「池田大作」名誉会長の“長き不在”が影を落とす、集票力ガタ落ち「公明党」の正念場

「池田大作」名誉会長の“長き不在”が影を落とす、集票力ガタ落ち「公明党」の正念場

「政教分離」問題について口をつぐむ山口代表

 安倍晋三元首相銃撃事件の余波が収まらぬ7月19日、創価学会を支持母体とする公明党の山口那津男代表は“政治と宗教”の関係を問われ、「コメントは控えたい。状況を見極めたい」と述べるにとどめた。参院選の結果を受け内部で動揺が広がるなど、連立与党の公明党が揺れている。

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 10日投開票の参院選で、自民党は公示前より8議席増の63議席を獲得する「大勝」を飾ったが、公明党は後味の悪い結果となった。

「選挙区では全員当選を果たしましたが、比例選では目標の7議席に届かず、1議席を落とした。公明党は比例選で“800万票”の目標を掲げたものの、蓋を開けてみれば618万票の“惨敗”でした。2019年の前回参院選時より約35万票減、昨年の衆院選と比べると約93万票減らす結果となりました」(全国紙政治部デスク)

「618万」との数字は、01年の「非拘束名簿式」が参院選に導入されて以降、最も少ない得票数となる。ちなみに国政選挙(比例選)において、公明党が最も多く得票したのは05年衆院選時の898万票だ。

「05年をピークとして比例選での得票は右肩下がりにあり、組織の衰退化が進んでいるとの指摘は少なくありません。今回の参院選でも、終盤の巻き返しで竹谷とし子氏を2位にまで押し上げた東京選挙区の公明・学会関係者は“大勝利だ”と喜んでいますが、他のエリアでは危機感が広がっています」(同)


■「池田先生に喜んでいただきたい」が原動力


 比例での得票が「目標」に遠く及ばなかった理由については、自公の選挙協力がうまく機能しなかったことや、支持母体である学会員の高齢化の問題などが挙げられている。

 しかし元学会幹部によると、最大の“敗因”は池田大作・名誉会長(94)の「長きにわたる不在」だという。

「学会員に占める2世・3世の割合が増えた近年の選挙と、池田氏が健在だった00年代までの選挙を比べると、その内実には隔世の感があります。池田氏から直接“薫陶”を受けた第一世代は池田氏の号令のもと、一致団結して選挙運動に邁進した。その原動力は“池田大作先生に喜んでいただきたい”との一心でした。その池田氏が表舞台から去って以降、学会の統率力に陰りが見え始めたのは否定できません」

 池田氏が公の場に姿を見せたのは米大学からの博士号授与式典に出席した10年11月が最後とされる。同年5月以降、学会幹部を集めて行われる毎月の「本部幹部会」への出席も途絶え、この間、「健康不安説」がたびたび報じられてきた。

「私の現役時代には選挙が近づくと本部幹部会で池田氏が直接、候補者の名前を挙げて“頑張れ”と発破をかけることがあった。そんな時は、その候補の勝利は至上命題となる。選挙区にある町内会や自治会が作成した地図を集め、それをもとに一軒一軒、虱潰しに訪ねて公明党への投票をお願いして回ったものです」(元幹部)


■“カリスマ不在”で岐路に立つ公明党


 いわゆる学会員でない友人や知人に投票を依頼する「フレンド(F)票」についても、当時は“FからF”が合言葉になっていたという。

「F票をお願いした人のさらに友人にも声を掛けて投票を呼びかけるという意味で、F獲得は前提のようなものだった。当時は創価学会の各会館に“裏選対”をつくって本部・支部・地区が相互に連携し合い、“FからF”の獲得数もほぼリアルタイムで把握できたほど。皆が池田氏の“手足”となった感覚で票集めに奔走していたのです」(元幹部)

 それもこれも、選挙活動の中心に「池田先生がいる」と感じられたからという。

 最近、動静を聞かなくなった池田氏の現状について、学会関係者いわく、

「巷間、言われているような“寝たきり”などではありません。高齢のため介助が必要な場面はあるが、入院などもしていない」

 政治アナリストの伊藤惇夫氏が言う。

「創価学会にとって選挙は学会員を再結束させる一大宗教行事でしたが、その際に号令を発する池田氏という指揮官の不在で、選挙活動のエンジンがかかりにくい状況に陥っています。さらに自公政権の常態化で公明党が“保守色に染まってきた”と感じ、反発を覚えている学会員も少なくない。連立与党にとどまりながら、カリスマ不在のなかで学会との距離をこれ以上広げないようにどう取っていくか。これから公明党は非常に難しい舵取りを迫られることになります」

 岐路に立つ公明党は今年9月、執行部が刷新される見通しだ。山口代表に代わり、石井啓一幹事長の代表就任が有力視されている。

デイリー新潮編集部

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