菅原一秀経産相の元秘書が明かす「ブラック契約書」のあり得ない中身

菅原一秀経産相の元秘書が明かす「ブラック契約書」のあり得ない中身

菅原一秀経産相

 この4日から始まった臨時国会では、かねてより発言が物議を醸す小泉進次郎環境相(38)に注目はあつまる。さらに、もうひとりの新閣僚にも疑惑の目が向けられる事態となれば、波乱が予想され……。

 進次郎氏同様、改造内閣の「火種」になりかねないのが菅原一秀経産相(57)だ。音楽グループ「TRF」のダンサーで、安室奈美恵の元夫でもあるSAMと、学生時代にダンスユニットを組んでいたことで知られる菅原氏。奇しくも彼と進次郎氏は、ともに菅義偉(よしひで)官房長官に近く、「脱原発」を訴えていたという共通点があるわけだが、目下、菅原氏の足取りはおぼつかず、ダンサー時代の華麗なステップは見る影もない――。

 すでに本誌(「週刊新潮」)(9月26日号)で報じたように、菅原氏には「ブラック疑惑」が生じている。ざっとおさらいしておくと、彼が経産相になった瞬間、地元である東京9区(練馬区の一部)からは、

「菅原さんの“厳しさ”は有名。『このハゲー!』でトヨマユ(豊田真由子)さんが世間の耳目を集めた時、『次は一秀だ』なんて声があがっていました」(自民党関係者)

 といった話が聞こえてきた。実際、菅原氏の元秘書に話を訊(き)いてみると、

「『てめえ、この野郎』といった暴言は日常茶飯事」

「朝の駅頭でビラ配りをしていると、『覇気がない!』と胸倉を掴まれる」

「1分ごとに携帯電話を鳴らされ続ける」

「書類を取り上げて私の頭上からそれを降らせてきた」

 といった具合に、菅原氏から受けた「被害」の数々が浮かびあがってきたのだ。なお、この「被害証言」はいずれも異なる元秘書によるものであり、証言は他にもまだまだある。


■疑惑の「ステップ」


 ここまでが、菅原氏の「ブラック疑惑」における〈ステップ1〉だ。当の菅原氏は、

「ご質問の事実は全くありません」

 と、自分は「ホワイト」であると白を切ったのだが、ならば次の事実をどう説明するのだろうか。まずは元秘書のひとりが、

「朝6時半から駅頭演説の準備をし、仕事が終わるのは22時半頃で、4時間睡眠とかでした」

 と、改めて振り返る。その上、

「秘書になる際、〈覚書〉なる文書にサインをさせられた。そこには、秘書の人権を無視しているかのような文言が明記されていました」(同)

 本誌が入手したその〈覚書〉には、はっきりとこう書かれている。

〈尚、秘書は機密事務取扱者であることから、労働基準法の労働時間・休憩・休日の規制の適用除外となることを了承する〉(写真参照)

 これでは秘書は休みなく働けと言っているに等しいのではないか。菅原氏は、

「労基法(労働基準法)41条の適用除外条項(機密事務取扱者)の確認事項だと思います」

 と、法律を盾にするが、労働問題に詳しい板倉由実弁護士はこう警告する。

「機密事務取扱者とは、職務内容が機密事務を取り扱うことのほか『経営者や監理・監督の地位にある者の活動と一体不可分で厳格な労働時間管理になじまない者』を言います。待遇についても職務や勤務実態に見合ったもので、労働時間規制が適用されなくても金銭的に充分保障されていることが必要です。会社や上司の指示のもとで働いて、通常の給料しかもらっていない秘書はこれに該当しません」

〈覚書〉にサインさせられた中には「普通の私設秘書」もいる。その元秘書曰く、

「私は基本的にひとりで行動し、代議士(菅原氏)と会うのは稀でした」

 到底、「機密事務取扱者」とは思えないのだ。

「このような文書にサインさせること自体が、『労基法で保障されている法的権利であってもお前らには行使させない』という、秘書に対する威圧になっていることは明白です」(板倉弁護士)

 疑惑の〈ステップ2〉だ。


■トヨマユ超え


 ちなみに菅原氏は、この〈覚書〉は「過去に事務所で使用していたもの」だと弁明。しかし、ある事務所関係者はこう声を潜める。

「最近は秘書に、〈新文書〉にサインさせている。そこには、『代議士に離反した言動をした際はどんな処分も甘受する』旨の内容が記されています」

 何のことはない。単にブラック度が増しただけのようなのだ。豊田真由子氏の元秘書が驚く。

「さすがにうちの事務所でも、そんな奴隷契約のような文書はなかったですね」

 トヨマユ超えの〈ステップ3〉である。さらには、

「『仕事でミスをすると、代議士宛ての反省文を提出させられる』と嘆いている秘書がいた」(別の関係者)

 これが〈ステップ4〉。

 改めて、板倉弁護士が指摘する。

「『どんな処分も……』という文言は、『俺に逆らうな』と読めます。さまざまな企業がダイバーシティや多様性を謳(うた)うなか、経産相が言論統制をするかのように『俺に逆らうな』とは異常ではないでしょうか」

 また、菅原氏のような地位のある人間が、

「労働者に対してこうした文書にサインさせると、労働者側は不当解雇された場合に正当な権利を行使しても仕返しされるのではないか、サインをした以上、不当解雇でも反論できないのではないかと怯(ひる)んでしまいます。心理的な抑圧効果が非常に高い。反省文の提出も、過度な支配―被支配の環境に秘書を置こうとしていると判断されても致し方ないでしょう。高い遵法精神が要求される経産相として不適格と言えます」(同)

 政治アナリスト・伊藤惇夫氏が呆れる。

「中学生じゃあるまいし、反省文を書かせるなんて聞いたことがない。明らかにブラック事務所です」

 政府主導で働き方改革を推進している中での、新閣僚の「働き方改悪」疑惑。改めて菅原氏に問い糺(ただ)すと、〈反省文〉について、

「一般の会社でも行われているものと思います」

 菅原氏の「一般感覚」は、一体どうなっているのだろうか……。

 進次郎氏、そして菅原氏。今国会は、このふたつの「爆弾」によって空転する危険を孕(はら)んでいる。国会が紛糾し、「会議は踊る」事態が出来(しゅったい)してしまうのか。果たして踊るのか、踊らないのか――。元ダンサー大臣の「足さばき」に要注目だ。

「週刊新潮」2019年10月10日号 掲載

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