小泉進次郎は本当に「総理の器」か? 先輩代議士や政治部記者らが一刀両断

 滝川クリステル(41)との結婚で注目を集めた小泉進次郎氏(38)を「総理候補」たらしめているのは、「モノ言う政治家」のイメージ。時に身内の自民党の姿勢をも厳しく批判する姿に、「戦う改革者」との扱われ方も少なくないのだが、

「実態としては、地盤、看板、カバンをそのまま継承した、恵まれた『世襲議員』ですよね」(さるベテラン政治ジャーナリスト)

 との一面も決して忘れてはならないであろう。

 小泉家が3代100年に亘って当選し続けてきた選挙区を継承。元総理の息子としての抜群の知名度を持つ。そして「カネ」も同様で、進次郎氏が初当選した前年の2008年。父の引退と自身の出馬に先だって、彼を後援する政治団体として「小泉進次郎同志会」が設立された。その年、「同志会」は355万円の収入があったが、そのうち350万円は純一郎氏の政治団体からの寄附で、実に収入の99%に及ぶ。

 また、やはり08年、進次郎氏は父が代表の政治団体「自民党神奈川県第11選挙区支部」を継承。その際、5163万円の金が残されていて、こちらもそのまま息子が受け継いでいる。

 両団体合わせれば、パパから受け継いだ額は計5513万円にも上るのである。

「これらは実質、父から子へ財産が贈与されたと同じことですが、形式的には『政治資金』ですから、税金はかかっていません」(同)

 他方、仮に一般のサラリーマンが5513万円を父から生前贈与された場合、発生する贈与税は2476万円にも上る。

「政治団体を使ったこのカラクリを規制すべきだ、との議論が長年ありますが、当の政治家に関わることですから手が付けられていません」(同)

 こうした世襲政治家の「既得権益」に手を突っ込んで初めて、彼は「改革者」たりえるのだが……今後に期待である。

■パパに背中を押され…


 進次郎氏について留意したいのは、政策の継承についても同じである。

「今後、彼が総理を目指していく過程で、気を揉むことがあるんです」

 と言うのは、自民党のさる先輩代議士。

「それは原発についての考え方をどう打ち出していくか。何しろお父さんがあの通り、過激な反原発論者になってますからね……」

 整理しておくと、政府の現在のエネルギーについての考え方は、再生可能エネルギーの比率を高め、2030年までに電源構成比率にして22〜24%にまで持っていくというもの。とは言え、今ある原発はそのまま稼働させ、ベース電源の一つとして維持する方針だ。

 が、と先の代議士は言う。

「進次郎君は、そうした政府の方針は踏襲する一方、別の場面では再稼働や核燃料サイクルについて否定的な発言も繰り返している。復興政務官の経験から福島との関係も深い。政府の方針と違うのではっきりとは言えないものの、本質的には『脱原発』の考え方を持っているのではないか、と」

 そのウラにあるのが、父・純一郎氏の影だ。元首相は引退後、東日本大震災をキッカケに「脱原発」に傾倒。「原発を即時ゼロにせよ」という過激な主張を繰り返し、「反原発」となれば野党候補でも応援演説を買って出ているのである。

「2人は『一卵性父子』と言われるほど、政治的な思想や考え方が似ています」

 と言うのは、ノンフィクションライターの常井(とこい)健一氏。確かに、息子の立ち居振る舞いは父そっくりであるのに加え、

「農林中金の廃止や、消費税の軽減税率の不要論など、これまで進次郎さんが物議を醸した発言には、お父さんの影響が感じられるものが多いのです」(同)

 その純一郎氏は「総理になれば原発だってすぐに止められる。郵政民営化より簡単だ」と発言していることもあって、息子が仮に首相にでもなれば、熱心に原発ゼロを売り込むのは自明の理。心から尊敬する「パパ」の話を受け、さて、どう判断するのだろうか……。

 もっとも、

「原発ゼロでも大騒ぎですが、即時ゼロなんて言ったらそもそも国のエネルギーが持つかどうか。大混乱は避けられません」(別の先輩自民党議員)

 というから“その時”はパパの郵政民営化の時よりも、ずっと大きな国論二分の騒動になりそうであるが。果たして、「私は国民に問いたい」と刺客を用意した「反原発解散」があるのか否か……。


■本当に「総理の器」か


 そんな進次郎氏の人気といえば、この1年ほどは「踊り場」を迎えていた感があったという。

「批判されることが多かったのです。“平成のうちに”と見得を切った国会改革は前進が乏しく、総裁選でも石破元幹事長に一票を入れたものの、それを最後まで言わないというどっちつかずの態度を示した。存在感の薄さから小泉シンキロウと揶揄するメディアもありました」(全国紙の政治部記者)

 が、今回の電撃婚のインパクトはそれを完全に払拭。9月に予定される内閣改造でも入閣が取りざたされる筆頭、との報道が相次ぎ、再び政界の華となった。結婚報道でも押しなべて「総理候補」との文字が躍ったし、実際、

「実務経験はかなり積んでいる。単なるお飾りの大臣より、よほど経験豊富ですよ」(政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏)

「あの発信力、オーラ、メッセージ性は元総理の息子というだけに留まらない。抜群のものがある」(政治評論家の有馬晴海氏)

 と業界のプロも高評価。将来の「総理就任」は既定路線のような感すらあるが、

「ただ、一歩退いて考えてみると、これだけメディアに露出し、人気抜群でありながら、実績と言われるとよくわからない感はありますね」

 と疑問を呈するのは、前出の常井健一氏である。

 確かにそうで、これまで進次郎氏が主に取り組んできたテーマと言えば、「復興」「地方創生」「農業改革」「こども保険」「国会改革」といったところだろうか。このうち、「復興」「地方創生」といった大枠のテーマはともかくとして、「こども保険」は、政府が消費税を財源に幼保無償化を決めてしまったため、雲散霧消。

「農業改革は全農に譲歩する形で一部を妥協してしまった。国会改革も最初は“行政監視機能の強化”がテーマでしたが、だんだんと“国会のペーパーレス化”“妊娠中の女性議員の代理採決”といった細かいテーマになってしまい、ほとんど進まなかった」(同)

 掛け声とは裏腹に、腰砕け感は否めないのだ。

「確かに人気と話題性はある。それは大きな武器ですが……」

 と言葉を継ぐのは、政治アナリストの伊藤惇夫氏。

「主義主張となるとどうか。大衆受けしそうな細かい政策には飛びついている印象がありますが、国を二分しそうな外交、安保、経済政策といった大テーマについては口を濁している感がありますね」

 として以下のように譬える。

「サーファーのようですよね。最終的に自分がどこへ向かっているかなどを考えずに、ただ波の上でかっこよくポーズを決めることにばかり終始している。自らを一艘の船と見立てて、しっかりした航路を見出すことがまだ出来ていない。それが今後の課題でしょう」

 美と知を兼ね備えたかに見える伴侶を得たことが、これからどう出るか。称揚の対象か、はたまた嫉妬の渦となるのか。

「週刊新潮」2019年8月29日号 掲載

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