で選出されていることもあり、“連絡役”を務めたのではないでしょうか」

 生まれ育ち、政治家としても地盤を持つ奈良県で、安倍元首相が殺害された──高市氏の精神的なショックは相当なものがあったようだ。

《安倍晋三元総理の御葬儀が終わりました。先週金曜日の事件発生以来、殆ど眠れず、食事も吐いてしまい、両親を亡くした時にも経験しなかった心身衰弱状態でした》

 殺害された8日、安倍元首相は当初、奈良ではなく長野を訪れる予定だった。

「長野選挙区は改選定数1に6人が立候補。立憲民主党現職の杉尾秀哉さん(64)と自民党新人の松山三四六さん(52)が、激しい争いを繰り広げていました。ところが、週刊文春が女性問題を、週刊新潮が金銭トラブルを報じたこともあり、安倍元首相の応援演説が中止になったのです」(同・記者)


■長野と奈良の“奇縁”


 長野の次は、これも激戦となっていた京都を訪れる予定だった。

「京都選挙区は改選議席2に9人が立候補。立憲民主党現職の福山哲郎さん(60)、自民党新人の吉井章さん(55)、日本維新の会新人の楠井祐子さん(54)が三つ巴の争いを繰り広げていました。その京都入りする前のスケジュールが空いたので、それなら奈良に行こうということになったそうです」(同・記者)

 奈良選挙区は改選定数1に6人が立候補。自民党現職の佐藤啓氏(43)に、維新新人の中川崇氏(36)が挑むという構図だった。

「長野や京都とは異なり、奈良選挙区は自民党候補の当選を予想するメディアが多かったのです。京都に入るのなら、その近くの奈良にも、といった位置づけでした。長野に向かっていれば、安倍さんが狙撃されることもなかったという議論もあります。いずれにしても、今となってみれば、運命の悪戯としか言いようがありません」(同・記者)

 高市氏も、安倍元首相が奈良で応援演説を行うことになったのは、あくまで京都の“ついで”だったことをTwitterに投稿している。

《安倍元総理と最後にメールをやり取りしたのは事件前日夕方。急な奈良県入りを知り、党情勢調査で奈良県は優勢の旨を送信したら、「問題ないとは思うけど、京都に行くことが決まったので、奈良まで行きます。毎日と日経が厳しく出ているので」と返信。京都も奈良も当選したことを御霊前に報告しました》


■高市氏の権力基盤


 高市氏の一連の投稿は最後、新たな決意を表明するツイートで終わった。

《安倍元総理が他界されたという現実を受け入れるまでには大変な苦痛を伴いましたが、今後は、多くの同志議員と力を合わせて、安倍元総理の御遺志を引き継ぎ、懸命に働くことで恩返しをしてまいります》

 安倍元首相の射殺事件に際し、高市氏が奔走した。これは奈良県選出の衆院議員ということだけでなく、政調会長という要職にあったことも影響を与えただろう。

 だが何より、彼女が安倍元首相からひとかたならぬ“支援”を受けていたことが、最も大きな要因だったのではないだろうか。

「高市さんは『文藝春秋』2021年9月号で、自民党総裁選への出馬を宣言しました。当初は推薦人を集められるのかさえ疑問視する声もありましたが、安倍元首相が支援を表明して流れが変わりました」(同・記者)

 結果は岸田文雄首相(64)が当選を果たしたものの、高市氏は次点に食い込む大健闘だった。

「総裁選で存在感を示したこともあり、高市さんは自民党三役である政調会長の座を手に入れました。しかしその後は、茂木敏充幹事長(66)との不仲が報道されるなど、存在感を発揮できていません。なぜ高市さんの“権力基盤”が脆弱なのか、それは彼女がどこの派閥にも所属していない“無派閥”だということも原因の一つでしょう」(同・記者)


■森元首相と高市氏


 ちなみに茂木氏と高市氏の不仲は、デイリー新潮も4月14日配信の「茂木幹事長VS高市政調会長 不仲の全真相 自民党幹部『もはや子どもの喧嘩状態』」で詳報している。筆者は政治ジャーナリストの青山和弘氏だ。

 ではここで、高市氏の当選歴を振り返ってみよう。彼女が初当選を果たしたのは1993年だが、その時は無所属だった。

「高市さんは93年の衆院選に旧奈良県全県区から無所属で出馬し、初当選を果たしました。その頃から森喜朗元首相(84)と距離が近いことが話題になっていましたが、その後、自由党や新進党の議員として活動しました。しかし96年、自民党に入党し、派閥は清和政策研究会を選びます。清和研が旧森派であり、今の安倍派であることは言うまでもありません」(同・記者)

 高市氏と森氏の関係については、デイリー新潮が2021年9月26日に配信した「高市早苗の後ろ盾は安倍前首相ではなく森喜朗元首相?『勝手補佐官』で強固な師弟関係」で詳報している。

 興味のある方はご覧いただきたいが、2012年に高市氏は清和研を退会し、今に至るまで無派閥だ。安倍元首相が“たった1人の後ろ盾”だとする見方は強かった。

「少なくとも自民党内では、安倍さんが総裁選で支援したからこそ、高市さんは政調会長に就任したと見られています。ところが、その安倍さんが凶弾に倒れてしまった。どうしても党内では、高市さんの今後について関心が高まってしまうでしょう」(同・記者)


■高市氏の今後


 朝日新聞は今年2月1日、「(底流2022)『保守派のスター』試練の高市氏 安倍元首相の後ろ盾、どこまで」の記事を掲載した。

《安倍氏は、衆院選後に派閥の会長に就任。高市氏が再加入するとの臆測も飛んだが、実現しなかった。派内には萩生田光一経済産業相、西村康稔前経済再生相ら、安倍氏に近く「次」をうかがう面々もいる》

《総裁選に立候補できたことや多くの議員票を獲得できたことも、安倍氏の支援があってこそ――。自民内では高市氏について、そんな見方が強い。別の派閥のベテランは「派閥に戻れず、仲間作りもこれから。頼みの安倍さんもどうするか。このまま存在感を失っていくかもしれない」》

 朝日新聞の記事では、ベテラン議員が「頼みの安倍さんもどうするか」とコメントした。だが、安倍元首相は亡くなってしまった。

「高市さんは安倍元首相という後ろ盾を失った結果、党内でも『存在感が徐々に失われるのでは』との声があります。焦点は、9月頭に予定されている党の役員人事でしょう。これまで『次の人事で、高市さんは政調会長を外される』ことが既定路線だと言われていました」(同・記者)


■もう一人の女性議員


 とはいえ、“既定路線”のことなど何も知らない有権者は、「安倍元首相が射殺されたら、急に高市さんが要職から外された」と受け止めかねない。

「高市さんは有権者から人気がありますから、政調会長の職を解かれると、『ひどい人事だ』と反発するかもしれません。簡単に高市さんを動かすわけにもいかなくなり、非常に厳しい人事になりそうです。9月頭の内閣改造や党役員人事で、岸田首相が高市さんをどう処遇するか、早くも広範な関心を集めています」(同・記者)

 同じように、安倍元首相の急逝で、今後の動向に関心が高まっている自民党議員に、片山さつき参議院議員(63)がいる。

「片山さんは今回の参院選に比例区で出馬しましたが、自民党の当選者18人のうち順位は6番と、さすがの人気を証明しました。しかしながら、片山さんも選挙前から安倍派入りを希望しているにもかかわらず、その実現にはハードルがあると報道されてきました。安倍元首相が亡くなったことで、片山さんが清和研に入れるかどうか、こちらも今後、関心を集めるのは間違いありません」(同・記者)


■“密約”は消滅!?


 デイリー新潮は今年3月10日、「片山さつき議員の安倍派入りに暗雲 安倍元首相との密約に派閥議員が猛反発のウラ」の記事を配信した。

 更に7月4日には、「『世耕弘成』参院幹事長が“ポスト安倍”に参戦か 片山さつき『清風会』入りで見えた戦略」の記事も配信した。

「2月21日、二階派が突然、片山さんに“退会勧告”を出しました。片山さんも『安倍派に移る』ことを言明しましたが、今に至るまで実現していません。高市さんが総裁選に出馬した際、安倍元首相は片山さんに支援を依頼し、見返りとして安倍派に移るということで合意したようです。しかし、安倍元首相の急死で、この“密約”が本当に履行されるかは不透明な状況です」(同・記者)

 原因の一つとして、安倍派内で片山氏の入会を拒否する声が根強いことも挙げられる。

「一方、6月14日に世耕弘成・自民党参院幹事長(59)が、片山さんの『清風会』への入会を認めました。安倍派に所属している参議院議員のグループが『清風会』ですが、要は親睦会のようなものです。これで安倍派に入れるかどうかは、全く分からない状況です。派閥のベテラン議員の間に反対論は依然として根強く、安倍元首相が亡き今、片山さんの安倍派入りはかなり厳しくなってきました」(同・記者)

デイリー新潮編集部

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