岸田首相が内閣改造を決断した「もう1つの理由」

岸田首相が内閣改造を決断した「もう1つの理由」

内閣改造"前倒し"に米圧力説

岸田首相が内閣改造を決断した「もう1つの理由」

サプライズ人事に賭けた岸田首相

■国葬と旧統一教会


 8月10日、岸田文雄首相は内閣改造・自民党役員人事を断行した。想定されていたよりも1ヶ月ほど前倒しされた理由として、安倍晋三元首相の銃撃事件とその結果、明らかとなった旧統一教会と政界との蜜月、反対意見の多い国葬などの点から内閣支持率が低下したことが挙げられているが、もう1つの理由があるという。

「なかなかお目にかかれないサプライズでしたね。岸田さんは去年の衆院選でも、想定されていたよりも早めに解散に打って出てちょっとしたサプライズを演出しました。解散と内閣改造とでは重みが違うとはいえ、他を出し抜くのが割と好きなタイプだと改めて感じましたね。政治家にはそういう人が多いんですが」

 と、政治部デスク。

「聞く力をモットーにするばかりで、特に何もしないまま首相就任からずっと内閣支持率は高どまりしてきましたが、それがここに来て、旧統一教会と国葬の件で支持率が削られ始めた。前者は教会との断絶をアピールしない限り、そして後者は開催日の9月27日までは少なくとも火種がくすぶり続け、支持率はじり下げすることは目に見えている。岸田首相はそういった状況を看過できなかったのでしょう」(同)


■長老2人への仁義


 改造などの断行情報は8月5日に一斉に広まったが、その2日前の3日、岸田首相は自民党の長老格と会合の席を持っていた。

「場所はホテルオークラの日本料理店『山里』。森喜朗元首相と青木幹雄元官房長官との会合でした。森氏に近い遠藤利明総務会長と青木氏に近い小渕優子組織運動本部長も同席しています。安倍氏亡き後の清和会のハンドリングを後見人である森氏に念押しすると同時に、茂木敏充幹事長と距離のある青木氏に対して“茂木氏を起用する理由”などを丁寧に説明したと見られます。2人の長老が、首相のそういう態度をそれなりに歓迎してくれるだろうという読みがあってのことでしょう」(同)

 この会合の席で改造日程の前倒しを匂わせたのだろうか?

「そのあたりは判然としませんが、明言しないまでも仮に前倒ししたとしても長老2人に“聞いてないぞ”とか“見損なったぞ”などといったリアクションをされない程度のほのめかし方をしていたようですね」(同)

 サプライズ人事の前にある程度の仁義を切っていたと見てよさそうだ。


■もう1つの理由とは?


「岸田首相としては今回の人事で反転攻勢が可能だという風には思っていなかったフシがあります。国葬はどれだけ反対があっても中止や延期はあり得ないし、旧統一教会と関わりのない議員だけを閣僚や党幹部に起用するのは現実的に難しい。ズブズブの議員は排除するにしても、ある程度のところで線引きしたうえで選ばざるを得ない」(同)

 実際、旧統一教会と何らかの関係のあった閣僚は既に8名にのぼっている。

「これでは改造の意味がないではないかという指摘もあるかもしれませんが、新閣僚と教会との関係が露見するのは織り込み済みだったと思います。過去に関係があったかもしれないが、今後は旧統一教会に限らず、反社会的な振る舞いをする団体と縁を切るというスタンスをキッパリ打ち出せるかが大事だと判断しているのでしょう」(同)

 これまで、岸田首相が内閣改造を決断した理由について見てきたわけだが、また別の理由があるのだという。

「岸田さんは5日の朝、台湾への電撃訪問を経て来日したナンシー・ペロシ米下院議長を公邸に迎えて朝食会を開きましたね。その際に、台湾有事への備えが緩すぎることを指摘され、いつ起こってもおかしくないレベルで対応してほしいという米政権側の意向を伝えられたようなのです」

 と、永田町関係者。


■米側の圧力


「米側は名前こそあげなかったものの、機能しているように見えない当時の岸信夫防衛相の交代を迫っていたのは明らかでした。岸氏は体調不良が影響して十分に職責を果たしていたとは言い難かった。しかしこれまで安倍氏の実弟ということもあって単なる防衛相ではなく、岸田首相としてもそう簡単に交代させられなかった」(同)

 ハレーションが起こらないよう9月予定の改造で交代をと目論んでいたが、

「米側の圧力でそうも行かず、加えて岸氏の人事に関してはネックとなっていた安倍氏が亡くなったこともあり、改造に踏み切ったという流れでしょう」(同)

 防衛省は外交・安全保障政策の長期指針「国家安全保障戦略」など、安保関連3文書の年内改定を目論む。防衛費の増額も含め、喫緊の課題を抱える中、岸田首相も米側の圧力には抗えなかったということなのだろう。

デイリー新潮編集部

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