読売新聞会長のスイス大使「再就職」に漂う安倍総理の忖度

 世界一の部数を誇る読売新聞。そんな大新聞の会長ともなれば、退職後の再就職先も超一流。8月30日の閣議でスイス大使に任じられたのは、読売新聞グループ本社会長の白石興二郎氏(73)である。

 政治部記者によれば、

「これまでも、朝日新聞の編集委員を経てザンビア大使に就任した石弘之さんなど、マスコミ出身者が大使を務めた例はありました。でも、石さんの場合は朝日新聞を退職した後、東大で教授を務めており、今回のように現職のマスコミ関係者がいきなり大使に就任するのは初めてのこと」

 異例の抜擢の裏には複雑な事情があったといい、

「白石さんは社内政争に負けたんですよ」

 と読売関係者。

「言うまでもなく、うちの最高権力者はナベツネこと渡辺恒雄代表取締役主筆。彼が後継者として指名したのは、白石さんではなくグループ本社社長の山口寿一さん(62)だったのです」(同)

 山口氏は政治部王国の読売で、社会部やコンプライアンス畑を歩んできた異色の存在。ところが、

「山口さんは、今や販売、不動産、巨人軍という読売の生命線ともいえる三つの枢要部門を取り仕切り、後継者としての地位を不動のものにしたのです」

 もっとも、敗北した白石氏にスイス大使という第二の人生を与えられるところが渡辺氏の神髄と言えよう。

「総理はナベツネさんに頭が上がらない。安保法案、消費増税、憲法改正と、これまで散々紙面で援護射撃をしてもらってきましたから。今年4月に総理のブレーンだった本田悦朗さんが辞任し、空席になっていたスイス大使の椅子を読売に贈ることで、日頃の恩を返した恰好になりましたね」

 あの総理にも忖度する相手がいようとは。

「週刊新潮」2019年9月12日号 掲載

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