「小沢一郎」のイライラは最高潮 数合わせの何が悪い、ダブル選なら絶対に勝てない!

「小沢一郎」のイライラは最高潮 数合わせの何が悪い、ダブル選なら絶対に勝てない!

小沢一郎

 永田町では「過去の人」とささやかれるも、選挙となればやはりこの男か。夏の衆参ダブル選挙の憶測がくすぶるなか、国民民主党の一兵卒となった小沢一郎・元自由党代表が“舌好調”のようである。21日には異例の「朝講演」を行った。そこで小沢氏が話したことは……。

 午前8時すぎ、小沢氏は都内のホテルでマイクを握った。「盟友」だった故羽田孜元首相の長男、雄一郎・元国土交通相の資金管理団体「翼雄会」による朝食セミナーだった。国民民主党の雄一郎氏は、迫る参院選長野選挙区(改選数1)で5選を期している。

「私は朝食会(での講演)は全て断っているが、今日は羽田雄一郎君の朝食会で、会長が私も大変ご指導をいただいた茂木(友三郎キッコーマン名誉会長)さんであり、お断りすることはいかんだろうと受けた」

 約200人の出席者を前に小沢氏はそう切り出し「マスコミがいるから、政局がらみの次元の低い、余計な話はしないほうがいい」と予防線を張った。会場には多くの野党担当記者たちが陣取っていた。

 とはいえ、過去に2度、政権交代で自民党を下野させた立役者である。「選挙が近づくと、より元気になる政治家」(周辺)の口は、いつになく滑らかだった。まず安倍政権への攻撃を繰り広げた。

「私は晋三(首相)さんの親父さんの晋太郎先生に大変かわいがられたので、心情的にはなんとなく憎めない感情を持つのだが、彼の総理大臣としての行動は非常によろしくないと思っている」


■「できるだけ早く退陣を」


 安倍首相に対して小沢氏は「2つの本質的な問題がある」と指摘し、@政治の使命、責任を分かっていない、A子供のように平気で嘘をつき、平気で権力をおもちゃにしている――と、ばっさり切り捨てた。

「政治の役割は何だというと、私がよく持ち出すのが仁徳天皇の逸話だ。国民の暮らしを心配し、国民が豊かに暮らせるようにするのが政治の使命だと思っている。競争に勝った者はどんどん富を蓄え、いずれその富が国民にしずくでしたたり落ちるという安倍さんの考え方は、あまりにも国民をばかにしている」

「政治家としてだけでなく、人間として許してはいけないことだ。その場その場で、言葉でひたすら取り繕っている。こういうトップリーダーを見て、青少年たちはどう思うか。世界に誇る日本人の倫理観を失ってしまうのではないか」

 容赦しない小沢氏は「できるだけ早く退陣してもらわないと日本の国家、国民の行く末が非常に心配だ」と強調した。

 返す刀で矛先は、自戒を込めて野党にも向けられた。透けて見えたのは、政権奪取へ笛吹けど踊らぬ野党のていたらくに対する「いらだち」だった。

「何とかして(政権を)変えなければならないが、野党があまりにもふがいない。現状では国民の支持を得られない。私たちに責任がある」

 小沢氏はそう指摘した上で「もうすぐ参院選だ。野党がこのままだと衆参ダブル選の可能性がかなりある。官邸の主は衆院を解散したくてウズウズしているだろう」と見立てた。

 間髪入れず小沢氏は、早々と“敗北宣言”した。

「我々(野党)は現状でダブル選挙が行われれば、絶対と言っていいほど勝てない」

 小沢氏はボルテージを上げて続ける。

「政権交代の可能性が少ない選挙では、国民の投票意欲はますます小さくなる。民主党が政権を取った2009年の総選挙は70%の投票率だった。その後の総選挙はほぼ50%の投票率で、20%落ち込んでいるが、自民党(の総得票)は1900万票で一定している。増えていないが3分の2近い議席を得ている」

「国民が現状に満足しているわけではないし、不満もあるだろう。野党が本当に政権を担い得る体制ができたら投票率も上がる。20%という投票率の差は2000万票。その7、8割は野党に入り、3000万票近い票になる。だから何としても野党の結集を図らなければならない。野党がしっかりまとまって、もう一度頑張ります、こういう社会を目指しますと訴えれば、必ず支持は得られる」


■「数合わせの何が悪い!」


 むろん参院選単独にしろ衆参ダブル選になるにしろ、「合併」「合流」による究極の野党結集には時間が足りない。

 そこで小沢氏が重ねて訴えたのは、“緊急避難措置”としての「オリーブの木」構想の実現だった。

「既存の政党はそのままで、同じ目標を持つ政党が一つの傘のもとに全員が参加して戦う。『統一名簿』という名称だけ出ていて、マスコミも間違った報道している。比例だけではない。選挙区も比例も一つの選挙の届け出政党で一体となって戦うことしか現時点ではあり得ない」

「極端に言えば、公示の日に間に合えばいい。日本では二重国籍は禁止だが、党籍は二重も可能だ。その形で政権が取れればそのまま一つになっていればいいし、政権が取れなかったら元の政党に収まればいい。『安倍政権は国のためにならず、国民のためにならず、国民の生活を守れない』という点で一致すればいい。簡単は話だ」

 とはいえ、「数」を信奉する小沢氏の政治手法への風当たりは相変わらず強い。だが小沢氏はひるまない。

「メディアを中心に『小沢は数合わせばかり言う』と批判する。それに政治家もビクビクしてしまっている」

 そしてこの日、最も語気を荒げて言い放った。

「数合わせの何が悪い!」

「民主主義は数だ!」

 続けて小沢氏はフランスやドイツでの実例を挙げ「(日本では)政策なき野合だという批判に政治家がおののいている。それが野党の現状だ」と嘆いてみせた。

 小沢氏が言う「数合わせ批判におののく政治家」とは……。永田町関係者いわく「紛れもなく立憲民主党の枝野幸男代表のことだ」。

 枝野氏といえば「小沢嫌い」を公言し、野党第一党を率いながら「数合わせはやらない」と野党の結集には拒絶反応を示し続けている。参院選での野党共闘にも枝野氏はずっと背を向けていた。

 つまり小沢氏は、名指しは避けながらも、枝野氏を批判したようである。小沢氏は諭すように訴えた。

「民主主義の本質、政治の役割を認識すれば、メディアの言うことは怖くない。私もずっとメディアの攻撃を受けてきているが、地元の人たちは支持してくれる。政治家は信念と目標を持って堂々と正しいことを主張すれば、人々の気持ちをつかめる」

 約40分間の講演の終わりに小沢氏は「野党の一員として、みなさんに申し訳ない気持ちでいっぱい。これに懲りず、ご指導いただければ幸いだ」と頭を垂れた。

 果たして「壊し屋」小沢氏に神通力はあるのだろうか。

週刊新潮WEB取材班

2019年5月27日 掲載

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