【全文】生稲晃子氏、“統一教会関連施設”訪問のウラ側 萩生田政調会長は、教会のバーベキュー、クリスマス会にも参加か

「萩生田先生に同行していただき……」と生稲氏

 8月16日の「デイリー新潮」が、先の参議院選挙の前に、生稲晃子議員が萩生田光一政務調査会長とともに旧統一教会の関連施設を訪れていたことを報じると、彼女の行動を問題視する声が噴出。生稲氏の事務所は17日、「今年6月に、ご指摘の団体の関連施設に萩生田氏とうかがったことは事実」とのコメントを発表した。改めて、この問題の全容を振り返りたい。

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 今回の内閣改造と自民党役員人事は、タイミングがまず異例だった。

「なにしろお盆直前でしたからね。議員はこの時期恒例の地元回りができなくなり、官庁の役人もせっかくの夏休みの予定をキャンセルしなければならなくなった。“なぜこんな時期に”と各所で不満の声が上がりました」(政治部デスク)

 誰あろう安倍晋三元総理も生前、「参院選後の改造と役員人事は、今の閣僚がお盆休みにお国入りした後にしてほしい」と岸田文雄総理に伝え、話は“9月人事“でまとまっていた。

 この構想を一変させたのがまさに、安倍氏を斃(たお)した銃弾だった。

「山上徹也容疑者の動機や供述が報じられ、統一教会と政治の関係が耳目を集め、閣僚や党三役も教会との関係が連日取り沙汰されるようになった。そこへコロナの感染急拡大も相まって、支持率は急落。焦った岸田総理はムードチェンジのために人事カードを切るしかなかったのです」(同)

岸田文雄総理

■本人は「してやったり」


 岸田総理は、特に教会との関係の濃さが指摘された安倍氏の実弟・岸信夫氏を防衛相から外すことを決め、他にも教会の関係団体から献金を受領していたり、団体の催しに出席していたりといった事実を認めた閣僚も差し替え、19閣僚中じつに7名が“統一教会絡み“で交代することに。

 また、自民党議員と教会との関わりについて「何が問題か分からない」などと発言してひんしゅくを買った福田達夫氏も党総務会長のポストから外すなど、広範にわたってメスを入れ、脱教会の姿勢をアピールしてみせたのである。

 中でも総理が神経を使ったのは、経済産業相だった萩生田光一氏の処遇だ。

 萩生田氏は自民党最大派閥で97人の衆参議員を擁する安倍派=清和会の大幹部にして安倍氏の跡目を争う渦中の人物。このたび党三役の政調会長に就いたわけだが、これはご本人にとっては“してやったり”、野望への大いなる一歩を踏み出した形なのだという。

 先のデスクが続ける。

「清和会の次期会長を決めるにあたって、派閥の元オーナーで御年85歳の森喜朗氏の意向は無視できません。その森氏が今月12日、お膝元・石川県の地元紙『北國新聞』のインタビューで会長候補の名前を挙げました。58歳の萩生田氏、59歳の松野博一官房長官、そして今回、新たに経産相に就任した同じく59歳の西村康稔氏の3人でした」

“証拠”の式次第(鈴木エイト氏提供)

■統一教会との関係は“意図せざるもの”と弁明したが…


 とりわけ萩生田氏と西村氏は“我こそは”の思いが強いとされるが、

「萩生田氏は政調会長を引き受ける際、経産相の後任に西村氏を推薦しました。そこには二つの狙いがあったといわれます。まず、ポストを西村氏に“譲る”形になるため、先輩格として振る舞える。次に、清和会事務総長として派閥内での影響力拡大をもくろむ西村氏を閣内に押し込むことで“閥務“から引き剥がせる。つまりは勢いを削げる」(同)

 なるほど、萩生田氏による西村氏の推挙は、まさに一石二鳥の一挙両得。総理もまた、政局回しに長け、保守色が濃い萩生田氏の抜擢により、亡き安倍氏の穴を埋めつつ、清和会のグリップも期待する――。

 かくて萩生田氏は次期会長の最右翼に躍り出て、混乱を見せた今般の人事でひとり“焼け太り”のうまみを享受したのだった。

 ただ一方で、氏もまた統一教会との仲について釈明を強いられている。

 2014年10月、地盤とする東京・八王子市の芸術文化会館大ホールで統一教会の「祝福原理大復興会」が開催された際、そこに自民党総裁特別補佐の立場で出席、来賓あいさつをしたことが明らかになったが、ご本人は経産相在任中の閣議後会見(8月2日)で、

「承知の上で(統一教会と)お付き合いをしているというのではなくてですね、自分なりに、地元のみなさん(とお付き合いする中)で、その中にそういう関係者がいたのかもしれない、そういう認識です」

 などと弁明。カルト教団との関係は意図せざるものだった、そうとは知らなかったと主張したのである。

文鮮明、韓鶴子

■“ビデオは回すな!”


 だが、これはまったくもって疑わしい。統一教会の関係者は憤懣(ふんまん)やるかたない表情でこう語るのだ。

「萩生田さんは統一教会との過去の付き合いについて、まるで知らないうちに接点を持ってしまったかのように説明していますが、実情は違います」

 萩生田氏は09年、自民党が下野するきっかけとなる衆院選で落選し、12年まで3年間、浪人生活を余儀なくされているが、

「ちょうどその間、月に1〜2回のペースで八王子市内の教会施設を訪ねてくれました。その施設は3階が講堂になっており、そこに数十人の信者を集めて演説をなさっていたのです」

 話は続く。

「特に水曜日は大切な日で、教会長が青年・学生部にあたる『成和部』で若い信者を相手に説教します。萩生田さんがその説教の後に何度も登壇して話されていたのを覚えています。具体的な文言までは記憶していませんが、“あなたたちのおかげで自民党は成り立っています。私たちを当選させてください”とか、そんな内容だったと思います」

 そして、萩生田氏の演説の場では“ある特別なお触れ”が出されたそうだ。

「萩生田さんがみんなの前で演説する場合、教会長や青年部長ら幹部が”ビデオは回さないように”と信者たちに指示していました」

 どうやら証拠を残さぬように、という意図らしい。


■信者たちからすれば“家族”同然


「萩生田さんは12年の衆院選で返り咲いてからは、小さな集会にあまり顔を出されなくなり、選挙前のよほど大きな集まりやイベントでしか姿を見かけなくなりました。でも、今さら統一教会との関係を一切なきものにしようだなんて、人間として薄情すぎやしませんか。以前は、礼拝を兼ねた日曜日のバーベキュー大会にジャージ姿で駆け付けてくれたりもしてたんです。萩生田さんが来ると、やっぱりその場がパッと盛り上がるし、みんなそうやって楽しく過ごした時間を覚えています。信者たちからすれば“家族”同然だと思っていたんですから」

 地元八王子の政界関係者も、次のように証言する。

「東京都議選に際して、八王子市選挙区で出馬した候補が統一教会の施設で演説しました。その時も萩生田さんは同席して応援弁士を務めていましたし、萩生田さんも自身の選挙では、統一教会の施設で演説会を開いていました」


■奥さん同伴で教会のクリスマス会に参加


 さらに、こう語る。

「毎年、クリスマスイブの前後に八王子市内の宴会場で、統一教会の関連団体である『世界平和女性連合』の主催によるクリスマス会が開かれます。信者たちはお酒を飲めないので、アルコール抜きの“赤ワインのような飲み物”を口にするのですが、萩生田さんの秘書は必ず出席していました。ご本人も奥さんと何度か顔を出していたはずです」

 八王子市政に通じるさる人物も補足して言う。

「萩生田氏が統一教会と付き合っていたのは事実です。はっきりと覚えているのは、12年と14年の総選挙の時のこと。少なくともこの2回の選挙では、スタッフの中に教会の信者がいました」

 信者たちは選対メンバーに表立って名を連ねるのでなく、もっぱら“裏選対”の要員として働いていた。

「40代後半のスポーツ刈りで、目のパッチリした男性がリーダー。彼も含めて常に計3人くらいのグループが連日、選挙の現場にいる。彼らは自分たちのことを“国際勝共連合です”って説明していましたね。ポスターを貼ったり、ビラをポスティングしたり、演説会があれば賑やかしのためにそこに来たりと、本当にいろいろな形で選挙の手伝いをしていました。これぞ“兵隊”って感じでしたね」


■閣僚ら27名に統一教会との関係が


 とどのつまり、ご本人が仰るような「承知の上でお付き合いをしているというのではなくて」うんぬんの弁は、虚偽であったと考えるほかあるまい。

 目下、岸田総理はあたかも綱紀粛正を図るべく、議員個々においては教会との関係を自ら点検し、これを正直に申告するよう求める体裁をとっている。

「現状では新内閣の閣僚8名に加え、副大臣・政務官19名、計27名が教会のイベントに参加したり、祝電を送ったりしたなどという接点を認めています」(政治部記者)

 だが、ここにも欺瞞(ぎまん)や茶番の臭いが強く漂う。萩生田氏の例に見るように、仮に議員本人が真実を申告しなかったなら、はなから綱紀粛正も何もないからだ。

 とりわけ悪質なのが、経済再生担当相のポストに引き続きとどまった御年53の若手、山際大志郎氏である。

 山際氏は教団や関連団体との関係について“黙秘”を続け、しかし経済再生相の留任が決まるや一転、教会の友好団体に会費を支出し、団体主催のイベントで来賓としてあいさつしたことなどを認めたのだ。

「山際は総理の顔に泥を塗り、背任行為を働いたも同然。もともと親分の麻生さんは彼の留任を望まなかったのに、自民党神奈川県連で彼の後見役をつとめる甘利明さん(前幹事長)が官邸まで出向き、総理に続投を要請した。総理は甘利さんの顔を立てたつもりだった」(閣僚経験者)

 だとすれば、有力者への忖度(そんたく)が、教会色の払拭を阻んだことにもなるだろう。


■「(教会の施設に)立ち寄らせていただきました」と回答


 さらに、看過できない事実がある。

 7月の参院選。東京選挙区では元おニャン子クラブのメンバー・生稲晃子氏が初当選を果たした。彼女の擁立工作を主導した萩生田氏は選挙中、生稲氏を伴って八王子市内の統一教会関連施設を訪ね、支援を要請していたというのである。

 生稲氏の事務所の回答。

「八王子での演説終了後、演説を聞いていた方から、“ここに来られなかった仲間が近くにいるので生稲さんのお話を直接聞かせてもらいたい”とのお話しがあり、スタッフが相談をして次の日程への移動の合間に(教会の施設に)立ち寄らせていただきました。その際に(演説の)現場にいらっしゃったご地元の萩生田先生に同行していただきました」


■今も続く政界への浸透工作


 統一教会は、注目度が高いという意味で前途有望な新人にまでツバをつけようとしていたわけだ。政界への浸透工作は続いていると見るべきなのである。

 萩生田氏は生稲氏とともに施設に立ち寄ったことを認めたうえで、自身と教会の関係については、

「選挙の際、当方から支援依頼をしたことはなく、選挙戦のお手伝いをしていただいた事実はありません。旧統一教会が主催する礼拝やバーベキューに参加した事実はございません」

 自浄作用などと言いつつ、人事をかきまわしてむしろ濁るばかりの岸田政権。

 これを真の泥沼という。

「週刊新潮」2022年8月25日号 掲載

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