日本共産党が天皇陛下「即位の儀」を欠席 秋篠宮殿下から影響を受けたのか

日本共産党が天皇陛下「即位の儀」を欠席 秋篠宮殿下から影響を受けたのか

日本共産党の志位和夫委員長

 10月22日に宮中で行われる「即位礼正殿の儀」など一連の儀式を欠席すると、日本共産党の小池晃書記局長が9日の記者会見で明らかにした。「国民主権と政教分離という憲法の原則に反する」というのがその理由だ。もともと、「天皇制の打倒」を強く主張していた同党は、2004年に綱領を「天皇の制度は憲法上の制度」と改定している。5月1日には、天皇陛下のご即位に共産党は祝意を示し、6月4日付の機関紙『しんぶん赤旗』紙面で志位和夫委員長は、女性・女系天皇に賛成すると発言していた。それでも、今回は欠席するという。分かりづらくないか。

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 そもそも共産党は、天皇制を“目の敵”としていた。1932年に作成された網領(32年テーゼ)では、「(天皇制は)国内の政治的反動と一切の封建制の残滓の主要支柱」「(天皇制)その粉砕は日本における主要なる革命的任務中の第一のもの」と記載している。

 終戦後の1945年12月には、東京で戦争犯罪人の責任を追及するデモを開催。昭和天皇、香淳皇后などを名指しで批判した。

 もっとも61年の綱領では、“(天皇制を)粉砕”という文字が消えた。その一方、「天皇は、アメリカ帝国主義と日本独占資本主義の政治的思想的支配と軍国主義復活の道具となっている」と規定した。この時点では、天皇制は廃止すべきという立場をとっている。

 昭和天皇が崩御したとき、『しんぶん赤旗』紙上で、宮本顕治議長は、昭和天皇を徹底的に批判。『日本歴史上最大の惨禍もたらした人物』『暗黒政治と侵略戦争の責任者』『対米従属の国家体制の「象徴」』といった見出しが連日おどった。

 ところが、不破哲三前議長が主導した2004年の綱領改定では、それ以前の綱領にあった、「君主制の廃止」という表現を削除。理由については、今年6月4日付の『しんぶん赤旗』で、志位委員長はこう述べている。

「日本国憲法第4条が、天皇の権能について、『天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない』と明記していることです。世界に、『国政に関する権能を有しない』――統治権にかかわる権限を一切もたない君主というものは、存在しません。天皇を、いかなる意味においても君主と呼ぶことはできないのです」

 さらに、04年綱領では、「天皇の制度は憲法上の制度」と明記した。

「天皇の制度は、憲法上の制度であり、即位や慶事、弔事などのさいには儀礼的な敬意をもって対応するということです。私自身、現天皇夫妻に長女が誕生したときには祝意をのべましたし、現天皇の即位にあたっても祝意を表明しました。党の綱領で、天皇条項もふくめて現行憲法の『全条項をまもる』という態度を表明している以上、憲法上の制度である天皇の制度に対して、儀礼的な敬意を払うのは当然だと考えています」(志位委員長)

 事実上、天皇制を認めたわけである。ならば、即位の儀に参加しても良さそうなものだが……。


■革命政党の存在意義がなくなった


「秋篠宮は、宗教色が強い天皇の即位の儀は国費で賄うことが適当かどうか。私的行事でやるべきだと発言したとされています。共産党はその影響を受けているのかもしれません」

 と分析するのは、政治評論家で元共産党政策委員長の筆坂秀世氏である。

「共産党は、憲法を厳格に守ろうという理屈から、即位礼正殿の儀は、政教分離の原則になじまないと説明しています。天皇制を受け入れていながら、即位の儀に欠席というのは、国民から見ると分かりにくいと言わざるを得ません。即位の儀は、日本の伝統行事、伝統文化と見なすべきです。変に理屈をこねて欠席するなんて、時代錯誤ですよ。今や共産党は天皇制を99・9%受け入れているんだから、妥協する必要があります」

 共産党は言うまでもなく、筋金入りの“護憲派”として知られているが、

「もともとは、憲法改正派だったのです。占領軍が作った憲法なんて認められないという立場でした。憲法の出自から否定していたのです。そして天皇制打倒という立場だった。それが今や180度ひっくり返ったわけですよ。体制に流されて、政策を変換せざるを得なかった。自民党が2012年に憲法9条の改正を主張したとき、共産党は、平和護憲政党として何年にもわたって活動していた。その過程で共産党の党員になった人は、憲法9条を“世界の宝”だと思っています。そういう人たちは、昔、共産党が改憲派だったことなど知りません。そのことを指摘すると、『うそだ、デマだ』と言い出す共産党員もいます。国会議員の中には、“共産党宣言”を読んだことがない人もいるくらいです。それくらい今の党員は、歴史を知らない人が多いのです」

 共産党は迷走しているということか。

「共産党員の中では、共産主義社会を実現しようなんて考えている人は、今や1人もいません。そんなことは無理だとわかっているからです。革命政党は平和と人権を唱えたものですが、平和は維持されているし、人権だって、日本は北朝鮮とか中国、アジア諸国などと比べると、ずっと尊重されています。かつての共産党が目指したものはすでに実現されているので、存在意義が失われているということです」

 だったら、つべこべ言わずに「即位の儀」に出席したほうが良さそうな……。

週刊新潮WEB取材班

2019年10月21日 掲載

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